城山西南カンテ
西南カンテマルチクライミング 17、11、15
今回は西南カンテは初めての2人が参加する。その他の人もまだ
リードしていないピッチが残っているとかそれぞれに課題を持って
いる。8名の参加で4組編成。
15日の天気は間違いないものの前日の雨がかなり遅くまで残り
岩の状態が悪い心配があったのだが、延期すると都合の悪い人が出
そうなので決行することにした。
ところが私が高速道で道を間違える大チョンボをやって一時は
予定時間に到着するか危ぶまれるほど焦ったが何とか間に合った。
城山入口の駐車場には珍しく他の車はいなかったし、南壁にも
取り付いている人は誰もいなかった。平日でもここでは大概誰か
ぶら下がっているものだが前夜の雨で敬遠されたのだろう。
登りの道はびしょ濡れで滑る。南壁は日当たりがよく一見乾いて
はいるがスラブだし湿り気があってはいやなものだ。
ここから壁の下をごそごそ這い登って西南カンテ取り付き。
1ピッチ目を見上げる。案の定下部は日当たりが悪く湿り気味で
嫌な感じである。私は道間違えのチョンボをやっているし、こう
いうときは気を落ち着かせて登らないとずっこけかねないのだが、
決めておいた順番でO2の組から取り付く。相棒はここが初めて
の人である。
準備をして登り始めると岩は湿っているが滑り易いというほどで
はなかった。しかしいの一番だし逆層なので慎重に行く。後ろの人
が私の登りを写してくれた。
2ピン目のハーケンが右手に見つからず逆に1ピン目より左手に
あったためにロープの流れが悪くなっている。(壁を右手に回り込
んだところ右手の別ルートにボルトがあることは分かったのだが
かなり右寄りで使いたくなかった。)
1ピッチ目の終了点にも出来る支点を越えてその後若干被り気味
の壁を乗り越える。その先にある支点(通常の2ピッチ目)を終了
点にしてフォローに登ってもらう。
直ぐ後に第2組が続くので私たちはいつもここまで登っている。
ここは2組くらいは支点をセットできるボルト、ハーケンがある。
今回カメラをぶら下げるものを忘れてしまったので、O2組フォ
ロー、第2組のリードの様子を写真に撮れなかった。
次のピッチは短い垂壁の部分なので相棒にここはリードしても
らう。問題なく登った相棒の支点のセットとコール後、この部分
をフォローで登るとガレの緩い登りとなる。ここは私がロープを
引きずって先に登る。リードを交代はしているがただの歩きなので、
この部分は2ピッチ目と勘定する。
(相棒に3ピッチ目スタート点まで登ってもらってもいいがあえて
ピッチを切った。下とのやり取りがしやすいから。)
3ピッチ目のスタート地点でカメラを出す。
さて3ピッチ目は昔からのルートは目の前の岩を回りこんで結構
怖いトラバースだ。私たちはいつもトラバースではなく直上ルート
で登っているので、師匠組は今回トラバースルートを行くという。
私はこの目の前の岩を回り込まず乗り越える。これがかなり厄介。
一段上の棚に上がり胸元に張り出し気味の岩を回り込んで行き奥で
その張り出し岩に乗り上がる。この後すぐ右手これまた少し出っ
張った岩の下の小さな棚に上がる。これもピンがあるからいいが
出っ張りが邪魔で難しい。A0せず頑張るところだ。
そしてその上が垂壁だ。もうすっかり岩も乾いてホールドに出来
る棚の泥も乾き安心して登れる。この上に崖から張り出した立ち木
でピッチを切る。支点用にロープが巻かれている。ここの方がフォ
ロワーを見易い。支点をセットしてセカンドに登ってもらう。
ここは棚になっているのでカメラを取り出す。
コール後相棒が順調に登ってくる。垂壁下に来るまで見えないが。
到達した相棒にそのまま少し先の4ピッチ目取り付きの棚まで上
がってもらう。ここまで上がって3ピッチ目としてもいいのだが
これだとセカンドの登りが見えないので私はいつもこのスタイルだ。
4ピッチ目のスタート地点で見上げる。下の狩野川もよく見える。
この4ピッチ目が核心(5.7)だが相棒は遠慮するというので
ここも私がリードする。
ビレイ支点の上の棚に上がって右手にトラバースして被り気味の
垂壁に取り付き登っていくく。そして中間に見える立ち木の岩と隣
の岩の間に身体が楽に入るくらいの溝があるのでこれの中に入るの
だが、入るために垂壁から若干戻り気味になるのでここがちょっと
難しい。
しかしその直前の垂壁にハーケンがいくつか打ってあるのでこれ
に支点を取っておけば安心である。この溝を抜けて上がると壁を回
り込むように登る所があり、身体が外に出た上でボルトがあるので
ヌンチャク・ロープを掛けるまでが少し問題。
しかし手前のクラックにカムで一つ支点を作れば安心なので今回
も一つ噛ませておいた。なくても難しいというわけではないがこの
カムは後ろの組も使えるように残しておいた。この先はほぼ階段。
私はいつものように後続がよく見える位置に支点をセットして
フォローの登りの写真を撮る。
私たちは順調に4ピッチ目を登り終えた。広場で用具を片付けた
り少し腹に入れたりして後ろを待つ。
私は後続を写真に撮るつもりもある。ところがしばらく待っても
第2組が登ってこない。相棒の話では4ピッチ目に取り付くとき、
3ピッチ目の終了点に第2組が来ていたようだというのだが。
後からの話では第2組の3ピッチ目はここのリード初めての人が
担当したのだがルートがよく分からなかったのとどこかでロープが
交差してもつれたり手間取ったという。
確かに3ピッチ目スタート時点で後ろが追いついてきてなかった。
私たちのセカンドが出る頃には続いてくるだろうと思ったのだが。
たしかにトラバースルートではなく直上ルートはちょっと分かり
にくい。また直上ルートは屈曲しているので要所をスリングで長め
の支点にしないとロープの流れは悪くなる。
さらに4ピッチ目、ここは昨年登った人がリードしたのだが、
何故か昨年と違って見えたらしく先行O2組は登ってしまっていて
ルートがよく分からず登り始めたらしい。
随分待ってようやく第2組の頭が見えたと思ったらルートを外し
た所を登っていたのでびっくり。もう一度戻ってもらった。
そんなこんなで相当遅れて第2組が登ってきた。第3組以後は続
いたのでルートは問題ない。
第2組の4ピッチ目。
第3組は西南カンテは初めての人が4ピッチ目リード。頑張りました。
第4組。4組のセカンドは例の溝に移る辺りで落ちてぶら下がった
ようだ。
ともあれ皆さん無事登攀完了。用具を片付けて城山山頂に登る。
分岐点で。
ここから直ぐなので荷を置いて城山山頂に行ってみる。
富士山が頭を出していた。
降り道、南壁で二組が壁に取り付いているのが見えた。
三日月ハングルート(10c)とダイレクトルート(10c)か?
私たちの後に西南カンテ取り付きに顔を出して止めたガイド
グループらしきがいたそうだからその人たちかもしれない。
また遠くスカイラインに人が見えた。ここはイレブンのルート
らしいが?
帰り道近くの公園で無事完了を祝い打ち上げの乾杯をやって帰京
した。(もちろん運転者は飲めないのだが。)
昨夜の雨が遅くまで残り岩の状態が心配だったけれどまあそれ
ほど問題なく登れてよかった。しかし何度か登っていても意外と
ルートを覚えてなくまごついた人たちもいて課題が残った。
ここが初めてでもツルベで登った人もいたが、セカンドで終わった
人はルートも分かってきただろうから次回はリードに挑戦である。
しかしマルチクライミングを楽しめたようでよかった。
総じて私たちは易しいとされるルートでもまだ多くの課題を克服
できてはいないということですね。
(了)