剱岳源次郎尾根 ５

　剱岳　　１７，８，５・６　　　　　　(続き）

　ちょうど真横から見た源次郎尾根Ⅱ峰懸垂下降の垂壁。

　まだ雪渓がばっちり残っているとはいえ登るとなるとクレバスだらけかな。

　この先が前剱への登り返し（前剱の門）。１５：１５頃から。すんなり降るというわけにはいかない。

　　もう疲れているから登りとなると大変だ。前剱からの降りも悪いし足が進まない。１５：４０頃。

　この先で少しゆっくり休憩。電波の通じる所で明日の帰りのバスを予約してもらう。＋５名分席が取れたようだ。

　私たちが休んでいるうち１６時前頃だろうか？わずか１時間ちょっとほど（？）前に登ってくるトレランスタイル（といってももちろん軽めのザックを担いでいる）の若い女性にすれ違ったのだが、早くも降ってきたのには驚いた。彼女は私たちをすり抜けあっという間に目の先の一服剱を登っていった。私たちはここまで降るだけで２時間ほど掛かっていた。脚力がまるで違うだけでなく、鎖や足場のボルトがあるとはいえ登攀の力も相当なものなのだろう。称名の滝の方から登ってきたようなことを言っていたので、奥大日岳を駆け抜けて来たのだろうが、剱岳までの登りのコースタイムを調べたら１４時間半くらい。登るだけでたっぷり二日コース。普通ではどうしても計算が合わない。この先何処に降る積りか知らないが少なくとも剣山荘方向にはいかないようだ。世の中には恐ろしい人がいるものだ。

　度肝を抜かれた私たちも休憩後一服剱を登る。１６：３０頃。

　振り返ると前剱も険しい。こんなところをあのお嬢さんは駆け上り駆け降っていったのだ。

　一服剱を越えれば下に剣山荘が見える。この辺りからは各自好きなペースで降っていく。１６：５０頃。

　１７時ちょっとすぎには先発隊が剣山荘に着いた。なんと１周１３時間強である。

　剣山荘は今日も大混雑である。シャワーの時間を延長してもらい汗を流すことができたのは何よりありがたい。さっぱりしたところで明日は４人が別行動となるので各自予定を確認する。そして夕食の食堂で源次郎尾根完遂を祝いビールで乾杯。なかにはビールも飲まない(飲めない）人もいる。体にアルコール分解酵素を持ってない人には悪魔の飲料かな。他方でこのときの一杯のために生きているような飲兵衛もいるというのに。それでも夕食後には皆さん疲れたかあまりお酒は進まなかったようだ。結構厳しい登りで危ない所もあったが怪我もなく完遂できてなによりでした。皆さん頑張りました。なんといっても１０人もの大部隊で登りきったのが凄いことです。リーダーご苦労様でした。

　この夜疲れで直ぐに爆睡かと思ったし直ぐ寝付いた人がほとんどだったのだろうが私は意外となかなか寝付けなかった。ゆっくりペースだったので思ったほど疲れ果てはしなかったようだ。まあどうでも明日は私は室堂まで帰るだけである。昼間雷鳥が顔を見せていたが、やはりこの夜かなりの雨が降った。

　６日朝食後今日は立山方面に登る人３名が先に出発する。奥大日岳に登る人と室堂直行でバスで帰京する人計７名が別山乗越に向かう。来た時と同じコースを戻る。もう帰京組みはのんびりしたものだ。６：３０前頃。

　剱岳ともお別れです。

　しかしこの登り返しもなかなかきつい。

　　７：００頃。雪渓を渡る。源次郎尾根のⅠ峰とⅡ峰が見えてきた。

　７：１５頃。また雪渓を渡る。

　７：３０頃。何度も雪渓が出てくる。アイゼンは要らない。

　別山乗越が見えてきた。７：５０頃。

　８：００頃。

　別山乗越で奥大日岳に行く仲間と分かれて室堂に下る。大日岳方面もいい天気のようだ。

　バスの予定は１２：３０で時間があるので、みくりがいけ温泉で汗を流していくことにした。私たちが温泉を出ようかという１１：３０前頃、少しだけ早く出たとはいえ１人で立山三山を歩いた仲間が早くも到着したのには驚いた。昨日のお嬢さんほどではないが昨日あれだけ歩いた後で健脚太鼓判。駆け回ってきたのではないか？

　室堂に着く頃から雨が降り出してバスを待っている頃には激しい雨となった。天気はやはり不安定なのだ。つくづく昨日やばい岩場で降られなくてよかったと思う。ついている時はそんなものだが。立山の２人と奥大日に行った人は降られただろう。バスは新宿直通で乗り換えもないので楽チンではあるがやはり相当距離があり、高速道渋滞無しとは行かないし結構遅くなった。

　ともあれこれで源次郎尾根から剱岳山行は無事終了した。

　　　　　（記事の中で何枚かｓｓさんの写真をお借りしました。）

　　(了)