槍ヶ岳・北鎌尾根 5
北鎌尾根から槍ヶ岳 17,9,10・11 (続き)
辿り着いた。記念写真。これは後々にも思い出の一枚になるでしょう。
私たちに引き続いて年配2人組みが到着した。山頂は日曜日の15時過ぎというのに登山者で一杯だった。まだ次々登ってくる。さすがは槍ヶ岳。
山頂で何枚か記念写真を撮る。穂高方面はガスが掛かり雲に隠れ始めていて周辺大展望とは行かなかった。
山頂も人が一杯だし直ぐに降り始めるが、順番待ちは避けられない。先ほどのガイドは2人を確保しながら降っているので時間が掛かる。降ってから登り降りの人で行列の山頂を振り返ったときはもう15:30頃。槍ヶ岳山荘前も人でごった返していた。登山にいい季節というわけだ。
これは予想通りのことで山荘前で少し休んで殺生ヒュッテまで降ってテントを張ることにする。年配2人組みも同じく降って来てテントを張っていた。殺生ヒュッテ16時頃。
テントを張ってからこの夕食分は持ってきてないので、ヒュッテで丼ものとビールを頼み北鎌尾根完登を祝い乾杯。隣の席にいたのは先の若いガイドさんたち3人だった。彼らはここに泊まるらしい。私はかなり疲れたかあまり食欲もなくビールも味が違った。しかし無事完登できて心からほっとしていた。体力的に心配だったからまあ何とか歩けてうれしい。Jさんもあまり食べなかったが、Yさんは食欲旺盛、やはり元気で若さと体力の違いを見せ付けられた。
ここは標高も高い(2860~70m)ので出合(1830mくらい)で寒かったくらいだから、この晩はあるだけの物を着込んでカイロを貰って張っても寒くてやはり良くは眠れなかった。疲れ果てて眠るかと思ったのだが。もともと上に着いたら山荘泊まりで考えていてテントもありとは思っていても準備が足りなかった。しかし意外とそれほどへばらずに朝起きる事が出来た。眠れなければそれはそれで仕方がないと開き直るのが一番だね。次が降ればいいだけだから何とかなる。
11日朝起きて動いてみるとそれ程寒さは感じなかった。薄いシュラフカバーでは眠るには寒かったのだが冷え込んだわけではなさそうだった。
朝のテント場。雲の切れ間に富士山が見えた。
残り物で朝飯を作り食べて、テントを撤収し、6:40頃には降り始めたかな。今日も上高地までの結構な長い降りがある。常念岳が焼けかかってなかなかきれいだった。
7:10過ぎ。
トリカブトとリンドウ、ナナカマド。7:30頃。
7:40頃。
水俣乗越分岐(大曲り)、8:00頃。一周してきました。
ババ平、8:25頃。賑わってました。
槍沢ロッジ、8:50頃。
横尾、10:00頃。これまでもそうだったが、2人は足が速く着いていくのが大変だ。平地歩きはなおのこと速いのであごを出しながら着いていく。
横尾、徳沢園で少し休み、明神で12時頃。カッパ橋を過ぎて上高地バスターミナル、12:50頃でした。6時間10分くらいで下山。疲れましたね。
沢渡行きのバスがちょうどあったのだが、満員で乗れず行ってしまった。バス手配のお姉さんたちはもう乗れませんとか、次まで待ってくださいとかも何も言わず
えらくそっけない。良く見ると外国の人らしく納得。30分ほど待ち沢渡へ。駐車場を借りた温泉山小屋「ともしび」の露天風呂に入る。ぬるめのお湯でずっと入っていたいくらいだったがそうもいかない。3日ぶりで最高に気持ちがいい。ここのご主人は何かとサービスがいい。入山する時には駐車場を借りた後、バスセンターまで送ってくれた。お風呂も安くてタオル、石鹸、シャンプー付きである。
風呂を出たときざっと雨が降ってきた。直ぐに止んだが天気は下り坂らしい。私たちの計画の4日間そこだけはめ込んだように最高の天気だった。今回はなにより天気に恵まれた。
途中いつもの蕎麦屋で蕎麦を食べた。食欲も出てきてこれはおいしかった。その後Yさんを松本駅近くのバス停まで送り帰京する。月曜日で渋滞はなくわりと早めに帰れた。
長年の「忘れもの」をやっと拾いに行くことが出来たが、やはりちょっと時既に遅し、という感じでとても大変だった。10日北鎌尾根を登った本命の一日は相当疲れたようだ。シャリバテもあり、槍山頂から降る頃が一番疲れたかな。お陰で殺生ヒュッテで完登を祝ってのビールもあまり旨くなかったくらいだ。年々体力が落ちているのをオートルートに引き続き実感する。まあ何とか登れて良かった。ぎりぎりだったかな。
Yさんがテントを引き受けてくれ、北鎌沢からはずっとその重い荷で厳しい登り降りをリードしてくれたので何とかなったようなものだ。Yさんはクライミングの力も相当なものだが、ルートファインディングの力もこれで一段と増しただろう。何処を登るかどう降るかを判断するのがかなり難しい所ばかりだった。ちょっとやばい所に入ってしまったことはあったが。北鎌尾根はなにより体力のあるうちに登っておくべき所には違いない。
そしてJさんもところどころお助けすることがあったとはいえ、結構厳しい所を良く頑張りました。たいしたものだと思います。厳しいのは核心部の岩稜の登り降りがかっちりした岩ではなく、ほぼ何処もここもザレていて脆く、足を滑らせる危険があり、落石を起こし易い所だらけという点にありますね。滑落しないように神経を使ってこれを抜けていくのはとても大変です。多分若い頃ならなんでもないのでしょうが。
夜行で上高地に入り朝歩き出して北鎌沢出合、次の日北鎌尾根という行程がほぼ無理と思われるような場合は、私たちの行程を少し変えて、初日槍沢ロッジまで、2日目北鎌沢出合から北鎌沢を登り、コルまたはその先の小さなテン場で
泊まり、3日目北鎌尾根の核心部を抜ける、これなら核心部がだいぶ楽でしょう。3日目はババ平(槍沢ロッジ)辺りまで降ることも可能でしょう。4日使うことには変わりありませんので暇な人向きですが。まあ時間をかければ年寄りにも可ということですね。なお北鎌沢出合ならともかく、上に行くとテントスペースは何処も小さいので、大きなテントは止めたほうがいいようです。
(Yさんの写真をかなりお借りしてやっと成り立ったブログです。ありがとう。)
(了)