近況
近況報告 17,4,10
東北山スキーの報告以来、ご無沙汰しています。
私にはヨーロッパは遠いです。3月23日から4月3日までヨーロッパアルプス、オートルート山スキーに行ってきました。11年前にマッターホルンに登り、次の年グリンデルワルドスキーに行って以来のことです。私はマッターホルンに続きアイガーを登るとかあまり憧れはなかったのですが、山スキーを始めてから唯一オートルートには行ってみたいという思いがあった。しかしチャンスがなくもうほとんど諦めていましたね。いつの間にか日が過ぎてパスポートも失効していたほどです。当然年も取った。
思いがけなく今年チャンス(と思われる)が巡ってきたのです。そうはいっても古希を越え年々衰える体力に不安を抱える身には無謀な挑戦ではないかとの思いは消えなかったが、「冥土の土産」に行くことに決めた。それからこのツアーに一緒に参加するメンバーその他で、「尾瀬アヤメ平」(3月7・8日)や尾瀬岩鞍西山(17・18日)などの山スキーや12~15日の志賀高原スキーなどに行った。
詳しくは後ほど報告したいと思いますが、シャモニーからツェルマットまでオートルートを完走することが出来ました。山に取り付いてから初日と2日目前半後は好天に恵まれ、3日目アローラのホテルからディス小屋まで、4日目ディス小屋から最高峰ピンダローラ(3790m)を越えてヴィニエット小屋まで、5日目ヴィニエット小屋からエヴェックのコルを越えてベルトール小屋までの長くきついアップダウンの13.5kmの道程、そして6日目最終日ベルトール小屋からテートブランシュ(3710m)山頂でマッターホルンを望み、そのマッターホルン北壁の下をツェルマットに滑り降るまでヨーロッパアルプスの大展望をほしいまますることが出来た。私は厳しいルートに草臥れ果ててしまっていて感動よりもただ無事終わったという喜びだけだったのだが、ツェルマットに降りてガイド同士では完走は「グッジョブ!」であり、私達には「コングラッチュレイション!」であり、聞くところによれば天気も5泊6日はなかなか持たないので完走率は50%くらいとか、やはり結構完走することができたということは大変なことなのだと思った。
このツアーの企画が山小屋の確保の関係もあり一日前倒しとなりかつ最初にはあったシャモニー到着後次の日は時差ボケ調整のためにも、バレブランシュを滑るという予定が変更となり、シャモニー到着後次の日にはオートルートに取り付くことになった。しかも初日トリアン小屋まで入る行程がかなり長い。これは最初から不安であったのだが。
さらに安いのだろうけどエミレーツ航空を使いドバイ経由でジュネーブ、そしてシャモニーに移動したのだが待ち時間を入れて丸一日掛かりこれ自体もきつかった。その上現地時間の夕刻到着した次の日には山に入ったのだ。心配したとおり実際時差ボケで体が重く、強風とガスの悪天でさらに雪が降ってくるという最悪の状態となり、グランモンテを11時頃滑り始めて(リフトが非常に混んでいた)からパッソンのコルを越え、最後の「ツール(氷河)の上」のコルを越えるところで日が暮れた。コルは風が厳しく寒かった。その後はヘッドランプを点けてのスキーとなった。私は初めての経験だった。真っ暗闇の中でようやくトリアン小屋を見つけたときは22時頃。ともかく待望のトリアン小屋に辿り着いたところで私はほとんどノックアウト状態。滑り出してから11時間、総行動時間は13時間近かった。この日小屋の予約は60人ほどあったらしいが、私達8人ともう一組4、5人が来ただけで他は進路を変更したらしいことからしても、如何に状況が悪かったかが分かる。小屋の管理人のお兄さん(ガイドでもある)はよく着いたと歓迎してくれ直ぐに夕食を作ってくれた。こんな遅くに着いたと文句を言う日本の山小屋とは対応が全く違っていた。しかし私は食欲もなかった。
この日が遅くなってしまったことで、小屋のガイドと私たちのガイド(今回のツアーの石坂チーフガイド、もう1人は女性の菊池ガイド)とが話し合い明日も余り天気も良くないらしいし予定を変更して、シャンペまで降った後にアローラのホテルに移動することになった。これで次の日の行程が楽にはなったのだが、私はこの日の打撃、疲れが最後まで応えたようだった。3日目アローラのホテルから最初の予定とは別ルートでディス小屋に向かった。暑いくらいの絶好の天気となった。
その後天気が良くなり大パノラマが展開しても、私にはきつい歩きや厳しい降りの行程に着いていくのが精一杯で十分それを楽しむ余裕はなかった。ともかくきつかった。やはり最初からの危惧どおりこのツアーは私の力(体力的にもスキー技術的にも)には余るものだったのだ。石坂ガイドからは私のスキー用具(板、靴、ビンディング)を含め持ち物がもっと軽いものならば、もっと楽に行けたと思うので、自信を持ってくださいと慰められたから、これまで私より動けない人たちが一杯いたのだろうとは思うのだが。(ザックも重いので、2日目下に降りて移動中ザックを買い換えることになった。)
ツェルマットからシャモニーまで一日移動日で、次の日最初に行く予定だったバレブランシュの氷河スキーだったが、さすがにそこまでは天気が持たず強風でロープウェイは動かなかったし、その次の日も天気が悪かった。またこの日はジュネーブまで移動し帰国する日で余裕もなかった。同じくエミレーツ航空でジュネーブからまたドバイを経由して羽田まで。到着は3日23時に近く荷を受け取るなどして最終電車にようやく間に合い、最寄り駅からスーツケースを引きずって(タクシー待ちが多く)家に帰り着いたのが深夜の4日1:40頃。これまたかなり草臥れた。私は帰れたが遠い人はどこかでもう1泊。
これで今回のオートルートツアーは終わりです。
既に帰国してから1週間が経つのでようやく体調も戻ってきたようだが、心底疲れたという感じがなかなか拭えなかった。本当は8・9日と阿弥陀岳・中央稜に行く予定であったが、天候不良で中止となった。行けていたらこれはこれでかなりきつかったのではないかと思われる。
阿弥陀が中止になったので8日ビッグロックに行き少しぶら下がってきた。オートルート行きが決まってからクライミングには行ってないのでほぼ1ヶ月ぶりで、身体の疲労感もあるしまるで登れないかと心配したが、軽ハングガバ系のルートは少しは登れたのでちょっと安心した。疲労感は反って身体を動かしたほうが早めに取れるのかもしれない。
ピンダローラ山頂、バックはマッターホルン