鎌倉散歩 | 鬼川の日誌

鎌倉散歩

 鎌倉の切通し  16,12,4

 

 例年なら12月の初め頃が鎌倉近辺の紅葉の盛りである。円覚寺や建長寺のカエデはやはり見事に配置されていてなかなか素晴らしい。長谷寺ではライトアップもされている。それとこの間あまり山を歩けなかった人の足慣らしということもあり鎌倉を歩くことにした。山歩きに近いところというと天園ハイキングコースもあるが、朝比奈切通しや名越えの切通しもそれなりにいい雰囲気のハイクコースである。今回はこの二つを繋いで歩くコースにした。本気で歩くならこの二つと天園コースを合わせ、更に大仏ハイクコースを抜けて長谷の辺りまで行けば鎌倉をほぼ一周歩いたことになりそれなりの一日コースである。

 

 今回は朝比奈切通しから歩くので大船駅北口のバス停から金沢八景行きで朝比奈まで。八景の方が近い。降りたバス停から少し戻ると切通し入口の看板があり、これに従い進むと直ぐに朝比奈(朝夷奈)切通しの立派な説明盤がある。直ぐ脇は工場のようだ。

ここで10時頃。

 

 

 横横道路の下を潜るとこれまた直ぐに往時の切通しの雰囲気を残す道となる。崖を掘り抜いたらしいからノミくらいしかなかった頃には大工事だっただろう。崖の中腹にはヤグラが見られる。

 

 この先に左熊野神社の石柱があり神社に寄ってみる。鎌倉の鬼門(丑寅の方角)を守るものとかで今でも結構立派な神社。上に傾いたスダジイの大木がある。

 

 

 この神社の上からやまなみルートに入ることも出来るが、まだ朝比奈切通しの少ししか歩いてないので、また切通しに戻る。戻って少し登ると切通し最高点。この辺りが崩壊気味らしく工事が行われているようだ。10:25頃。

 

 

 最高点一帯は崖にヤグラが掘られている。辺りは葬送の場で鎌倉の山はどこもそうである。その一つの崖に仏が彫られている。この先で道が下り坂となり降り始めたところで、1人が持ってきたはずのストックがないことに気付いた。歩き始めから持ってた様子がない(気付くのがかなり遅い)ことから、朝比奈のバス停に置き忘れたのではないかということで、まだバス停からそう遠くはないので私が取りに戻った。幸いストックはバス停に残されていた。この小走り往復に20~25分ほど掛かった。実は朝のスタート時に私がカメラを忘れて取りに戻り、皆さんを30分ほど待たせたから、これで1時間ほどロスしたことになる。のんびり散歩だから良かったものの最近とみに忘れ物が多くもうかなりの危険水域。

 

 

 道は掘られた岩なのだが堆積した泥でぬかるんでいる。側面の崖はいつも湿っているので沢の崖と同じで岩タバコの葉が見うけられる。

 

 

 湿った道を歩いていくと近くの障碍児施設の子供たちらしい団体とすれ違う。おぼつかない足取りでぬかるんだ道は歩きにくそうである。鎌倉の裏山を歩いていると良く出会う。多分訓練を兼ねたお楽しみなのだろうが引率の人たちは忍耐強く導いている。私には出来そうもないことで頭が下がる。

 きれいなカエデの黄葉が見られるところにくるともう鎌倉側の切通し入口で、傍に切通しを掘り抜いたという伝説の人物、朝比奈三郎の名を冠した三郎滝が流れている。当時の執権北条泰時自ら監督して作らせたと史実にあるものが、この三郎一人が掘り抜いたとかいう伝説に変貌していく過程には興味があるな。伝説の英雄というのは大体がその当時の人たちの総合力を結集した象徴として作られていくもののようだ。

 

 

 ここで11時頃。切通し自体はごく短いものだ。入口に切通しの崩落対策工事の看板があった。今日はここから看板に従い進むと十二所果樹園があり、それを抜けてやまなみルートに入る。

 

 

 カエデの紅葉を見ながら10分ほど登っていくと果樹園がある。主に栗と梅だが、収穫の季節には地元の人たちが集まって作業している。普段は門は開放されている。果樹園の上にやまなみルートといわれるハイキングコースがありこれを辿る。

 

 

 このやまなみルートは元米軍の池子弾薬庫(今の池子住宅)の周りを弾薬庫の塀(コンクリート塀や鉄線を張り巡らしてある)沿いに歩くものだ。コンクリート塀のある辺りは多分弾薬庫が近いところだったのだろう。分岐点はいくつかあるが、ともかく塀沿いに離れず歩けばいいから分かり易い。しかしぐるりと歩いてみると相当に広大な敷地であることが分かる。もっとも飛行場などと比較にはならないのだろうが。

 

 

 一帯はコナラやツツジなどが色付いていて深い森の中にいるかのように静かだが、実は住宅地は傍まで迫っている。鉄塔の下に久木大池の案内がある。

 

 

 この少し先で案内板に従い坂を下ると久木大池。果樹園からやまなみルートをおよそ40分ほど歩いたことになる。東屋があり、ここでゆっくり昼食とする。ちょうど昼頃だ。

 

 1人が持ってきたワインも飲んだから1時間ほどのんびりした。少しだがアルコールが入ったので大池入口まで登り返すのが大変だった。息が上がる。13時頃。

 

 

 上がったところは逗子ハイランド住宅地。これを抜けて横須賀線の線路沿いに歩くと法性寺(ほっしょうじ)入口である。

 

 

 寺を過ぎて奥の急階段を登るとお寺があり、その横の崖に日蓮が弾圧を逃れて隠れ住んだと言われる岩屋がある。そのとき日蓮を導いたのが3匹の白猿だったとかの伝説でこの辺り一帯をお猿畠(山)という。

 

 

 この奥は墓地で昔のヤグラと一体になっている。その上が大切岸といわれる人工的に作られた断崖が続いている。鎌倉防衛のために軍事的に作られたと言われていたが、最近これが石切り場跡であることが分かったそうである。軍事的防衛線として作られた説はいかにもだったがマユツバ説だったらしい。(軍事的役割が全否定されたともいえないようだが。)

 

 

 ここから立派な洋館の後ろを抜けると名越の切通しの一角である。

 

 

 この切通しの道の途中にまんだら堂やぐら群がある。通常は開放されてなく中に入ることは出来ないのだがたまたまこの日は開いていた。私も中に入るのは初めてである。何世紀にも渡って150穴以上が掘られた鎌倉でも最大の葬送施設ということだ。そして現代の火葬場がこの直ぐ下にあり、どうやらこの今も施設は運転されている様子。(今は煙も出ないがボイラーを焚くような音がしていた。誰かが骨になっているわけだ。)

 

 

 これを先に進むとわざと狭く掘り抜いて軍隊や軍馬などを通りにくくした切通しに出る。崖の上は「平場」といって軍隊が上から攻撃を仕掛ける場所になっている。切通しとしてよく写真で紹介されるところだ。

 また先ほどの洋館の裏に戻り、大切岸の上を抜けて逗子ハイランド方向に歩いていくと途中見晴台があり、鎌倉の海を展望できる。霞んではいたが富士山も見えた。

 

 

 ここを降ると逗子ハイランドの一番高台に出る(先ほどの久木大池付近が下)。ここの公園のカエデがきれいに紅葉していた。いい色をしてました。今日一番のカエデです。

 

 

 ハイランドの後ろの山を登っていくと衣張山。

 

 

 衣張山を下っていく途中にこれは明確に石切り場跡と思われる結構大きな洞窟がある。

 

 

 浄明寺住宅地を抜けると通りに出て杉本観音がある。今日はお寺に入ってないので紅葉を期待して入ってみたがここにはきれいなカエデは見られなかった。

 

 

 杉本観音を出たところで15:30頃となってしまったので、今日の鎌倉散歩は終わりとして鎌倉駅まで歩く。結構遠く30分ほど掛かったかな。これで軽い足慣らし散歩は終了です。またいつものようにおいしい魚料理とお酒で打ち上げで解散。