つづら岩
つづら岩下見 17,10,5
いまいち天気が定まらず谷川岳・東南稜に行き損なってしまい、その代わりということで師匠と二人でつづら岩に行くことになった。ここは岩場に行くまでに急登を1時間半ほどこなさなくてはならないとか軽いハイキングも兼ねて、二人とも行ったことがないところだし下見である。9月30日に幕岩でごく易しいルートを何本か登ったけれどもマルチピッチは久しぶりである。
私には武蔵五日市までも結構遠いのだが、これから藤倉行きバスで千束で下車。傍に天狗滝・綾滝への案内標識がある。神社などを見ながら結構急な舗装道路をしばらく歩くと、車道終点の奥に山道がある。
山道に入ると天狗滝を回る道と綾滝からつづら岩への道に分かれる。つづら岩への道は途中天狗滝を回ってきた道と合流して更にその先に綾滝が見えてくる。ここまで50分くらい。綾滝は優美な名の通りスラブ斜面をきれいに流れ落ちてなかなか素敵な滝である。
道はここから山腹を急登することになりロープ、ガチャ類を担いでは結構大変だった。結局たっぷり1時間半は掛かって岩場に着いた。岩場の直ぐ下が馬頭刈尾根と大岳山方面との分岐になっていた。私たちが岩場に取り付いているあいだに2組くらいのハイカーが通っていった。
つづら岩一般ルートとその取り付き点付近(クラックルート取り付きと同じ)
岩装備を付けて取り付いたのは結局11時頃になったようだ。トポと照合してまずは一般ルート(Ⅳ級+)に私から取り付く。山登りが結構きつく感じたからいまいち体調が良くないようだ。こういうときはとりわけ初見の岩はきつくみえるものだが、登っていくとまあまあ快適。ボルトは少なくハーケンを探しながらの登りである。次が遠い所ではカムをかませて進む。途中垂壁を越える所でホールドにした岩が少しだけ丸かったか足を滑らせたかここで思いがけず不意落ちしてしまった。ビレイの師匠が直ぐに止めてくれたが「やはりなあ」である。それでなくてもいの一番に取り付く場合は気を引き締めなければならないのになんとなく不調の気分で取り付いたのが悪かった。しかしこれで目が覚めたかも。そのまま登り返して中央ハング上をトラバースしてしっかりした終了点でピッチを切る。ここまで来ると次は5mほどの垂壁で終わるから2ピッチとなる。セカンドで師匠に登ってきてもらい、最後の壁を師匠がリードする。一般ルートの最後はⅣ+(『関東周辺の岩場』では)となっているが、このクラックの抜け口が抜けた所にあるしっかりしたホールドを掴むまでが少し難しい(あると分かっていればなんとか登れるが)。登り上がったところにはしっかりした支点がある。懸垂用のリングもありこれで懸垂下降して降りる。
昼飯を食べてから今度は左ルート(Ⅳ級)に師匠から取り付く。左上するクラック沿いに登っていきフェースに出た辺りからハーケンがぼろいらしく、スリングを使ったりカムを使ったりしながらの登りである。1ピッチ目終了点は顕著な棚を上がった所にあるようだ。セカンドで私が後を追い、棚から上をリードする。棚の直ぐ上が張り出したフレークで露出感がある。これを越えて急なフェースを登るがハーケンが少なく途中小さな立ち木に支点を取ったり、カムを使えるクラックはなくある程度ランナウトする。最後に立った壁を登る所でハーケンが見つかった。ここをランナウトしたままではちょっと怖い。尖った壁の頭を乗り越えると反対側に支点があった。支点をセットして師匠に登ってきてもらい、ここの支点も懸垂用のリングがあるので懸垂して降りた。支点から頭を越えて下降するので乗り越えるのにバックアップを取った方が安全である。
この後クラックルート(Ⅳ級)かオケラルート(Ⅲ級)かであるが、今日は私が初めにずっこけたこともあり、下見のつもりでもあるのでこれで終わりにした。もう2時を過ぎていた。これで降れば4時前のバスに間に合いそうだ。そそくさとクライミング用具を撤収して2:40頃には降り始める。
降りで天狗滝に寄り道する。これもなかなか素晴らしい滝だが、綾滝はそのネーミングになるほどと思ったが、こちらも似たような滝でこれが天狗である理由は分からない。近くにある天狗岩の方からの名前かな。もう少し紅葉が進めばきれいだろう。
天狗滝の下にもまた滝がありここで滝修行らしきことをやっていて坊主がお経を唱え白装束の人たちが5,6名いた。いったい何なのかは分からない。この人たちの車らしきが林道の終点に停めてあった。滝修行はもう寒いだろうな。
4時前のバスに余裕で間に合う。五日市から立川に出て一杯飲み屋で師匠とご苦労さん会をやり今日のつづら岩下見山行を終わる。
つづら岩は千束からの1時間半の登りが結構大変ということもあり、簡単に取り付くことは出来ない。それもあり日の短い季節には2,3本登れば時間が足りなくなるくらいだが、私たちがマルチピッチの岩登り練習をするには手頃な岩場だと思う。チャンスがあればまた企画したい。
(了)