鍋倉山 | 鬼川の日誌

鍋倉山

 鍋倉山  17、3、3夜~5日

 

 オートルートスキーでは何度か岩の出ているところ(里に近くなった辺り)もあり帰国してスキー板を見ると結構深い傷が付いていた。肉盛り補修をしようと思ったが横浜カモシカではキットは売っていなかった。仕方ないのでせめてと思い、ベースワックスと滑走ワックスを塗りこむが、傷を隠すまでには至らない。まだ北海道十勝岳山スキーがあるのだがもはや時間がない。

 オートルートのような場合氷河だから朝は非常に硬くカリカリの急斜面を滑る(トラバースする)ので、スキー技術的にもかなり困難なものを要求されるのだが、何といっても広大な氷河をシール歩行する(横切る、登る)場面が多い。更にはコルを越えたり降ったりでは板を担ぐこともしばしばである。こうしたとき板、靴、ストックの重さが酷く応えてくる。板自体が軽いことはもちろんだが、ビンディングがTLTなどとそうでない私のチロリアなどではkg単位で違う。ガイドはディナフィットの最新のモデル(まだ日本に入荷してない)を使っていたが、板2本を持っても片手で楽に掴んで負荷を感じないほど軽い。

 また私は新しいより軽い靴が事前の山スキーで少し足に当たり靴擦れの恐れがあり古い靴を使う羽目になったのだがこれも重かった。

 総じて私の持ち物はすべてで(ザックまで)重く5泊6日ものきつい山行では私の消耗の大きな要因となった。しかしこの先どれだけ山スキーを続けられるかも分からずこれらをすべて買い換えることは直ぐには出来ない。せめて北海道では靴は新しいものを使うしかないが(少しきついので心配だ)。

 

 鍋倉山

 

 3日夜都内を出て戸狩温泉スキー場近くの宿に着く。4日は黒姫山、5日は鍋倉山、山スキーの予定である。今回は7名。ところが宿に着いたところでなんと私がシールを忘れてきたことに気が付いた。そういえば大分前の焼岳山スキーのときにも忘れて、宿でスノーシューを借りて板を担いで登ったことがある。何かの拍子に忘れてはならないものをひょいと抜かしてしまうのである。もはや私の脳みそは結構危ないところにきているのではないのか心配になる。

 今回の宿にはスノーシューは置いてなかった。鍋倉山の近くには「森の家」とかがあり、そこでは借りられるらしいが明日の黒姫山とは反対の方角で、明日はどうにもならない。

 そんなわけで4日は快晴の中黒姫山に出かける皆を見送り、私1人近くの戸狩スキー場でゲレンデスキーとなった。まったくどじな話だが、戸狩スキー場に出かけてみるとなんとグランドシニア(70才以上)は一日券が¥1000だった。これはうれしい(が空しい)。

 戸狩スキー場、遠くに見えるのは野沢温泉スキー場かな?

 

 

 一通りスキー場の斜面を滑りまわり、その後は主にオフピステ斜面を滑る。

 

 

 規模は小さい方だから1人では半日も滑れば大体のところは滑ってしまうが、講習に使うにはいいゲレンデだと思う。何といってもグランドシニアは¥1000である。これは魅力ですな。宿もとてもいい宿で食事もおいしい。野沢温泉スキー場を使うにもそんなに遠くはない。もちろん今回ここに宿を取ったように山スキーに行くのにもいい場所だといえる。

 

 5日は鍋倉山に向かう途中「森の家」に寄り道してもらいスノーシューを借りる。鍋倉山は前回来た時も滑り出して直ぐに、右足フクラハギの肉離れを起こしてしまい登れなかった因縁の地である。何かとついてない山のようだ。ともあれ私だけスノーシューで板を担いで出発する。8:45頃。

 

 

 スノーシューはツボ足よりはもちろんましだが、やはり少しだけでも沈む。これに慣れないうちは結構一歩一歩が大変である。スキー板のようにはいかないし滑らせることも出来ない。やはり圧倒的に機動力が違い歩き出すと直ぐに引き離されていく。担いだ板も重い。

 

 

 着いていけないのは明らかなのでリーダーに道は分かるので後からマイペースで行くと伝えて先に行ってもらう。小屋横を回りこむ。9:30頃。この先皆が尾根に取り付いている辺りから先で皆を見失ってしまった。

 

 

 上の写真の尾根に取り付くものと、先を一旦下に降りてこの尾根を回りこんで先で尾根を登る二つの踏み跡があったが、どちらにしろ尾根を登るのでこの尾根を登り始める。ここから急登になる。ここに来るまで一向に足は進まなかったので、これは山頂までは無理かもと一時は弱気になったが、結局少し重い荷を担いでの雪山登山と思えばそんなに大変な山ではないと思い返した辺りから、ともかく一歩一歩進むと開き直れた。

 尾根に上がると広い雪原が見渡せた。尾根にはぶなの大木が多い。

 

 

 

 いくつもいくつも気持ちのいい尾根を越えていく。

 

 

 11:30頃どうやら上は山頂かなという稜線が見えてきた。

 

 

 11:35頃山頂に着いたから3時間は掛からなかったわけだ。

 

 

 スノーシューにも慣れてきて歩けるようになってから余り休まず登ってきたので早い人とは20分、遅い人より10分ほどの遅れで到着できたようだ。途中皆が滑り始めたのに出くわしたらそこで合流するつもりだったが山頂まで登れてよかった。少し腹に入れて滑走の準備をする。

 出発12時頃。

 

 

 

 山頂部はしごく快適な滑走の出来る雪質で喜んだが、直ぐに樹林帯に入り、途端に雪が重く滑らなくなった。汗ばむほどの陽気だから雪の表面が溶けてきているようだ。

 

 

 尾根は樹林もそれ程密ではないので雪がよければ快適な尾根だと思われる。

 

 

 ゆっくり降りていっても20分ほどで最初に急な斜面を登り始めたところだと思われる大斜面に出た。ここはまあまあ快適な斜面だった。

 

 

 これを滑り降りれば滑走はほぼ終わりである。広い雪原を横切って駐車場まで戻る。

 

 

 シールを忘れるという大どじをまたやってしまったが、スノーシューを借りて板を担いで何とか山頂に登れ、そこから滑り降りることが出来たので、皆には迷惑をかけたが一日だけは山スキーが出来てよかった。これからはチェックリストをしっかり確認してポカのないようにしたいものだ。今度はヨーロッパアルプス、オートルート山スキーが控えている。これで致命的な忘れ物をしたらアウトだし。