大山川 | 鬼川の日誌

大山川

 大山川アイゼントレ  16,11,23

 

 大山川は夏でも水量が少なくF1,F2に水があってもその上はほぼ伏流している。だから今年4月に登ったときも登山靴で登ってみたがそれで問題なかった(沢靴の人もいたが)。このときは何年ぶりかで山頂近くまで詰めた。冬も水がないのでここでアイゼンを履いての岩登りの訓練をやることが多い。

 今回は新リーダーによる冬山バリエーション初級の訓練企画であるが関心が高いようで参加者17名。こうした企画としては限度かな。もちろんこの場合は班分けして班リーダーの元小人数単位で動いていかないととてもこなせない。私もお手伝いで参加することになった。

 

 当日は祝日でもあり紅葉の見頃で人出がかなり多かった。ケーブルカーは順番待ちである。

 

 

 取り付きの二重滝神社に着いてみると、既に滝に取付いているグループが二組(沢登りスタイル)。一組は滝の右手の垂壁を登っているからかなりのクライマーのようだ。もう一組は4人で私たちも登る滝左の壁を登り始めていた。トップの若い?女性もそれに続く人たちもかなり苦労して登り時間が掛かっていた。しかもトップは終了点で支点を作らず岩の上で肩がらみでビレイしていたのには驚いた。落ちられたら果たして支えられたやら?ここは高さが15m以上ある。

 

 

 私たちは2~4名の6班に分けて準備する。ここ大山川の滝登りではまずここF1がいきなりの核心である。先行Gが登り始めが10:05頃であったが、肩がらみビレイでもあり1人ずつだし、とても時間が掛かったので、30分以上待たされたと思う。ともかく先行Gの最後が登り始めたところで、後を追って私がリードで取り付く。ここはスタート地点直ぐに支点があるがこれまで中間にはなくて、事実上フリー登攀となるところなので、経験のある私からいくと決めていた。途中セットできればとカムも用意した。しかし先行Gの登りで上に1ヶ所ハーケンがあることが分かったので班リーダーなら誰でも良かったのだが、F1は取り付きの手がかりの少ない岩を越えることと、最後の大岩を越えるところが、アイゼンを履いていると結構厄介なので取り決めどおり私から登る。

 

 いつもこの滝を懸垂下降するときは30mロープで降っている。私の班はフォロー2名だったので15mロープ2本にフォロワーを結んでリードした。ところが上のハーケンにヌンチャクを掛けクリップしたところでロープが足りなくなった。後2、3mほど登らなければならないので、やむなくビレイを外してもらい最後をビレイなしで落ちないように登らざるを得なかった。まあこれまでほぼフリーで何回も登っているので慎重に行けば問題ない。

 岩を乗り越えたところにある立ち木に支点をセットしてロープを垂らすが少し足りないのでスリングを2本繋いでセットする。このときで10:50頃。

 

 

 ロープが欲しいという事もあり、ロープを持っている班リーダーにフリクションノットで先に登ってきてもらう。リーダー3名が次々に登ってきた。

 

 

 さて30mロープを担ぎ上げてもらったので、通常の支点ビレイをセットして私の班2名を手初めに登ってきてもらう。ところがやはりリーダーたちとは力が違うようで最初の手がかりの少ない岩を越えるのに散々梃子摺っている。アイゼンの前爪で岩に立ちこむことが上手くいかないようだ。アイゼンを履いての岩登りでの最初の関門である。支点ビレイだから目一杯引き上げて補助する。これでは多分フリクションノットでの登りだと進まなかったのではないか?

まだ後ろに大勢が控えているのだから、引き上げられるようにしておいて良かった。なんとか引っ張り上げる。

 その後ろのベテラン勢は問題なく登ってきたので、途中でビレイを交代してもらい、班メンバーとF2を登る。F2の上で先に登っていた他の班と待機していたときで既に11:40頃。

 

 

 今日は訓練であり早めに切り上げることになっていたし、後続が揃うのを待っていては時間になってしまうので、今いる班で先に進むことにする。

 F3は滝奥に行けばロープを出さなくても登れるが、ここは訓練だから手前の3mほどの垂壁を登り私のフォロワーを肩がらみでビレイする。追いついてきた他の班には滝奥を登ってもらう。

 

 

 その先はその班の人と一緒に登っていく。

 

 

 アイゼントレに格好な小滝が続く。

 

 

 12:20頃F4のハング滝下に着いた。ここで後続を待つこともあり、昼飯休憩。

 

 

 3~4班が到着したところで私がハング滝に挑戦する。ここは残置してあるスリングを掴んで引っ張り、もろA0でもその上の手がかり足がかりを見つけるのが大変である。カムを補助にと思ったがセットするのにいいところが見つからなかった。ともかく強引に乗りあがる。滝上に乗りあがれば後は問題ない。少し進むと流木が埋まっていて、その先端にスリングを巻けたのでこれを後続の支点にする。

 コールして登ってもらう。

 

 

 

 私の班2名他、2班5名が登ってきた。このときまだ下には2班が到着していたが、下山時間も迫ってきたので登ってこなかった。予定では次のF5の二段滝までは行きたかったのだが、少し早いがこれで降ることにした。

 登った8名は立ち木を懸垂支点にして下降する。懸垂下降も練習である。

 

 

 皆降りたところでアイゼン訓練はこれで終わりとして沢を降る。

 

 

 F3も立ち木を支点に懸垂下降する。

 

 

 F2上に13:30頃には帰り着いた。F2は傾斜は緩いし短いので立ち木にロープを巻いてセットはするが掴んで降れば十分と思ったが、皆が懸垂の方がいいというので懸垂で降る。

 降るとF1の上には登攀の順番最後に回った初心者訓練班のリーダーがいて上から降りてくる人たちのF1の懸垂下降の指示をしていた。下降支点はいつもの滝の流れに沿ってでは濡れるので、これを回避して滝右(左岸)にセットされていた。

 初心者(2名)の訓練班は先に13名も登った後なので、このF1を登らせて(様子は分からないがともかく上げたらしい?)、懸垂で降ろす(降りられたのか、降ろしたのかは知らない)だけで時間的にも技術的にも一杯だったということのようだった。訓練班リーダーは結局最後の懸垂で全部の撤収までいたから、F1に3時間以上張り付いていたようだ。ご苦労様でした。私がF1を降ったところで14時に近かった。

 

 

 F1の下降。

 

 

 皆さん撤収し神社を後にしたのが14:30頃。

 

 

 紅葉がきれいでした。

 

 

  ところがまだ時間も早いのに神社下にはケーブルカー待ちの大行列が出来ていた。

 

 

 1時間以上並んでケーブルに乗り、またバスを待ち伊勢原駅に着いたのは14:30頃となっていた。

 まあ17名も参加すればベテランから初心者までともかくいろいろです。しかしほとんどの人はアイゼントレは初めてではないですから、班リーダーの元基本的なトレーニングは出来たでしょう。せめてF5くらいまでは登りたかったですが。

 伊勢原で所要のある1人を除いて16名という大人数で打ち上げ。こんな人数で入れる店があるかと思ったらありましたね。いつものごとく賑やかで大分飲んだようです。ご馳走様でした。