檜洞沢 | 鬼川の日誌

檜洞沢

 檜洞沢から檜洞丸  18,5,19・20    

 

 

  5月初めに蛭ヶ岳に登り標高1350m付近のシロヤシオが既に満開に

 なっていて驚いた。それから半月経つからもうシロヤシオの盛りは過ぎてい

 るかもしれない。檜洞丸の山頂(1600m付近)ならまだ見られるか?

  檜洞沢は私はもう3回目である。花崗岩の白さが映えるきれいな沢でとり

 わけユーシン沢に檜洞沢が合流する辺りの沢から見上げる新緑が素晴らしい。

 朝一でユーシンロッジ付近を出発するとこの辺りでちょうど滝上の新緑に日

 が射し込んで来るときになる。これが何とも言えずきれいなのである。また

 おなじく日に映えた苔も緑の絨毯を敷いたようにとても気持ちがいい。これ

 が見られるだけで幸いである。

 

  ユーシンロッジ付近に行くには近頃ユーシンブルーで有名になった玄倉林

 道を辿ることも出来るがいまいち単調な歩きとなるのであまり好みではない

 し、またちょうどトンネルの崩落で通行止めになっているらしい。それでま

 た前回と同じく雨山峠を越えて行くことにする。今回は5名。

  初日はロッジまで行くだけで4時間ほどの行程だから遅めに新松田に集合

 する。5名だからタクシー一台には乗れない。(昔は乗れたが最近は乗せな

 い。)2台にすると費用が掛かりすぎるし慌てることもないのでバスにする。

  しかしバスは寄(やどりぎ)までで寄大橋までの車道を約2km余分に歩かな

 ければならない。さらにこの日は雨上がりのひどく蒸し暑い日だった。余分

 に歩くということで自然と足が速めになる。

  30分歩くだけで泊り装備で荷も重いしかなり大汗をかかされた。

  いつもならここから出発であるが既に13:15になっていた。

 

 

  遅くはなったが今日は泊まるだけだし日も長いので急ぐことはない。キャ

 ンプ場を抜けて登山道を何回かの渡渉もしながら進む。山の崩壊もあり少し

 様子の変わっているところもあるがもう何回も歩き慣れた道だ。

 

 

  1時間ほど歩き釜場平に出る手前の崩壊の進む涸れ沢で休憩しているとき

 靴にヒルがいるのを見つけてこれを石で潰した。酷く蒸し暑い日は蛭が活動

 的になる。他にもいないか点検しなかったのでどうやらこの時取りつかれた

 らしく足のふくらはぎ辺りを食われていたのに後で気が付いた。他の人には

 被害はなかったが。

  釜場平から一登りしてコシバ沢を通過しさらに登る。この辺りがきついと

 ころだ。

 

 

  この先沢が入り組んでいるし沢の中を辿ることもあり道は複雑だ。しかし

 要所に案内板が立っているので迷うことはないのだがこれがなければ結構難

 しい道だといつも思う。キャンプ場入口からちょうど2時間で雨山峠に汗み

 ずくで辿り着いた。

 

 

  峠では風が抜けて一息付けた。ここからは風化した花崗岩のザレ道を玄倉

 林道に抜ける降りだ。ザレ道で悪路だが沢沿いで気持ちがいい。

 

 

  林道に出れば20分かからずユーシンロッジである。16:10には着い

 たから寄からで3時間半、キャンプ場入口から3時間弱と結構いいペース

 だった。

  一角が避難小屋として開放されている。しかしこの日は同じく沢登りに行

 くという二人組が先着して畳の部屋を使っていた。そもそも滅多に来ること

 はないし、他のグループとかち合ったことはないのだが檜洞丸のシロヤシオ

 のシーズンだからか。

  もう一つは板の間であるが5人は寝られるのでこちらを使わせてもらう。

 夕餉では紅一点のメンバーが誰よりも重い荷を担いでまたいつものように手

 早くおいしい手作り料理をふるまってくれた。彼女が参加した沢中泊りでは

 いつものことだが担げるのも凄いと思うし美味しいので感謝感激である。

  朝方少し冷えたが私はシュラフカバーだったが大丈夫だった。

  夜中トイレで外に出てみるとロッジの全館に灯りが点いていた。遭難寸前

 のハイカーがいたとしたらありがたい灯りだろう。ちょっと驚いた。

  今玄倉林道が通行止めで車が通れないのでロッジの定期点検もままならな

 い状態だろうから設備の維持管理も大変だろう。

  本館が閉鎖されてからもう相当な年月が経つはずだ。再開に向けた動きも

 あると聞くが今後のロッジの行く末も気になる。

 

 

  翌朝二人組は早く出て行った。最初の滝は巻くような話でもあったし二人

 でもあり途中で追いつくことはなかった。

  準備が整ったところで6:20出発。私たちは最初の滝にも挑戦するので

 沢沿いに進みロッジの裏手奥にある水道設備(電力設備)の金網の横を抜け

 て導水管らしき上を歩き取水口と思われる堰堤のところから入渓する。

  すぐ先に最初の滝が現れる。

 

 

  滝自体は小さいし夏に水に入るつもりならどうということはないのだが、

 ヘツって抜けようとするとつるつる花崗岩でホールドなく1mほど下の狭い

 足場に飛び降りるのが結構難しい。前回も飛び降りたがその時より狭い感じ

 がする。遣り損なってもドボンするだけだからまずO2が思い切って飛び降

 りる。(ここはやはり難しいので上に抜けるように細い固定ロープが下がっ

 ていたが使わなかった。)

  続いて足の長い人が降りてその後の人は補助してここを突破した。

 

 

  続く小滝は問題なく、その先の滝がつるつる花崗岩の大岩に乗りあがらな

 ければ突破できない。ほんの一手のマントリングだがこれがなかなか難しい。

 しかし少し支えてもらえばなんということはない。最初にO2が上がりスリ

 ングを出してこれを補助にして皆も問題なくここを突破する。これで最初の

 滝群(3段)が終わる。

 

 

  これを突破すればしばらくは大岩の間を抜ける沢歩きでロッジを出てから

 30分程で最初の滝群を巻いた場合の山道から沢に入る地点となる。巻いた

 場合は半分の時間で来られるかもしれないが滝を突破する方がやはり面白い

 と思う。

 

 

  この先で沢を跨ぐ2本の倒木(これも相当前からあり大分腐ってきた)の

 下を潜ると深い釜を持つ滝が出てくる。これはかなり深そうで取り付くとな

 ると完全に泳ぐしかないし滝を登るのも相当難しそうでトライしたことはな

 い。夏なら挑戦してみる価値はあるかもしれない。登るのはともかくこの釜

 で泳ぐのも楽しそうだ。今は巻くしかない。

 

 

  巻くのは滝左手の垂壁で皆さんフリーでも登れるとは思うが、一応O2が

 ロープを引いて登り立ち木にロープを固定してこれを補助に皆に登ってもら

 う。結局ロープを出したのはここだけだったから大岩の登り降りで補助は必

 要でも易しい沢である。

 

 

  登ったところから沢に降りて気持ちのいい流れを遡っていくとプールのよ

 うな釜を持ったナメ滝とミニ吹割の滝が現れる。泳ぎたくなるような釜が沢

 山ある沢だ。ミニ吹割の滝も見栄えのする滝だ。

  この上がユーシン沢の右岸に檜洞沢が合流する地点である。

 

                              (ミニ吹割の滝)

                             (ミニ吹割の滝上の合流点)

                               (檜洞沢の合流)

                               (最初の滝)

 

       (続く)