小川谷廊下 | 鬼川の日誌

小川谷廊下

 小川谷廊下敗退  17,8,13    

 

 小川谷廊下は毎年のように行っているが昨年は行けなかった。いつもは玄倉林道を入り小川谷の林道(仲の沢林道)が分岐する辺りまで車で入っていたのだが、今年は玄倉バス停直ぐ先でゲートが閉められ(途中発電所か工事をやっているようだ)バスで行っても歩く距離は変わらないという情報があり、また6名と多くなったのでバスにする。ちょっと出だしが遅くなるのが心配ではあったが。

 新松田駅前8:10発のバスで玄倉までほぼ1時間、歩き始めて仲の沢林道分岐で9:40頃。いつもはこのゲート前付近に車を停められた。

 

 

 この林道途中で沢装備を着けているとき県警のパトロールがやってきて、ゲートが玄倉で閉められてから小川谷に入る人が少なくなっているということとヒル被害が多発しているという忠告を受けたのだが、その話をしているうちに警官が私の足に取り付いているヒルを見つけた。こいつは摘んで石でしっかり叩き潰したのだが、忠告どおりこの日はヒル被害が多発した。天気も予報に反して悪く酷くジメツイタ天気だったから余計である。

 いつものように目印地点から尾根を下り沢に入るまでに早速1人が手指を食われた。

 

 

 入渓したのが10:45頃で車で来た時よりはほぼ1時間近く遅れていた。F1は直ぐで10:50頃。

 

 

 早速取り付く。ここは補助程度で登ってもらう。

 

 

 直ぐ上がF2チョックストーン滝である。水量は多めではあるが右手の垂壁にぶら下がっているアブミが見えたからこちらに取り付くことにした。15年の時は水多くこれが完全に見えないほどの滝になっていたので、左手の滝本流を登った。こちらは完全にシャワークライミングとなり溺れるかと思うほど大変だった。何といってもこちらの方がはるかに面白いのだが。

 普通はこの右手の垂壁を残置アブミを使って登ることが多いのだが、こちらもこのアブミだけの場合乗り上がったところにホールドが見つからないので結構大変なのだ。今回もザックを置いてショルダーアップしてもらいやっと登った。後から写真を見ると細いが流木が傍にあったのでこれを立てかければもっと楽に登れたはずだった。

 

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 私がなんとか上がり上にあった倒木を支点にして皆さんを引き上げるがなかなか大変だった。アブミに立ち上がることが結構難しいので皆さん相当苦労した。ほぼ引っ張り上げる。ともかく何とか上がってもらいF2を抜ける。

 

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 続いてF3。これは滝直ぐ横の壁を私は登ったが皆さんは左手壁際の階段状を登ってきた。

 

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 次にF4。これは流れの中を登った方が面白いのだが少し遠慮して左手の崖を登る。

 

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 引き続きF5が現れる。ここは滝側は難しいので左手の壁を登る。私が上がりロープを出しビレイして登ってもらうことにした。ここでまだ入渓から1時間くらい。

 

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 ビレイして皆を引き上げているうちに大粒の雨が降ってきてこれがかなり激しい雨となってきた。予報では晴れ間も覗く曇りくらいだったはずだが。皆がF5上に登ってきたのが12:05頃かな。大雨は予報大外れだしこれはちょっとまずいではないかと思いながら、ともかくF5上のつるつる小滝を越えていく。

 

 

 この小滝を越えてF6を覗くところまではともかく行ってみようかと進み始めた所で沢の水が突然濁ってきた。明らかに増水してきた。まだ雨が降り始めてほんの少しで増水してきたのは(上の方で酷く降っているのかもしれない)異常であるし、程度は小さくても鉄砲水が来たら怖いことになる。F5の上は水を避けられる棚状になっているし直ぐに撤退することにした。

 小滝はつるつるで降れなくは無いが立ち木にロープを巻いて降りる。こういった2、3m程度の降りでは懸垂の器具を出すまでもない。ロープをしっかり掴んで(ゴボウで)降ればいいはずなのに女性陣はこれを怖がる。それだけ余計な時間が掛かる。これくらいには慣れて欲しいものだ。

 

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 ともかくF5の上の棚に撤退する。見下ろすF5下の沢は明らかに濁ってきた。増水もしている。しかしいきなりドット溢れる様なことはなさそうでF5を懸垂で降る。

 

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 私が最後にF5を降りたとき(12:35頃)の写真とF5に取り付き始めたときのそれ(11:45頃)と比較してみると滝の様子からかなり増水しているのが良くわかる。水もすっかり濁っている。しかしこの間わずか50分くらいである。この廊下で水が濁ってきた経験はこれまでないのでちょっと怖いし無理は出来ない。

 

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 続いてF4を降る。

 

 

 F3もロープ無しで降れる。

 

 

 F2上は登りではひょいと飛び移れる程度の幅しかなかったのに一旦中に入らざるを得ないほどに幅広くなりかつ腰を越す深さになっていたのでロープを張る。

 

 

 そしてF2のアブミの掛かった垂壁を懸垂で降る。

 

 

 F1を順に懸垂で降れば安全圏である。私はロープを掴んで降る。

 

 

 廊下は水に浸かる場面も多いことからフロートベストを何人か着用してきたこともあり、早々と撤退せざるを得なかったのも残念で、このF1滝で水を被って遊ぶ。私は何も着けてないので水に浸かるとさすがに寒かった。

 

 

 引き上げる時もまだ雨は激しく降っていた。入渓点に戻ったのが13:30頃でした。F5の上まででは小川谷廊下沢登りとしてはほんの入口で終わったことになります。

 

 

 天気予報ではもう少しマシな天気のはずでしたがこれから玄倉バス停に帰るまでも雨は激しく降り続き下流域もすっかり水が濁って増水していた。堰堤の上の中州で遊んでいた家族グループも引き上げていた。これ以上いたら帰れなくなりそうな様相だった。まだ15時前だが玄倉バス停では雨で引き上げてきたらしい登山客が大勢並んでいた。

 考えてみるといつものスタイルで1時間早く入渓していたとすると、撤退も容易ではない所まで行っていたかも知れず、降っても増水ももっと凄かったかも知れず、出遅れたのが幸いしたことになるのかもしれない。

 

 林道を帰る途中で私の左手首にヒルが食いついているのを見つけた。入渓してから帰るまでに計3ヶ所を食われた人、玄倉バス停で着替えている時食われなかったがヒルを見つけた人、帰りのバスの中で首下に食いついているヒルが見つかった人(このヒルは満腹で落ちて踏みつけたらバスの床が血だらけになって大騒ぎ)、その他ザックの中に紛れ込んで帰ってから見つけた人2人と今回はヒル被害が多発した。雨降りでジメツイテいたということも輪をかけたのではあろうが、それにしても小川谷はヒルが一層はびこっているようだ。天気のいい時には花崗岩の白さが映えてきれいないい沢なのに(天気が良ければヒル被害も少ないだろう)、歩く距離も長くなったしこれではなかなか人を誘えない。

 

 ヒルに食われるとしばらく血が止まらず気分が悪いがそれ以上のことはない。しかし雨の中などでは雑菌が入るからだろうがしばらくかゆみが残る。なるべく早くきれいに傷口を洗い傷薬などをつけておいた方がいいようだ。

 なおヒルは血を吸って栄養分が入ると子を産んで増えるので、食われたヒルは確実に殺すことですね。満腹のヒルは踏みつければパンクするので殺せますが、半端な場合靴で踏んだくらいでは殺せないほど弾力性のあるゴムのようです。ちょんぎるとか焼くとか石で潰すとか山ビルファイターなど薬品で殺すなど確実に。

塩をかけてもナメクジ以上に縮んで吸った血を噴き出すので効果的なようです。

山ビルファイターをかけたときも同じようになります。

 

  (mkさんの写真をお借りしました。)

 

  (了)