八ヶ岳バリエーション 2 | 鬼川の日誌

八ヶ岳バリエーション 2

  大同心稜、阿弥陀北稜  16,3,20・21   (続き)


  横岳、地蔵尾根廻り組を見送る。10:15頃。


  私たち3人は硫黄岳に向かう。阿弥陀岳方面の展望。


  硫黄岳は緩やかではあるが結構だらだらと登りは長い。
 硫黄岳山荘は全体としては少ないのにすっかり雪に埋まっていた。
 10:40頃。


  阿弥陀岳、中岳の向こうに権現岳や南アルプスが見えてくる。


  雪は少ない。急ぐこともないので休憩を兼ねてロープワークの
 講習会。10:50頃から。


  硫黄岳山頂直下、この辺りから見る赤岳から阿弥陀岳の稜線が
 見事だ。


  硫黄岳山頂は広々してます。11:25頃。


  5人組が歩いているだろう横岳から赤岳の稜線。阿弥陀岳の
 向こうの権現岳。南アルプスは雲の中。


  明日行く阿弥陀岳の様相。


  阿弥陀北稜がほぼ見渡せる。11:30頃山頂に人影らしき。
 もしかしたらJリーダーグループがいた頃かもしれない。


  のんびりと降ります。



  降りの樹林帯で。12:10過ぎ頃。
 

  阿弥陀北稜のルート。


  大同心沢に戻ってきた。12:30頃。


  大同心と小同心。


  私たちが一番早く宿に帰った。その後地蔵尾根廻り組が帰り、
 阿弥陀岳組も全員無事帰りつく。
 また明日に参加する4名も到着して総勢16名。(このうち所用で
 2名が明日朝下山するので、明日の行動は14名。)
 大部屋も一杯とかで4名は部屋の押入れを使う。
 まあこの後の宴会は賑やかでした。

  明日は阿弥陀北稜組7名と大同心稜組7名。
 (阿弥陀北稜組は今日の大同心稜組から2名抜けて新に1名。
  O2班3人、Os班2人、In班2人の3班。) 
  
  21日朝また行列を作り朝飯を待つが、今回は16名の団体とい
 うことで一番に食べられた。お陰で少しばかり早めに準備出来て
 出発する。6:40過ぎ頃出たようだ。
 大同心稜組は鉱泉に戻ってくるが、私たち阿弥陀北稜組は行者
 小屋から登り、一周して小屋に戻りその後は南沢を降るので荷物
 は全部担いで行く。
 (登攀にいらないものは行者小屋にデポする。)


  朝一荷も重いし中山峠までの登りがきつかった。不要(?)な荷の
 多い人がヘバリ気味だ。行者小屋で少し休んで回復したようだ。
 不要な荷はデポし身を軽くして予定通り7名で阿弥陀北稜に向かう。


  阿弥陀岳分岐7:45頃。濃いガスに覆われてきて気分が滅入る。


  北稜ルートは急坂で雪がかなり深い。しかしこちらもしっかり踏ま
 れているのでラッセルすることはない。ゆっくりペースで行きたいし
 先頭を交代することなく進む。7:55頃。


  しばらく樹林帯の急坂が続く。8:10頃。


  ひとしきり急坂を登り休憩。8:25頃。
 深いガスで先も良く見えない。これから取り付き点までがもっとも
 急峻な凍り付き気味の雪壁だった。ここはコンテにしても良かった
 なと思ったが、壁が見えなかったし既に取り付いていたので、しっか
 り前爪を効かせ、ピッケルもピックの先端を使いながら慎重に登る
 ように皆に注意を促して登る。


  急斜面を越えると目の前が取り付き点。そこには2人が登攀の
 準備をしていた。もう登っている組も見えた。
 8:40頃だから出発から2時間だ。


  2人組みは女性の方が1ピッチ目リードで取り付いていく。45m
 ほどで1ピッチ目を終わったようだ。
 この間に私たちも準備する。私は一本のロープで女性2人を引き
 揚げる。(O2班3人)。
 2人組フォローの男性が取り付き登るのを待って、少し遅れて後に
 続いて登る。
 最初のクラックの部分はホールドはありさして問題はない。
 しかしその上が凍った草付きが露出していてこちらの方が悪い。
 その上は岩と雪のミックス帯、その上は雪壁と変化に富んでいる。
 4つ目まではしっかりした支点がある。その上は岩にスリングを
 巻き結んで支点にする。
 1ピッチ目終了点に達する手前で、「一杯」のコールが聞こえた。
 ここで一杯では届かないではないか。おかしいと思いロープを引く
 がしばらく動かなかった。そういえばフォローの2人をヘソ出しで結
 ぶ結び方を解説してそのままビレイさせたから、当然短くなってい
 たわけだった。
 うっかりしていた。足元はもう緩い雪壁で問題なかったが。
 まあそのうち下で修正したらしくロープは動いて終了点に達した。

  しっかりしたボルトの支点がある。ビレイ支点を作りコールして
 2人に登ってきてもらう。2人が見えたのが9:35頃。


  2ピッチ目の取り付きも少しだけ岩壁。しかしその先の様子や
 何処でビレイ支点を作るかとか、フォローの2人は分からないので
 リードは不安ということでここも私がリードする。


  岩を乗り越えていくと上はナイフリッジとなるが、足元はしっかり
 踏んでありさほど問題なく通過する。その上からは深い雪壁となる。
 ナイフリッジから10m程登ったところで、雪を掘り起こしてハイマツ
 を支点にしたらしい跡があったので、これを使わせてもらう。
 支点を作りビレイして2人が見えて来たのが9:55頃。


  ガスで下が見えなかったが、見えていれば爽快な場面だったと
 思われ残念でした。ハイマツの支点から少し上がると棚状になって
 いる様だったので2人に先に上がってもらう。


  棚でロープをマトメ、コンテにしてここからは2人に先導してもらう。
 阿弥陀岳山頂は直ぐで10:10過ぎには到着したがガスで何も見
 えない。一般ルートを登ってきた人たちがボツボツ到着する。


  今日も寒くはなかったがこの頃から風が少し出てきて山頂は吹き
 さらしでさすがに寒いので、直下で風を避けて休憩し後続を待つ。
 展望があれば一区切り後でゆったりと最高の時間だったはずだが。
 10:30前に第2班(Os班)が到着する。


  ときおり明るくはなるがガスは取れない。


  10:40頃には第3班(In班)も到着する。


  さて下山ですが、阿弥陀岳の一般下山ルートは急雪壁で侮れな
 い。特に最後(登りの取り付き近辺)が危ない。やはりちょっとした
 アクシデントがあったが怪我をするようなことにはならず無事通過。
 中岳沢に入る。11:10過ぎ頃。
 ここは降雪直後だと雪崩の危険があるので怖いところだが、19日
 は余り降らなかったしその後好天だったので、鉱泉のスタッフももう
 大丈夫でしょうという話だった。


  急斜面の深い沢なので確かに雪崩れそうで怖い。



  阿弥陀岳分岐に11:35頃。
 北稜を私たちの前を先行して登った2人組みがちょうど到着していた。
 2人は中岳沢は避けて中岳を越えてきたらしい。
 聞けば神戸から遠征してきたという話だった。後から思い出したが、
 昨日私たちが大同心稜に取り付いているとき、小同心の方に向かった
 2人組みはこの人たちだったようだ。神戸から遠征してくるくらいだから
 連休に2ヶ所アタックしたのだろう。ご苦労様です。


  行者小屋11:40頃着。ちょうど5時間(行者小屋から4時間)でした。


  デポした荷を回収し下山の準備をしてるうちにガスが取れて晴れ
 てきた。見る見るうちに快晴となる。なんともはや!な感じだね。
 阿弥陀岳からの大展望を見たかったが、昨日あれだけいい展望が
 見られたからそう贅沢はいえないか。



  12時頃にはすっかりきれいな阿弥陀岳、赤岳が見られた。



  南沢を少し降って横岳、大同心、小同心ともお別れ。


  13:10過ぎには美濃戸に着いたから早い。阿弥陀岳が見えた。


  美濃戸に車を乗り入れた人に美濃戸口まで送ってもらったので
 (3人)今回は楽をした。美濃戸口から車で帰る3人も足が速いの
 で、阿弥陀北稜組は余裕で美濃戸口。
 美濃戸口から車で帰る3人と車のもう1人を見送り、残り3人は
 余ったお酒を酌み交わしながらバスを待つ。
 ぽかぽかと暖かくアタックを無事終えて最高の時間。
 バスは14:45だったか。
 大同心稜組は間に合わないかと思ったがぎりぎりで到着した。
 お陰で全員まとまって帰れる。


  八ヶ岳雪山バリエーションの2日間、今日はガスが濃く展望がない
 のは残念だったが、昨日は最高の天気で素晴らしい雪壁登りを楽
 しめた。展望も素晴らしかった。
 厳冬期ではないとはいえ、バリエーション山行にこれだけの人が参
 加するのだから、それに応えるだけの山行企画が少ないということは
 どうみても否めない。

  大同心稜組の写真(KMさん)を何枚か載せさせてもらいます。








  (了)