葛葉川本谷 | 鬼川の日誌

葛葉川本谷

 葛葉川本谷沢登り  16、10、29

 

 今回はこれから新しく自分で企画を出そうという人の最初の山行企画ということで、そのお手伝いと枯れ木も・・で参加することになった。沢の季節終了ぎりぎりの企画であるが天気さえ良ければ丹沢辺りならまだ問題ない。ところが今年はどうも天気が良くならない。この日も回復傾向との予報で決行したのだがとうとう一日ぐずついた寒い日だった。

 

 参加者も2人が怪我したり不調で来られず、リーダー、サブリーダー、私の他は2人となってしまった。まあ沢は5人くらいがちょうどいいとはいえ少し物足りない。いつもは菩提バス停から峠越えで葛葉の泉まで歩くのだが、今回は手前の菩提原から歩いてみた。こちらはしばらく平地歩きだが少し遠回りのようだし、結局は長い坂を登ることになり、泉まで5分くらい余計時間が掛かるようだ。(足が遅かったからかも?)

 

 葛葉の泉で入渓の準備をする頃は霧雨状で、私は夏に続いて同じような悪天での葛葉川ということになった。ここはそうでなくとも薄暗い沢である。夏ならシャワークライミングを楽しめる滝が多く滝を直登すればそれなりに面白い沢だが、今頃のこの天気ではとてもそうは行かない。

 泉の直ぐ横の川岸にブルドーザーが入って工事中である。何事かと思ったらどうやら川が氾濫したようで橋が土砂を被っていた。多分橋の上の高さまで土砂で埋まってしまったのだろう。広場に堆積した土砂は川を埋めたものを浚い上げたものらしい。相当な出水だったようでよく橋が壊れなかったと思う。小さな沢でも凄いことになる。

 

 

 ともあれ薄暗い沢に堰堤の上から入り歩き始める。歩き始めの沢の様子はそれほど変わったところはない。リーダーの後ろには山歩きのベテラン女史。沢は久しぶりですというがさすがに沢でも問題なく進み、小滝登りもお手の物だ。ところがもう1人の年配女史が沢に入った途端にまず普通にジャブジャブと歩けない。聞けば沢は2度目とかだが、これは慣れてないとかいう問題ではなさそうでどうも水が怖いらしい。下ばかり見て全然進まないのだ。小滝も何らかの補助がないと上手く登れないことがほとんどだ。結局遡行中ずっとサブリーダーにつききりで面倒を見てもらうことになった。

 

 

 何歩も歩かず後ろを振り返るとずっと離れてしまっている。不思議なくらい遅く、結局しばしば待つので歩みののろいこと。

 

 

 薄暗い小滝。この上がF1になる。いつもならシャワークライミングを楽しむF1トイ状滝も今日は寒くてそれどころではなく、下の小滝を登った後は右手の壁から巻く。巻いたのでトイ状滝の写真を撮り忘れた。

 

 

 横向の滝は問題ない。

 

 

 次の小滝は水流中を直登すると割と手応えあるのだが、今日は濡れたくないし少し増水している。年配女史は登れそうにないし。でリーダーも無理せず左を小さく巻く。

 

 

 次が幅広の滝。ここも水流直ぐ左をシャワーを浴びながら登ると面白いのだが、左手の小さな水流の階段状を登る。ロープのいるところではないが、高さがあるので年配女史のためにリーダーがロープを引いて登る。

 

 

 皆はそのまま登るが年配女史は確保する。

 

 

 次々と小滝を越えていく。こういうところでもしばしばお助け紐の出番だ。

 

 

 二俣の滝を越えると葛葉では一番のシャワークライミングが出来る板立ての滝だ。もちろん今日はシャワーは浴びられないので右手の壁を登る。抜け口が少し悪いのでビレイしてリーダーに登ってもらい、上に支点があるので確保の体勢を作ってもらうが、年配女史以外は皆ロープに触るぐらいで登る。最後に年配女史を引き上げる。

 

 

 大きな倒木を越えていくと上に林道の見える曲がり滝。ここは易しい。これくらいは年配女史も頑張る。

 

 

 これを越えると林道の橋の下を潜り、二つほど小滝を登ると林道に出られる道のあるテラスに上がる。いつもならここで昼飯くらいだが今日はもう手前で休んでいる。

 

 

 もう少し上に行って見ようということで、林道上の4mほどの小滝を越えて、4,5mのいつもはシャワーになる階段状のチョックストーン小滝を水を被らないように左手の壁から登る。逆層である。

 

 

 ここでリーダーが年配女史を引き上げている間に、少し先を偵察に行く。直登すると割と手応えのある小滝がある。そしてその上はゴーロ状がしばらく続く(その先に富士形の滝があるはずだ)ようだし、雨もぱらついてきたので、これで終わりにして下の林道に出ることになった。どうもこの辺りの沢の様相は夏とは様変わりしているようだ。下の葛葉の泉傍の川の氾濫の様子からも大出水があったのかもしれない。沢は来るたびに変貌している。

 

 

 降るとなると懸垂となるが、小滝は二つほどだ。

 

 

 上の小滝にはあつらえ向きの倒木があったが、下には支点になりそうなものがないので、立ち木を使った懸垂となる。ちょっとした懸垂下降の訓練。

 

 

 これで沢は終わりとして林道に出て沢装備を解く。雨がぱらつき結構寒い。林道を少し歩くと二の塔尾根を降る道がある。ここから葛葉の泉に戻る。二の塔尾根も大分林道が出来ている。

 

 

 泉から菩提原に出る道で雨が結構本降りとなってきた。結局今日は一日ほぼ雨だった。回復傾向との天気予報は大外れである。バスで秦野に出てご苦労さん会で閉めた。

 

 新リーダー初めての沢企画だったが、まあ誰も怪我するようなこともなく無事に終えたので一安心したことでしょう。あちこちの山行に来ては足を引っ張り、予定を潰したり、滝を登れもしないのに単独で沢に入って遭難騒ぎを起こすような札付きおばさんは断ることは出来ても、来てみないとどんな様子なのか分からない場合も沢山ある。今回のように易しい沢ならさほど問題にはならないが、連れて行くほうは気疲れするだろう。少なくとも沢中をジャブジャブ歩くと童心に返れるというくらいでなければ、何も無理して沢登りなどやることはないと思うのだが余計なお世話かしら。