子持山シシ岩南東壁   | 鬼川の日誌

子持山シシ岩南東壁  

 シシ岩南東壁  16,11,2

 

 

  葛葉川本谷の前週マルチクライミングの練習会に参加した。

 しかしマルチクライミングと銘打っていたのにマルチをやるため

 の当然のロープワークがしっかり出来ない人がいるとか、組んだ

 相方との間で取るべき意思疎通をしっかり取らない人がいるとか、

 いろいろなトラブルがあった。

 

  そもそもツルベでのマルチをやるつもりなら、お互いの力量なり

 が良く分かっていなければ出来るものではない。そうでなければ

 ペアを事前に組みその相方との間でロープワークの練習するなり、

 少なくともコールのやり方(意思疎通のやり方)を確認するなど

 が当然やられていなければならない。

 

  マルチ経験が少ないなどが前提であれば、経験者が教えながら

 相方を引っ張っていけばいい。(この場合はツルベではない。)

 

  しかしツルベで出来るはずと前提して組んだ相方がセカンドの

 ビレイもまともに出来なければ、組んだ人はヒヤヒヤものの登攀

 を強いられる。下手をすれば命がけだ。これはあってはならない。

 

  またビレイ器を落とすなどのトラブルがあったとき、これを切り

 抜けるのに手間取っているなら(懸垂を半マストでやるなど、落と

 したことにパニクッて半マストが上手くできないではマルチ以前

 であるが)、相方に現状を都度連絡しなければ、いつまで経っても

 降ってこない相方を何をやっているか分からずいらいらしながら

 待つことになる。そのことすら理解しないのではツルベを組む

 べきではない。

 

  ともかくマルチクライミングをツルベでやるにはお互いが力を

 分かっているもの同士(どのくらいの力なのか、あまりにも前提

 だがロープワークがきちんと出来る人なのか)で組むべきである。

 

  少なくとも相方に意思疎通をする重要性くらいは分かっていな

 ければ。また力はそれなりにあったとしてもあまり組みたくない

 と思っている人と組んだのではマルチは楽しめるはずもない。

 

  そんなこんなでこのときのマルチクライミングはあまり楽しめ

 なかった。そこでこれまで何度もマルチ登攀を組んだことのある

 もの同士でもう少しすっきりしたマルチクライミングをやりたい

 と子持山のシシ岩を登ることになった。

 

  ここは三ツ峠で私たちが登る、中央カンテとかクーロワール、

 亀ルートなどよりは大分難しいのだが、しっかりしたボルトが打た

 れているので挑戦しがいがある。前回のマルチで楽しめなかった

 3人に+師匠が参加してくれることになった。

 

  2日朝都内を出るが平日通勤時間で高速道路は混んでいた。

 そのうち事故渋滞と分かり一般道に下りて、先で高速に戻ったり

 しながらいつもより時間がかかり子持神社に到着。子持山林道に

 入ると3号橋の手前で道は完全に塞がれている。

 

  ちょうど別グループが車を置いて歩き始めるところだった。

 仕方なく私たちも車を置いて歩き始める。いつもの7号橋駐車場

 までまだ1.5kmくらい手前らしい。

 

  歩き始めると道は多分土石流と思われる洪水が起きたらしくずた

 ずたになっていた。(いつの事かは分からない。私が前回来たのは

 14年10月ともう2年前である。)

 

 

  とりわけ7号橋手前にはこんなものがと思われるほどの巨大な岩

 が道路を塞いでいた。この荒れ様では当分の間は3号橋手前から

 ここまでの通行止めは解除されそうもない。

 

 

  いつもの登山道から木製の桟道を登っていくと屏風岩の祠に

 出る。このオーバーハングの岩にもボルトが打ってあるが私たち

 の取り付けるレベルではなさそうだ。ここで既に10:50頃。

 

  いつもならもう登攀に掛かっているころである。これでは何

 ピッチ登れることやら、途中で懸垂で降りることになるかなどと

 考えながら登る。天気もあまり良くないし。登山道も荒れている。

 

 

  沢から山腹になり、6号橋からの登山道分岐先に登山道とシシ

 岩との分岐がある。「この先危険」が入口で100mほど行けば

 基部に着く。

 

 

  シシ岩基部には先に駐車場を歩き始めていた3人組らしいパー

 ティーが準備が終わり取り付き始めようかというところだった。

 ガイド山行なのかヘルメットと靴が皆お揃いである。

 

  今日はあまりいい天気ではなく山頂付近1000mでは3度とか

 4度とか冷え込む予報で心配だったが、取り付き付近はさほどで

 はなく一安心。

 

  私たちも登攀準備を整え、山頂までは行けない可能性が高いの

 で、途中から懸垂で降ることになるだろうと登山靴は置いて行く

 ことにした。

 

  組み合わせはシシ岩は初めてのMさんと私O2が組み、師匠と

 Tさんが組むことに決めていた。核心の4ピッチ目を含む偶数

 ピッチを私が担当し、初めてのMさんは奇数ピッチ。

  2人とも経験者の師匠組はTさんが難しい方の偶数ピッチに挑戦

 することにしたようだ。

 

  本当は取り付きのいの一番は何かといやなものなので、私が1,

 2ピッチを繋げてやろうと思っていたのだが、先のガイド組みが

 1ピッチ目で切っているので私たちも切らざるを得ず、Mさんに

 頑張ってもらう。

 

 

  ガイド組みが2ピッチ目をスタートしたところでMさんが取り

 付く。もう11:50頃である。

  取り付きは逆層気味で侮れないが、フリクションはいい。

 Mさんはじわじわと確実に登っていく。上のガイド組みのフォロー

 の若いご婦人2人は「きゃーきゃー」いいながら登っていたよう

 だし、2ピッチ目のハイステップのところで滑り落ちていた。

 写真を見ると膝を付いている。

  Mさんが1ピッチ目の支点を構築する。

 

 

  Mさんのコール後私がセカンドで登る。前半の縦ホールドを使う

 辺りが結構難しいが、何せ足が滑らないので助かる。

  1ピッチ目の終了点にはボルトが沢山打たれているらしく何組

 も可ということで、師匠も直ぐ後をリードで登ってくる。

 1ピッチ目の終了点から。

 

 

  師匠組のフォローがスタートし、O2が2ピッチ目をリードする。

 出だし直ぐのハイステップが問題だが、ホールドはがっちりなので、

 思い切って乗り込めばそう難しくはない。

  それよりも終了点手前が細かく結構難しい。ホールドを慎重に

 探り突破する。

 

  2ピッチ目の終了点は狭くハンギングビレイになる。コール後

 Mさんがスタートして、師匠組みのフォローが登っているのが見える。

 

 

  (続く)