剱岳源次郎尾根 2
源次郎尾根から剱岳 17,8,5
昨日の下見により剣山荘から一旦剱沢小屋まで行き夏道を剱沢雪渓に降りることにした。4時過ぎには出発したと思うがまだ真っ暗だった。剱沢小屋付近でようやく明るくなってきた。4時半過ぎ頃。
雪渓は途中途切れていた。
夏道の先端でアイゼンを着け、朝日を浴びながら雪渓を降る。アイゼンは良く効きクレバスもなく気分のいい時間。何事も陽射しの加減、朝の光の下では緑も白もきれいに見える。源次郎尾根Ⅰ峰とⅡ峰が聳えている。
朝日の向こうに見えていたのは鹿島槍かな?遠くの山が見えたのはこの時だけかもしれない。やがて平蔵谷入口の目印の大岩が見えてくる。
平蔵谷を渡ると対岸に明瞭な源次郎尾根の取りつきが見える。上にはかなりの人が見えこれが少しも動かず早くも渋滞している様子だ。5:45頃。
アイゼンを取りいよいよ源次郎尾根に取り付き上の渋滞地点に着く頃、下の剱沢を降ってくる一団がいたがこれはそのまま雪渓を降っていくようだ。前が詰まっているのにこれ以上後ろからも追いかけられてはたまらないからホッとした。どうやら私たちが最後のようだ。
詰まっているのは大岩に乗りあがる所らしく6:05の時点ではまだ先行グループが終わってなかった。6:10頃ようやく私たちのトップが上がり始める。私たちは10名で基本一緒に行動するが、Aリーダー班5名とB班5名と半々に分け私はB班の(だから全体の)一番後ろでA班リーダーが補助ロープやヌンチャクをセットした場合はそれを回収する役と全体の閉めということになる。
この大岩の乗りあがりは見た目よりは難しいらしく早速Aリーダーは何か補助をセットしたようだし、その後のメンバーはほぼ尻を押してもらいながら乗りあがっていて結構苦労している。どうやら引っ張っている残置ロープが思いのほか延びるので梃子摺っている様子。ともあれ全員が上がり私が最後に補助にセットされた
スリングとヌンチャクを回収しながら登る。確かにロープに頼ると大変だがそれにしても前のグループ(後から7、8人と3人の2グループと分かったが)はちょっと時間を食いすぎている様子だ。
この上は草付きや岩場そして主に木の枝や根っこを掴んでの急坂の登攀となる。しばらくは渋滞する様子もなく順調だなと思いながら登ったところでまた前が渋滞しているというので待つことになった。先行2グループの後ろの3人組も待っている。上は見えないが何か難関があるらしい。これが7時少し前頃から。
その後3人組が登っていき少し置いて私たちのA班がこの上の壁を登り始めたのだが、まだ結局上で待たされているらしく続いて登るわけにいかなかった。さらに待つしかない。
後からA班の写真を見るとこの上に5mほどの垂壁がありちょっと難しいらしく、A班リーダーがロープを出しリードを始めたのが7:15くらいからだったようだ。
A班はリーダーがセットしたロープにプルージックで登っていったのだが、後半この登攀でミスがありヒヤリとする場面があったらしく、B班最後の私が現場に着いた時にはA班の最後はビレイで引き上げてもらっていた。7:30近くだろうか?
続いてB班のトップが同じく登り、ロープはそのまま使わせてもらい引き上げをA班リーダーと交代した。A班は先に進む。B班各メンバーが登り最後の私はセットされたヌンチャクを回収しながら登る。登りきったところでB班トップで引き上げ担当とビレイ支点とロープを回収して先に進んだ。そんなわけでこの先の開放感のある岩場を登る時は8:00頃になっていた。
これから次々と露出感と高度感のある岩場を登っていくが快適である。少々天気良すぎて暑い。剱沢側も八ツ峰側も木が生い茂っているのでさほど怖さは感じないが結構な斜度である。
青空に登っていく。
快適な岩場の登攀が続き、残雪期のルンゼルートとの合流点付近に着いたのが8:30頃で、取り付きから2時間半が過ぎたのにまだⅠ峰がはるか先である。随分遠い。
(続く)