槍ヶ岳 2 | 鬼川の日誌

槍ヶ岳 2

  初冬の槍ヶ岳  15,11,2~3


  槍の穂先を目指し雪道を踏んで行く。きついが気分がいい。


  殺生ヒュッテが近づいてきたがまだ何段もモレーンを登る。
 12:30頃。穂先が徐々に大きくなる。



  ようやく殺生ヒュッテの高さに。蝶ヶ岳の向こうに八ヶ岳、富士山、
 南アルプス、中アルプスと大展望。12:45頃。


  13時前最後の急斜面に入った辺りで、なしでも登れる斜面だが訓練
 としてアイゼンを装着する。


  装着し終わった人から登っていくと、装着の遅い人たちがずっと
 遅れてしまった。冬山では手早く次の行動を起こせる訓練も欠かせ
 ない。アイゼンの装着でもたもたしてはいられない。


  鈍足組みの先頭が山荘前に到着したのが13:30頃。


  山荘前からの展望は素晴らしい。



  先行組みの先頭班か?ちょうど槍の山頂に到達したところのよう
 で人が動いているのが見えた。


  ここから先は昨日の編成どおり、班毎にロープを結んで穂先に
 取り付くことになる。私の班は1人が疲れて穂先登攀を諦めたので、
 もう1人が山荘に到着したところで出発する。鈍足組ではトップ。 
 登りの途中山荘を見下ろす。笠ヶ岳が大きい。
 14:10頃。
 この後少しで先行班トップが早くも降ってきた。

  穂先登攀は雪の付いた急な岩稜であるが、鎖、梯子が出ている
 のでそう問題はない。ただところどころ鎖もなく雪壁となっている部分
 もある。
 相棒とロープを結び所々にヌンチャクを掛けロープを通して、万一
 どちらかが足を滑らせても止まるようにして、コンテで登る。スタカット
 登攀にするほどではないとはいえ、落ちれば助からない。
 この辺はそれぞれの班の判断だが、安全の確保と登りのスピードを
 上げることとを天秤に掛けてバランスを取らなければならない。


  相棒の最後の梯子の登り。


  山頂到着14:25頃。写真を撮ってもらう。


  山頂からの展望。全体に青みがかって素晴らしかった。しかし私の
 記録用カメラではその感じは写せなかった。写真の撮り方もなぜか
 (疲れたか)雑だったようでちょっと残念。


  西釜尾根と双六、三俣蓮華方面。右奥は薬師岳か。




  記念写真です。奥のほうから剱岳の方面を撮ればよかったが。


  常念岳、蝶ヶ岳とその奥。


  穂高岳方面。


  鈍足隊の2番手でリーダー組みが登ってきた。


  14:30頃リーダー到着。


  フォローの2人。


  以下はその後の組の写真です。(お借りしてます。)

                      (KM)

                       (KM)

                (HI、大き過ぎ編集してます)

  私たちは2番手が到着してから直ぐに降り始めた。降りは基本相棒
 をハンマストで確保して降ろし、途中幾つか支点をとってもらい、私が
 続いて降るという方式。また鎖のしっかり出ているところでは、上で
 ヌンチャクにロープを通して仮確保はするが、先に下る相棒が途中に
 一つ二つ支点を取ったら、私も続いて降る(ほぼコンテ)という形で降り
 ていった。
 2人だし3人組より早いので、先行組に追いついた。15時頃。


  15:10頃。また追いついた。
 この先の鎖場が終わったところで、先行組みを追い越して降った。
 私たちは15:30前には山荘に着いたようだ。


  その後の組の降りの写真。

                      (KM)

  先に降りた人が下から撮った仲間の下山の様子。
 (これもバイト数大きすぎで編集してます。)

                     (Kr)

  この組は16時頃到着した。


  山荘からの夕景。


  最後の二組は更に30分ほど掛かって無事降ってきた。
 安全の確保が第一ではあるが、時間が遅くなるのもリスクのうちだ。
 安全の範囲で如何にスピードを上げるかも重要なことだ。
 ともあれ疲れて穂先登攀を見送った2人を除き、18名が登頂した。
 この時期の槍ヶ岳にこれだけの人数が安全に登攀出来たのは
 かなり素晴らしいことだと思う。
 この日が槍ヶ岳山荘の宿泊最終日で泊り客は私たちのほか3名
 ほどだった。

  この夜は登頂成功を祝して談話室で飲んでいたが粘る人はそう
 多くはなかった。皆さん疲れたか。

  2日朝方から雪が強く降り始めた。吹雪状態。
 一斉に外に出てアイゼンを付けているとき、山荘のスタッフが今日が
 最終日なので記念に写真を撮らせて欲しいと撮ってくれた。
 山荘スタッフブログにアップされたのが下の写真である。
 私たちにもいい記念となった。7:00前に出発する。


  昨日と打って変わってすっかり冬山である。この日も早足組みと
 鈍足組みとに分かれて降る。


  15分ほどで殺生ヒュッテ近くに降りてきた。降りは早い。


  7:35過ぎには坊主の岩小屋を通過。雪が降り積もっている。


  しばらく降ると雪が湿ってきてアイゼン団子が付き易くなってくる。
 適当なところでアイゼンを取る。その後も降りは続き、雪道歩行に
 慣れない人はかなり降りには苦労していた。このこともあったか、
 早足組みとは大分離れてしまった。
 
  天狗原分岐付近を通過する頃にはすっかり雨となる。8:40頃。


  大曲付近で9:05頃。


  ババ平までまだ遠かった。9:40頃通過。


  槍沢ロッジで少し休憩して歩き続ける。雨が降り続く。 


  二の俣。


  一の俣、11時頃。


  横尾11:50頃である。すっかりびしょ濡れだが、まだこれからの
 平地歩きが長い。少し休憩。早足組みはとっくにいない。


  徳沢園を12:55頃、明神を13:50頃通過してカッパ橋に14:30頃。
 雨に洗われた梓川はきれいだが、雲が垂れ込め穂高は見えない。
 山荘から7時間半強かかった。雪と雨の中の歩きは長く辛かった。


  上高地に着き早足組みと合流後解散。
 この先は車組みと電車組みに分かれて帰京する。車組みは早めの
 バスで出発した。
 私たち電車組みは、15:15の新島々行きバスに乗り、電車で松本
 に出た。この電車に乗るのも久しぶり。思いのほか時間がかかる。
 平日だから通勤、通学の人たちで満員となる。
 松本駅近くにおいしいそば屋があるということで、電車組8名は登頂
 成功と山行の無事を祝してゆっくり一杯。ご馳走様でした。

  改めて北アルプスの冬山を思えば、この距離をラッセルして登る力
 はもはやないし、小屋が開いてなければテントも担いで行く事になり
 荷も重ければとても登れそうもない。どうあがいてももはやその体力
 はないな。
 小屋の最終を狙うのが私にはぎりぎりか。その意味でも今回の山行
 を無事乗り切れて良かったと思う。