八ヶ岳、赤岳主稜
赤岳主稜登攀 17,10,9・10
体育の日の3連休は混むことは間違いないので、連休最後の9日
に行者小屋に泊まり10日に赤岳主稜を登ることにした。10日は
晴れの特異日であり予定通り天気は良さそうだ。
9日11時頃に美濃戸口から赤岳山荘に近づくとそこら中が車で
一杯である。連休中はさぞかし混雑しただろうと思われるが幸い
駐車余地はあった。
美濃戸山荘前でサービスのお茶を戴きながら早めの昼飯。
これから南沢を遡る。南沢は降る事が多く登る事はかなり久しぶり
だ。登っていくと急ではないが坂がこんなに続いていたっけという
感じだった。それなりに疲れるがコケがきれいで気持ちのいい道だ。
まあしかしゆっくり登って2時間半あれば行者小屋に着く。
沢中を行くと大同心、小同心。昨年登った小同心クラックが良く
見える。
行者小屋が近づくと赤岳が見えてきて赤岳主稜の全貌が見渡せる。
南峰のピークに突き上げているのが主稜である。
行者小屋はいつも通過するばかりで泊まるのは私は初めてである。
さすがに今晩泊まる人は少なく15人程度という。昨日は70人
ほどとか。赤岳鉱泉はさぞかし混んだだろうね。あの混雑ぶりには
いつも辟易する。
14時過ぎには着いたので受付を済ませ寝場所が決まった後
(一番ベランダ寄りだった)、寝場所にコタツもあったがまあ暖かい
ので2階のベランダでのんびりお酒を酌み交わす。持ち寄ったお酒
は飲みきれなかった。飲みすぎないのはいいことだ。
行者小屋は初めてだが応対も良く食事もおいしくなかなかいい
小屋だ。行き先にもよるが赤岳鉱泉の大部屋よりはずっと過ごし易い。
10日朝朝食をしっかり取り準備が終わり次第外に出る。
赤岳、阿弥陀岳に少しガスが掛かっている。風があるようだ。
阿弥陀岳上に残月(下弦の月)が掛かっていた。
歩き出したのは6:35頃か。阿弥陀岳への分岐を過ぎて7:00
頃には文三郎尾根の梯子を登る。少しで行者小屋が見下ろせる。
主稜の取り付きのチョックストーンが見える地点、トラバース
開始地点で登攀装備を付ける。
この頃は少し風があり薄ら寒いので私はカッパを着た。
O2組3名、S師匠組2名でロープも結ぶ。
トラバースを開始したのが8時前だったようだが、踏み跡は入口
のほんの少しで直ぐになくなった。雪のある時には明瞭に付いて
いるしなくても困ることはないが、今はただザレの斜面があるだけ
で踏み跡は消えている。
踏むと足の前後左右全体がずるずると落ちていく酷く急な悪い
ザレ斜面だ。何とか踏めそうな所を探しながら渡っていったが
しっかりした岩が少なくこのトラバースは悪かった。急雪壁であれ
雪の時にはアイゼンを効かせて難なく渡ったことを思うと、ありえ
ないほど痺れましたね。
岩稜に取り付いてからも想定以上に脆く掴めば剥がれそうなぼろ
岩ばかりで神経を使ったが、このトラバースが一番危なかったかも
しれない。
トラバースを終えて揃った所で1ピッチ目私から取り付く。
取り付きチョックストーン裏のチムニーは雪の時は埋まっていて、
チョックストーンを乗り越えていかなくてはならずアイゼンを履い
ている場合これが結構難しく力を使う。しかし今はチョックス
トーンを潜りチムニーを登ることが出来るので最初はかなり楽で
ある。しかし岩は脆い。私も少し落としたようだ。
チムニーを登りコルに出る。岩にスリングを巻いて支点にして、
右手にバンドをトラバースして壁を回り込むと凹角に1ピッチ目
終了点がある。
今回はロープは各組1本(50m)で靴は登山靴のままである。
支点を作り私の組フォロー2人に登って来てもらう。
その後に師匠がリードで続いて登ってくる。この途中フォロー
の1人が大きな落石を起こして後ろの2人がヒヤリとする場面が
あったようだ。声が上がった。
ともかく岩が脆いことは分かってはいたが、想像以上にヤバイ
ぼろ岩でこの後も文字通り一歩一歩、掴む岩毎に一手一手確かめ
ながらの神経を使う登りを余儀なくされた。かなりしっかりして
いると思っても体重を掛けようとすると動き出す場合もあるから
全く油断できない。
O2組はO2とNさんでツルベで登り、間にKさんが入る形を
取り、師匠組みはMさんとツルベで登る。
2ピッチ目は支点の直ぐ上にボルトが打ってあるので、Nさんは
ちょっと立った凹角をリードで真っ直ぐ登っていった。
その後Nさんのコールを聞いてKさん、私とフォローで登って
いく。Nさんは少し左よりの大き目の岩に巻かれた支点でピッチを
切っていたが、少し右手にも支点らしきがあった。その右支点から
その上のチムニー状を登ることも出来るようだ。
O2は左に寄っている2ピッチ目終了点に行かず、目の前の岩に
支点を取り、Nさんにビレイを切り替えてもらってそのまま3
ピッチ目として脆い岩、その上のザレ場を登った。
先の岩にボルト、スリングの支点があった。師匠組みはMさんが
この右手の支点でピッチを切り、師匠が3ピッチ目をO2組の
フォローに追いついて登ってきた。
4ピッチ目はNさんのリード。9:30過ぎ頃から。
脆い岩のリッジで岩にスリングで支点を取りながら登る。途中
ボルトがあるということだったが、まだ近いところだったので
もう少し上までロープを伸ばして貰った。そしてKさんとO2が
フォローで続き、5ピッチ目をO2がリードする。
(続く)