越沢バットレス | 鬼川の日誌

越沢バットレス

  越沢バットレス右ルート  15,9,19


  秋の5連休にはやはり北アルプスに行きたいと思いはしたのだが、
 行き帰りの交通は混むだろうし、また岩登りの著名なルートでは渋滞
 も当たり前。これらを乗り越えて楽しむには体力的にも厳しい。

  そんなわけで気後れしてしまい仲間と相談の上近場でマルチピッチ
 クライミングを2ヶ所ほど楽しもうということになった。
 まずは初日越沢バットレスに行く事にする。
 13年11月以来だから2年ぶりか。
 
  鳩ノ巣駅に着き御岳渓谷を渡る。少し水が濁っている。 
 

  林道を進んで展望台からバットレスを見ると、前日までの雨で心配
 した通り岩場は酷く濡れているようだ。雨上がりで1日延期しようかと
 思ったのだが、その方がやはり正解だった。
 しかしここからまた別のゲレンデに行くにしても時間ばかり掛かり、
 楽しむことは出来そうもない。ともかく岩場に行ってみることにした。


  展望台の手前からバットレスキャンプ場に降り、吊り橋や如何にも
 苔むして滑りそうな板の橋を渡って行く。


  見上げる第2スラブはかなり濡れている。9:50頃。


  第2スラブの1ピッチ目は水が滴り落ちて取り付く気もしないような
 有様なので、ともかく右ルートに行ってみる。
 右ルートの取り付きも似たようなものでびしょびしょである。
 1ピッチ目はハング下を直登するコースとこれを右に回りこむコース
 とある。どちらも下部は水が滴っているが、ハング下は中間部から
 比較的濡れてないようなので、まずはこの1ピッチ目で練習すること
 にした。今日は5名なので、O2組3人、S組2人の2班。
 まずは私から取り付く。1度リードしたことはある。

  びしょびしょの出だしだが取り付きは傾斜が緩い。ただ最初の支点
 が遠いので慎重に行く。朝一でもあり濡れた岩はかなり怖い。
 中間部岩の出っ張りを越えるところで、アンダーホールドにする岩が
 水が垂れている状態でこれを引くのが怖かった。
 越えるとハングの下になるが直登は難しく、右手のカンテ状垂壁を
 登る。こんなに怖かったかなという思いだった。
 
  ビレイ支点をセットしてO2組の2人に登ってもらう。
 CさんとTさんと2人が登ってきたのはもう11時10分頃になっていた。


  そしてSさんがリードで登ってきて支点をセットし、フォローでMさん
 が登ってきた。2ピッチ目の垂壁はしっかり濡れていた。


  そこで一旦懸垂で降ることにする。懸垂下降で一番問題を起こし
 苦労するのは、投げ下ろしたロープが絡んだり、途中の藪などに
 引っかかりこれを懸垂中に解いたり回収したりすることである。
 今回投げ下ろさずに身体に巻いて解きながら降りていく(O2)とか、
 束ねたロープを腰にぶら下げて降る(S)とかやってみた。
 どちらも絡むよりはいいが身体に巻きつけたロープを解いていくのは
 わりと手間で、腰にぶら下げたロープが自然と出て行くほうがいい。
 結局ぶら下げ易いバックなどを用意してロープを入れ、降るに連れ
 ロープが出ていく様にするのが一番いいようだ。50mロープが2本
 だから重いことは重い。


  この後ちょうど12時頃となったので岩の乾きを待ちながら昼飯
 休憩とする。
 見上げる第2スラブはまだテラついている。


  休憩後第2スラブ取り付きに上がってみるが1ピッチ目はまだまだ
 水が滴っている。しばらく迷った。結局登れないわけではないが楽し
 くはなさそうで止める事にしてまた右ルートに行く。
 1ピッチ目の状態は午前と似たようなものだ。2ピッチ目以降は様子
 を見てそれ以降登るかどうか決めることにした。

  今度はS班から取り付く。1ピッチ目リードも代わってMさんが行く。
 13:05頃から。


  中間部出っ張り部分を越える。


  1ピッチ目無事リード完了したMさんが支点を作りフォローでSさん
 が登る。13:25頃。


  O2班もリード交代で1ピッチ目はTさんが行く。


  越え方は人それぞれ。


  リード完了したTさんが支点を作ったらフォローでまずはCさん、
 そして私が続く。


  私たちフォローが終了点に着いたときにはS班は既に2ピッチ目
 を登り始めていた。(リードSさん。)
 O2班の2ピッチ目リードは代わってCさんが行く。1ピッチ目フォロー
 がCさんと私だったので、次のリードのCさんに私のロープを渡して
 私は1ピッチ目リードのTさんのロープを1本もらうのである。
 3人でリードを交代する場合はこの結び替えが必要となる。
 (次のリード者はもう1人のフォロワーからのロープをもらう。)
 そのためにはセルフビレイをしっかり取っておく事が絶対である。
 1ピッチ目の終了点は棚だから問題ないが。14:05頃。


  2ピッチ目は立っている上意外とホールドが細かく結構難しい。
 濡れていたらここは厳しい。乾いてくれて良かった。


  Cさんが頑張り登りきり支点を作って、フォローでTさん、私と続く。


  2ピッチ目終了点。14:25頃。
 S班は既に3ピッチ目に取り付いていた。最初は順番でMさんが取り
 付いたようだが、濡れた滑り台部分のリードをSさんと交代したらしい。


  さてO2班3ピッチ目いわゆる滑り台は私のリードの番である。
 私は2ピッチ目同じフォロワーのTさんのロープをもらい、Tさんは
 Cさんのロープを1本もらう。この結び替えは大変であるがリードを
 順番に3人で交代しようとすれば止むを得ない。
 (もちろんダブルロープの場合。)

  3ピッチ目のいわゆる滑り台部分が見えてきたらここはまだ相当
 濡れている所が多く一瞬緊張した。ここは普通でもつるつるの壁
 である。足元のつるつる壁に直角から少し被り気味に左手の壁が
 立っているので、この凹角部分を上手く使って登ったと思うのだが
 そこが濡れている。気を使うがもはや濡れは止むを得ないので、
 やはり左手の壁を後ろ足で蹴りホールドも探しながら登った。濡れ
 てないつるつるにホールドのあるところはそちらに出たと思うが。
 最後の抜け口部分が苔むしていてこれもまた嫌らしかったがまあ
 ホールドはしっかりしていたので抜けられた。

  上に出るとS班が懸垂下降の準備をしていた。14:45頃。



  支点を構築してフォローに登ってもらう。まずCさん。


  そしてもう1人Tさん。


  2人が到着し3ピッチ目を完了したときで14:55頃になっていた。
 S班に続き私たちもここから懸垂で降る。ここは空中懸垂となる部分
 もある。50mでは取り付き点まで届かない。乾いていればあと少し
 をクライムダウンしてもいいのだが、今回はもう一回懸垂する。
 私たちが降りついたのはもう15:30頃になっていたようだ。


  いい時間になったのでこれで終わり荷物の整理をして帰る。


  展望台からバットレスを見るとまだ湿っている感じである。
 雨の後ここは丸1日置かなければならないようだ。16時過ぎ。


  帰り道彼岸花にアオスジアゲハ。


  彼岸花はちょうど最盛期。


  夕暮れの御岳渓谷。


  今日は雨上がりの濡れたバットレスで何も出来ずに終わるかと
 思ったが、右ルートだけとはいえ一応3ピッチのマルチルートの
 クライミングが出来て良かった。
 いわゆるツルベ(2人)の登攀だけでなく、3人でロープの結び替え
 をやりリードを交代しながらの登攀も無事に出来た。ロープを絡ま
 せることもなかった。(3人ツルベ?)
 これで5人全員が各自1ピッチはリード出来た。これは私たちには
 成果です。
 それにしても濡れた岩は怖かったな。