夏休み明け | 鬼川の日誌

夏休み明け

 ぼつぼつ

 

 筆不精とか出不精とかいう言葉があるように、出歩く習慣がなければますます歩かなくなるものだし、文章も書かなければ書きたくなくなるものだということが、この夏休みでよく分かった。

天気も余りはっきりしないこともあったが、8月はほとんど歩かなかったので、書くこともなかったということもある。総じて体調不良、炉心溶融ならぬ脳みそ溶融。山計画がなければやることもないので、ジムクライミングには結構行っていたのだが、こういうときはモチベーションが上がらず、これという成果はなきに等しい。何もしないよりはいいというくらい。

 

 実は8月の終わり頃に西穂から奥穂への縦走計画があった。元気なおば様方を連れていくことになっていたのだ。ここは一般縦走路としては最難コースと言われるところだし、もちろん私はガイドではないので、おば様方には私は道案内はしますが「くれぐれも自己責任でお願いします」と断っての話である。おば様方は歩くことにかけてはとても丈夫な方々でそちらの方は心配ない。むしろこのところ余り歩いてない私の方が問題だ。

 

 そんなわけで山頂を目標とはせずあくまで足慣らし目的で、富士山に須走り口から登ることにした。声を掛けたところ縦走参加の2名(私をいれると3名)を含め計6名となった。

28日から西穂へ出かける予定なので、24日か25日か迷ったのだが出来るだけ早くと24日にした。全国的には雨模様だが、「山の天気予報」では何とかなりそうな予報ではあったのだ。しかしこれが悪かった。須走り口5合目(1970m)に着いてみるとカッパを着なければならないくらいの雨である。不調のときは判断もしばしば誤る。

 

         

 

 しかし足慣らし目的だからともかくカッパを着て歩き始める。

9:40を過ぎたかな。

須走り口から登るのは前がいつだったか覚えてないくらい相当に久しぶり。歩き始めると蒸し暑い。少しは濡れるがカッパの上を脱いだり着たりしながら登る。蒸し暑いのは苦手だ。

足慣らしだし、カッパを着てるし、私は普通にゆっくり歩いているつもりだったがペースが「早い」と言われる。後ろを確認しながら登ることにする。

富士山には花は少ない。トリカブトが雨に濡れていた。

 

        

 

 雨の中しばらくは溶岩の歩きにくい道を黙々と歩き、下山道にある砂払い5合目小屋を下に見て今度は砂礫の道を登る。これも崩れるから歩きにくい。5合目から約1時間くらいで新6合目である(長田山荘、2460m?)。10:40頃。間が1時間と言うのは結構距離がある。確かここから下に山中湖が見えたと思うが今日はそれどころではなく何も見えない。

 

      

 

  まだ早いので先に進む。この先で樹林が終わったかな。富士山の登山道でしばらく樹林帯を歩けるのがこの須走り口コースの特徴である。11:20頃、本6合目瀬戸館(2700m?)。

 

        

 

  11:30頃、本6合目を見おろす。いかにも富士山の風景。

 近場は見えるが遠くはガスで何も見えない。

 

        

 

 12:05頃7号目に着いた。ここで2960mとかで、5合目が1970mだから、ちょうど標高差約1000mを2時間半弱で登った勘定になる。時間400mだからまあまあのペースで登れた。(標高は数10m違う表記があるから大体。)

 

       

      

 

  ちょうど12時頃でもあり昼飯にする。そのうち雨がかなり激しくなってきて、体感温度が一気に冷えてくる。蒸し暑かったのが寒くなる。これでこれ以上登る気は失せてしまったし、一応足慣らしの目的もまあ達成したことにして、降ることにした。雨の中まあまあのペースで登れたので良しとしましょう。西穂から奥穂へは10時間近く歩くから本当の問題は持続力なのだが。これで草臥れてしまっても登れないし。

 

 今年の正月頃から病気になり、数ヶ月臥せっていた人が今回参加したのだが、今年初めて3000m近くまで登れたと喜んでいた。数ヶ月病んでそれもあの世を垣間見るほどの病から、歩けるまでに回復するには相当の苦労があっただろうし、今日こうして一緒に遅れず着いて登ってこれるまでになったのだから素晴らしい。

 

 写真に写っている簡易なビニールカッパを着た外人さんが話しかけてきた。サニーかレイニーかと言っているようだがこれからの予報を知りたかったようだ。もちろんレイニーと答えると諦めたようで降り始めた。こんな天気でも登っているのは私たちだけではなく結構多いからさすがに富士山。風がないのでこの辺までなら問題ないが、3000mを越すとさすがに軽装では危ない。

 

 7号目からは砂走り下山道がある。今日はホコリは立たないが濡れたホコリ(灰)で靴、カッパが真っ黒になる。しかしこの降りは快適であっという間に砂払い5合目(2230m)である。

7合目で10分以上は休んでいるから、出たのが12:20前頃で、

50分頃には着いた。雨も上がって少し休憩する。そのうち雲が切れて晴れ間も覗いたりする。

 

        

        

 

 須走り口からの降りのシャトルバスはあいにく行ったばかりで、かなりの時間待つことになった。(前のバスは砂払い5合目から掛かる時間表記ではぎりぎりで、慌てることもないので休憩し見送った。)13:30前には今日の歩きは終了である。5合目は濃いガスに覆われていた。そのうちまた強い雨が降ってきたりした。

 

        

        

 

 雨の中だったが少しでも歩けてまあ全く足が進まないなどということはないことは確認できたが、これでは10時間の歩きに耐えられるかは心もとない。

しかし結局西穂から奥穂への縦走は天候不安定で中止となった。