悪沢 | 鬼川の日誌

悪沢

 西丹沢、悪沢  17,7,15  

 

 丹沢のいつもの沢に行く予定だったが集まった3名とも何度も行っているので、久しぶりに少し難しい沢に挑戦ということで悪沢に行く。確かに名前どおりなかなか悪い沢だった。割沢橋の傍の駐車余地には車が一杯で直ぐ先の箱根橋(箱根屋沢入口、こちらも行ってみたい)先に車を止める。沢屋の車ではなく下の中川に水遊びに来た家族連れの車が多いようだ。

 

 入渓して直ぐにF1(10m)が現れる。ちょうど9:30頃。

 

 

 これは登れそうで準備して取り付く。手足ホールドとも豊富ではあるが岩が磨かれていて少し丸っこく持ちにくく足も滑りやすいのでゆっくり登る。のっけからシャワーになるが暑いのでちょうどいい。ハーケンは下の方で1ヶ所、ほぼ登りきった辺りに1ヶ所(残置ロープ付き)しか見つからなかったが、慎重に行けば問題ない。

 

 

 登った所で太い木の根っこに支点を作りセカンドに登って来てもらう。

 

 

 F1を越えると先の堰堤に鉄階段が掛かっており仕事道がある。すぐこの先がとても難しいとされるF2(20m)である。私たちには登れそうもなくまた仕事道で巻く。10:00頃。

 

 

 巻き道はF3も一緒に巻いていたらしく、沢に戻り進むとF4(30m)の大滝である。これも険悪な様相で登れそうもない。このとき滝の上に人影が見えた。10:20頃。

 

 

 少し戻った所右手に仕事道があり巻いたのだがこれがほぼ崩壊気味。フィックスロープが張ってある。しかしこれがコケが生えたような古いものだが頼らざるを得ず結構怖い。降りのザレではロープを補助用に出す。倒木やザレに埋まり気味の階段を降りると穏やかな沢になる。10:35頃。

 

 

 進むとこんなところに堰堤らしきがある。梯子が掛かっている。丹沢の沢ではときどき沢のかなり奥に堰堤を見ることがある。昔はこれを作る必要があったのだろうが、ここまで入るだけで大変なのに一体どのような工事だったのだろうかと不思議に思うことがある。この先しばらくナメ、小滝が続く穏やかな様相。

 

 

 F4大滝上に人影が見えたと思ったがやはり先に若者2人組が来ていた。10:45頃。この辺りは気持ちのいいナメ、小滝が続く。

 

 

 ゴルジュが出て来てその先がF5(10m)ナメ滝である。10:55頃。

 滝の下の落ち口までは問題なさそうだしハーケンもあるようだ。しかしその先が「渋い」という話だしカムを噛ませられるところもあるかどうかも怪しい。私は途中敗退でもいいから挑戦してみたかったのだが、先に来ていた若者たちも諦めて巻き始めたので私たちも巻くことにする。

 

 

 若者たちがなかなか進まないなと見ていたが、取り付いてみると岩の上に花崗岩の砂礫や泥が乗っかっていて滑り易く酷く危ない巻き道だった。高度感もありなかなか怖い。ここにもフィックスロープが張ってあるが、補助用に自前のロープもフィックスしながら登った。皆が巻き終えたところで11:10を過ぎていただろう。

 

 

 危ない高巻きを終えて進むとF6(9m2段滝)に若者たちが取り付き、1人が登ったがもう1人が登れず、この引き上げのために支点を探したりしていたり、少し時間が掛かりそうだった。この時で11:20頃。

 

 

 それで巻き道はないかと探し始めたのだがこれが失敗だった。探し始めると思うようないいところがなく上へ上へと追いやられてしまい、かなり高い所で思い切って取り付いたのだがこれが酷く悪かった。なにせ足元がグズグズと崩壊気味で心もとなく、立ち木から立ち木へと木の根を掘り出してこれを頼りにしながら登る。後続のためにロープをフィックスしながらだが、中には結構怪しい立ち木もあり怖かったですね。続く仲間も怖かったでしょう。これなら若者たちを少し待って滝に取り付き、一手難しいボルダーだというくらいだから工夫すれば登れなくはないわけで余程そのほうが良かったようだ。これでかなり気持ち的に消耗し草臥れたし時間も掛かった。沢に戻るのもロープが要ったがともかく戻った時点で12:10頃か。

 

 

 これからはナメの沢を進むと正面に大きめの滝にぶつかるがこれは支沢の滝で本流は左。この滝の合流点左岸にも小さなルンゼがあるからここは三俣らしい。左に入ると少しで大き目の滝と見えたが何段かに分かれていて問題なく越えていく。

 

 

 この後もいくつも小滝を越えていく。

 

 

 12:35頃、20mくらいの大滝が現れる。取り付きが立っているがその後は問題ないとはいえ、酷く苔むして全体がヌルヌルなので途中立ち木に支点を取ったりして慎重に登る。

 

 

 ビレイ支点を作り2人に登ってもらう。

 

 

 大滝上の6m滝。これもヌルヌルです。ほぼ必要ないが1人を肩がらみビレイ。ここで13:00頃。

 

 

 この上もまだまだ小滝が続き、それなりに悪いものもあり補助ロープを出す場面もある。倒木のある滝で13:25頃。この先が倒木だらけの二俣で左に入る。

 

 

 

 二俣を左に進んでいく。まだちょっとした小滝で遊びながら。

 

 

 13:45頃にまた二俣となる。右手先に見える滝が酷く苔むして悪そうだし左手先は行き止まりのように見える。この間の尾根が取り付けるくらいの斜面になっているので少し早いがこれを登ることにした。下写真左手の尾根。

 

 

 少し斜度が緩んだ頃に鹿柵に遮られたのでこれを越えて柵内の尾根を登り稜線に出た。稜線には鹿柵の出口があった。この尾根は屏風岩山から大滝沢へ降る大きな尾根の途中標高1000m辺りから南東へ延びる枝尾根らしい。ここで沢装備を解く。14:40頃。

 

 

 これを登っていくと先にピークが見えるところで、管理道に出るらしい巻き道が右手にあったのでこれを辿り管理道に出る。降っていくと樹林の切れ間から丹沢湖が見えた。15:00頃。

 

 

 これですんなりと行くかと思ったのだが途中少し踏み跡が不明瞭な所で枝尾根に入ってしまって登り返したり、650mと地図にある地点で伐採作業をやっていたところで藪のほうに入ってしまってまた戻ったりと時間をロスしながら降り、ようやく大滝沢の林道に辿り着いた。16:25頃。

 

 

 ここから車道に出て車を置いた箱根橋まで思ったより遠く30分近く掛かったから結局17時近い頃になったと思う。ここで着替えをして遅くなったからこのまま帰るかとも思ったが、やはりさっぱりしたいので山北駅傍の「さくら湯」に寄り汗を流した。その後2人を新松田駅で降ろして終わりとした。この日は幸い帰りの道路はあまり混まなかった。

 

 悪沢は最初のほうのFナンバー滝に難しい滝が多く、しかも巻き道が結構悪い。またいやし系のナメ滝も数多くあるがあまり登られていないらしく、水量も少なくヌルヌルのコケの着いた滝が多くそれなりに手間取る。手軽に取り付き滝登りを楽しむ沢ではないようだ。

 F6ではちょっと間違った選択で酷く悪い高巻きを強いられて、皆にも怖い思いをさせてしまったが慎重に行ったので事故ることはなかった。本来は滝登りで出るはずのアドレナリンが高巻きでたっぷり出たようです。場所が違ったがこういう緊張感もたまにはいいのかなと思うことにします。

 

 

 (仲間の写真を何枚かお借りしました。)