子持山シシ岩南東壁 2 | 鬼川の日誌

子持山シシ岩南東壁 2

 シシ岩南東壁  16,11,2

 

 

  Mさんが2ピッチ目を登り始める。師匠組みはフォローTさんが

 1ピッチ目終了点に達したところのようだ。12:40頃。

 

 

  Mさんは2ピッチ目を順調に登り、直ぐに3ピッチ目をリード

 する。下からはTさんが2ピッチ目のリードに取り掛かる。

 

  Mさんは3ピッチ目の大フレークの処理に少し手間取ったが、

 フレークを抱え込むようにして上手くフレークのトップをつかんで

 乗り上がった。ここは初めてだとどうしても戸惑う。

 

  Tさんは2ピッチ目の終了点手前の細かいホールドの処理で行き

 つ戻りつしていたが、乗り切って登ってきた。

 

 

  Tさんが到着し私はフォローで3ピッチ目を登る。フレークは

 両手で右後ろに引くようにして(レイバックの応用体勢で)足を

 突っ張りながら登ればさほど問題はないのだが、足との間がかなり

 空いているので滑りそうな感じで気持ちは良くない。

  3ピッチ目の終了点はちょっとした棚になっているので休める

 ところだ。バックの紅葉も素晴らしいし、遠くに日光白根山も

 見える。

 

 

  さて問題の4ピッチ目である。14年10月の写真)

 

 

  ここはやはりかなり難しい(5.8)し長いルートなので、次の

 ボルトの位置を確かめホールドを丹念に拾いながら登る。

  途中全くグラグラのハーケンがあったりするが、支点になるもの

 はほとんど使って登ったので手持ちのヌンチャクをちょうど使い

 切ってちょっと焦ったな。まあそれでも最後は右上の岩の張り出し

 をつかんで痺れるトラバースを越えて終了点に着いた。

 

  支点構築後の足元。このロープ沿いに登って来るのはホールド

 かなり細かく難しい。最初の登攀のときフォローでこれをやったが

 冷や汗物だった。ここを登るなら5.9はあると思う。

 

 

  前回フォローの写真を撮れなかったので、今回はメインロープの

 セルフビレイを少し長めに取り、下を覗けるようにした。

  下からMさんがフォローで登り始め、師匠組みは3ピッチ目に

 Tさんが到着したところだ。

 

 

  Mさんが順調に登ってきて、師匠組みはTさんが核心の4ピッチ

 目をスタートする。

 

 

  Mさん4ピッチ目終盤。最後のヌンチャクを回収。

 

 

  右手からだよと教えて、Mさんは岩の張り出しをつかみ、痺れ

 るトラバースを越えて終了である。ここで落ちれば振られるから

 落ちるわけには行かないところだ。

 

 

  核心の4ピッチ目を終えてまだ14時になっていなかった。

 最初は4ピッチ登れれば降ろうかと考えていたのだが、かなり

 順調に登ってきたので先に行けそうだ。ただ靴を持ってこな

 かったので懸垂で降らなければならない。

 

  懸垂でトラブルとえらく時間がかかることもあり得るので、

 この日の短いときには冒険だと思ったのだが行くことにして、

 Mさんに5ピッチ目を登ってもらう。

 

  5ピッチ目はビレイ点からは全く見えない。ビレイしているうち

 にTさんが4ピッチ目を登ってきた。最後のルート取りは教えて

 あげたが、リードでは最後のトラバース部分で相当痺れたようだ。

 口癖の「怖い」を連発しながらもそれを越えて見事完了。

 

  Tさんが4ピッチ目を終了して、上からのMさんのコールで私が

 登る。この5ピッチ目をフォロー、6ピッチ目をリードで登るが、

 4ピッチ目を終えてほっとしたのか写真を撮るのを忘れた。

 

  6ピッチ目の最後の立った岩の乗り越しではガバまで手が届かず

 もう疲れたかA0で越えた。(写真は14,10の6ピッチ目。)

 

 

  6ピッチ目終了点から。14:50頃。

 

 

  6ピッチを終えれば7ピッチ目はやることもないので、懸垂下降

 の準備だけやって、師匠組みが登ってくるまでに山頂に登る。

 

 

  山頂からの眺め。

 

 

  山頂の石塔と奥の子持山。

 

 

 

  6ピッチ目終了点に戻るとTさんが終了して、フォローの師匠が

 登ってくるところだった。最初取り付くときには6ピッチを終了

 できるとは思っていなかったが、約3時間と実に順調に登れた。

 

  それでも15時を過ぎたくらいになったので、急いで懸垂で降る。

 懸垂下降にはトラブルがつきものだし、トラブル余裕時間は残さ

 れてないので、慎重にトラブルの目を摘みながら降る。

 

  途中アラレがぱらぱらと落ちてきたが直ぐに止んでくれた。

 ちょっとドキッとしたな。慎重に降り大きなトラブルは起こさず

 に降れた。それでも16:30近くになり薄暗くなりかけた。

  今頃の日暮れはとても早い。

 見上げる夕暮れのシシ岩。16:40頃。

 

 

  下山を始めるころはまだ足元が見えるくらいだったのだが、

 林の中の沢状の登山道に入るころはもう真っ暗だった。

 しかし登山道ならランプさえあれば問題ない。

 

 

  ともあれ無事下山して車で帰京する。

 

  スタートの交通混雑や子持山林道の途中車通行止めで、いつも

 より遅く取り付き、天気も怪しく、6ピッチを登りきれるとは

 思ってなかった。しかしこれを完了できて難しくはあったが

 楽しいマルチクライミングだった。やはりお互い信頼できるパート

 ナーと組むのがマルチの原則だろう。

  先日の借りを返す素晴らしい1日だった。