鬼石沢 | 鬼川の日誌

鬼石沢

  西丹沢、鬼石沢  15,9,13


  小川谷廊下以来久しぶりの沢。3週間ぶりとなる。それにしても
 この間天気が悪かったな。まあ天気だけでなく憂鬱なことが続いて
 元気が出ないこともある。こんなのんきなブログなどを書いていら
 れるのも今のうちだけか?いや先に寿命が来るかも。

  ともかく日帰りの沢ということで出かけるがまた天気が思わしくな
 い。この間台風18号の影響で茨城、栃木、宮城辺りでは大水害と
 なっていて死者も多数出て、とりわけ常総市の鬼怒川の堤防決壊
 の被害は深刻だ。いつもながらこれも半分は人災くさい。
 丹沢方面も結構降ったようだから沢は増水しているだろう。しかし
 晴れてから3日目だからまあ何とかなるでしょう。
 大滝橋から少し林道を入ったところにある駐車場に車を止める。
 他に2台いた。9:00頃から歩き出す。今日は5人。 


  畦ヶ丸登山道分岐から山道に入り、大滝沢沿いの道を登る。
 途中中流域に結構大きな滝がある。かなり見事な滝で大水量だ。
 滝壺付近でアベックが遊んでいた。どうやら泳いだようで素っ裸
 の女性がいた。度胸あるなあ。ちょっと遠めなのが残念。
 これを過ぎると沢を渡るが案の定橋が流されていて(ワイヤーで
 固定してあるので流失はしない)飛び石伝いで渡る。


  渡り返し部分も橋が動いていたがこれは何とか渡れる。
 沢から急な崖を登る。


  登山道を進むと堰堤の上でのマスキ嵐沢の合流を見る。登山道は
 マスキ嵐沢沿いに進むようになり、直ぐにマスキ嵐沢の看板がある。
 ここまで30分。


  この頃酷く暗くなり遠く雷鳴も聞こえマスキ嵐沢に変更も考えたが
 まだ30分しか歩いてないし、後30分頑張って予定通り鬼石沢に
 行く事にする。ここから急登だ。途中きのこがちらほら。秋です。


  一汗かいて一軒屋避難小屋に到着。ちょうど駐車場から1時間。


  避難小屋前で沢装備を装着して右手の鬼石沢に堰堤の上から
 入渓する。(避難小屋左手はステタロー沢で畦ヶ丸への登山道。)
 10:20頃か。天気も曇りで沢は酷く暗かった。


  10分も歩くとF2である。(避難小屋下流の雨棚をF1とするから。)
 これも10mくらいはあるが、中段くらいまでは巻き気味に右手の壁
 を登り、それから流れ横に取り付けば易しい。


  やはり水量はかなり多いようだ。


  これを登ると目の前に今日の核心のF3が見える。20mの大滝。


  1昨年滝を覆っていた倒木はすっかり朽ち果てていてもう邪魔に
 はならない。滝の威容も戻っていた。この倒木でF3の登攀が面白
 くなくなっていたので昨年はこの沢には来なかった。
 傍に近づくと中段の棚に落ちた水が激しく跳ね飛んでいて今まで
 で一番水量が多い方(12年も多かった)かもしれない。
 10:40頃。

  これはどうみてもシャワーを浴びることになるので、カッパの上を
 着て取り付く。錆びてしまっているがしっかり打ち込まれたハーケン
 があり、上に行くまで4ヶ所は支点が取れる。
 洗われてつるつるに見える花崗岩だがコケがないので滑らない方
 だし、良く探せばしっかりしたホールド、スタンスはある。
 1ヶ所滝の中にある程度入る所もあるので、たっぷりシャワーを浴
 びて登ることになる。ここの登攀は楽しいところだ。
 一番上が小さな釜を持った2~3mの1段目滝となっているがこれ
 は垂直つるつるで登れないので、その右手壁を登ると支点に出来
 る木が崖に何本か生えている。


  丈夫そうな立ち木にビレイ支点を作り、後続に登ってもらう。
 この間の雨でよく洗われたか花崗岩の滝が今日は1段ときれいに
 見える。皆も思いっきりシャワーを浴びて登ってくる。


  滝に少しだが入る辺りが難所で難儀している人もいる。


  30mロープでは4人は登れないので、10mロープを繋いで後半の
 2人も続いて登ってくる。


  やはり同じところ辺りが難しいのか後ろが少し難儀している。


  皆さん登り終わりロープを収納したところで、私が取り付いてから
 でも40分も掛からなかったようだ。かなり順調に登り終わった。
 F3がいきなりの核心とはいえ鬼石沢のまだ出だしである。
 少し歩くと堰堤が見えてくる。大きな堰堤で左手を登れる。
 登って少し休憩。11:30頃。


  この辺りの沢床は花崗岩のきれいな細石で歩くに気持ちがいい。


  進むと二俣で左手本流にF4が見えてくる。11:50頃。


  この滝は傾斜も緩くあまり滑らないので易しく登れる。


  この先沢が直角に左カーブするところに流木の溜まり場がある。
 流木はかなり朽ちてきているがもう何年もこの状態である。


  上がるとF5チョックストーン滝が現れる。12:00頃。
 多分これが鬼石と言われるものだろう。鬼が積み重ねた岩の間を
 潜って通過できるのだが出口が結構悪く大したことはないが苦労
 する。


  それで今回は右手の小滝を登ってみた。これは簡単。


  鬼石の内部を覗いてみる。出口にホールドがない。


  割と大き目の沢が左岸に合流する。その上流部に結構な滝が
 かなりコケむして見える。


  これを見ながら進むと大岩の乗った堰堤が見えてくる。よくまあ
 堰堤が壊れなかったものだと思うくらい岩はデカイ。どのようにし
 て動いてきて堰堤に乗り、また止まったのか?流されてきたとは
 思えないから崖を転がってきたのか?力学的素養のないものに
 はただ不思議なだけ。
 この辺沢はとてもいい雰囲気である。
 この堰堤も左から簡単に越えられる。12:20頃か。


  これを越えて進むと先に奥の二俣が見える。
 右手が本流で5m滝。いつもコケむしているが今日は洗われていて
 滑らない。


  続いて階段状の10mほどの滝。これも洗われて快適に登れる。


  そして古い壊れかけた堰堤。堰堤の上に倒木が横たわっている
 のだがこれがずっとこの状態で生きているのか宿木か葉を茂らせ
 ている。
 これを越えて昼飯休憩。12:35頃から。


  狭くなってきた沢を登っていくとチョックストーン滝となる。いつもは
 この辺はもう水がないことが多いのだがこの滝にも水が流れていた。


  このチョックストーンを越えるのはボルダームーブで腕力がいる。
 流れの中に倒木の足場があったので楽だったがないと一手が
 大変。いつもこの乗り越えが面白い。13:05頃。


  13:15頃、三俣。(本流左岸に二俣の沢が合流している。)
 ここまで水があるのは初めてだ。


  三俣の奥に最後のチョックストーン滝。さすがに水も涸れてきた。
 右岸側のぐずぐずの斜面を巻き上がる。踏めば崩れて結構悪い。
 こういうところで頼りになるのが木の根っこだ。


  これを越えれば後は沢地形を詰めるだけ。藪もない。


  13:30頃登山道に出た。少し下山方向に進むと看板があり、
 広くなっているのでここで沢装備を解き、靴を履き替える。
 登山者が2人畦ヶ丸から降りてきたが、沢中では誰にも会わな
 かった。思わしくない天気のせいで少ないのだろう。


  歩き始めたのは13:50頃かな。私はこの間少し股関節に違和感
 があった。クライミングのためのストレッチで少し無理をした(?)と
 思われるのだが。遡行中は感じなかったのに下山となったら痛みが
 出て来て歩くのが辛かった。降りの衝撃が響く。

  結構きれいなこの花は?下は見事なタマゴタケ。


  一軒家避難小屋到着14:50過ぎだからちょうど1時間くらい。
 私は長く感じた。休憩中足をいろいろ動かしてみたが痛みは治ま
 らずこの後の緩い降りもきつかった。


  中流域のこの大滝は登れるのかな?
 この写真が15:45頃だから、駐車場には16時には着いただろう。


  その後丹沢の沢登り後の恒例、山北駅近くのさくら湯に寄って
 沢臭を落として帰京した。沢水に漬かると独特な臭いが付く。
 服はもちろんだが、装備類、ロープ等も水洗いしたほうがいい。
 
  今回は雨続きのあとで増水を予想しながらだったが、事実その
 通りの様相。しかしここはF3大滝のシャワーを覚悟で登ればいい。
 その他はほぼ問題ない易しくてきれいな(ちょっと流木が多いが)
 花崗岩の沢で日帰りコースには持って来いです。