スッカン沢・桜沢 2 | 鬼川の日誌

スッカン沢・桜沢 2

  スッカン沢・桜沢  15,7,12   (続き)


  スッカン沢の雄飛橋下で休憩後遊歩道を降って行く。先ほどの団
 体を直ぐに追い抜いて進む。
 途中下のスッカン沢を遡行するグループが見えた。


  10時頃先ほど登攀した仁三郎の滝を見る。 


  雄飛の滝の展望台を過ぎて橋で右岸に渡り、沢に降って行くと桂
 の巨木の周囲を巡るように道がつけられている。これはなかなか
 凄い大木だ。桂の木は葉が丸いハート型。杉や桧のように一本の
 太い幹が伸びて上で枝を出すのではなく、中間部から株立ちした数
 多くの枝に分かれ全体として上に伸びて一本の大木のように見える、
 この株立ちが特徴的だ。
 桂はあちこちに巨木が存在する。これなどはその中では小さい方な
 のだろうが、それでもすぐ傍ではとてもカメラに入りきらない。
 巨木にはなぜだが心打たれる。圧倒的な存在感がある。


  そしてこの先が柱状節理の崩壊岩壁となり通行止め部分。しかし
 登山者なら問題なく通過できる。


  10:20頃には咆哮霹靂の滝(桜沢)に戻ってきた。大勢の沢屋
 さんたちがたむろしていた。咆哮滝を行くか霹靂滝を行くか思案中
 といったところらしかった。咆哮滝ならロープ無しでも登れるらしい。
 霹靂滝の方はそうはいかない。この看板の辺りから遠めに霹靂滝
 を見ているのでは登れそうには見えない。少し休憩する。


  私たちは最初から霹靂滝を登るつもりでいた。若者2人組のリー
 ダーらしきが「途中でランナー取れますかね?ガバガバだとは聞い
 ているのですが」と話しかけてきた。カムを持っているかどうか分か
 らなかったので、途中でランナーは取れないかもしれないと答える。

  2人は先に取り付きに行った。休憩後私たちも後を追いかける。
 私たちが着いた頃にはリーダーが登り終わりセカンドビレイ用に
 ロープをセットしているところだった。1ヶ所ランナーを取っているよ
 うに見える。ここで10:30頃。


  2人組のセカンドが取り付いて登り始めたところで、後を追って私
 もロープを引いて取り付く。滝一番右の流れの右手を4、5m登る。
 いかにも滑りそうだが見た目よりホールド豊富で難しくはない。
 その上に棚がある。ここに岩の割れ目があったのでカムをセットし
 てランナーにする。(でこぼこ割れ目でこれはセットが悪く外れてし
 まった。大失敗で結果的にその上もフリーで登ったことになる。)
 棚から一番右の流れを横断する。その上は傾斜も緩く階段状でコケ
 で滑らないことを注意すればいい。落ち口までは12mほどあるらし
 いが、10mほどで緩い傾斜の棚状になる。全体で3級程度かな。

                      (Y)
  上の棚状に上がったところで支点を作るところを探したが、岩は
 脆くタイオフして支点に出来るようなものはなく壁に木も生えてない。
 止む無く少し戻り崖途中に生えているか細い木(2人組が使ってい
 た)にビレイ支点をセットする。セカンド以降はフリクションノットで1
 人ずつ登ってくるので何とかOK。後続が1人2人くらいなら肩がら
 みでビレイするところかな。

                      (Y)

  皆さん問題なく登ってくる。



  登り終わりロープを収納して滝の落ち口に上がる。11:05頃。
 落ち口にあるこの大岩で滝が二つに分かれている。上から見て右
 が今登ってきた霹靂滝で岩の左が咆哮滝だ。そういえば咆哮滝を
 真下から眺めるくらいはしておけば良かった。


  その上はとても幅広のきれいなナメとなっている。


  幅広ナメ全面に水が流れてなかなか素晴らしい。登っていくとところ
 どころが滝になっている。これらは登るには問題ない。


                      (Y)                
  段々の幅広ナメがずっと続いている。岩畳みもある。


  10分ほども続くこのナメ滝群が今回最も気持ちのいい所だった。


  11:20頃、朝通過した遊歩道橋の下を潜る。


  さらに進むと11:30頃雷霆の滝が見えてくる。


  この滝は朝方横を通ったように遊歩道から来られるのであちこち
 に見物人がいた。滝中にはクライミングの練習をしているグループ
 もいた。霹靂滝を先行して登った2人の若者も取り付いていた。
 私たちは滝中央の棚に上がり、その上は流れのないところを各自
 フリーで登ったが、若者らは流れの真っ只中をシャワークライミング。
 滝中の方が多分コケがないから滑らないとは思うが、もろシャワー
 で手足ホールドを探すのに手間取るだろう。セカンドで登った若者が
 登りきって随分感激してたようだ。気持ちよかったのだろう。


  雷霆の滝を登り終わると次に岩を積み重ねたような滝。
 これは問題ない。11:45頃。


  この先は特に大きな滝もなく進み、ちょうど昼頃で昼飯休憩。


  20分ほど休憩してまた進む。12:30頃に二俣と間違えそうな中州
 (インゼル)の右手を行く。コケがきれいなところだった。


  この先大岩ゴロゴロだが平凡な沢を行く。
 12:50頃に最後の目印、「おしらじの滝」に着いた。澄んだ深い釜
 を持った滝だが全く水が流れてなかった。まるで作ったかのような
 トヨ状の落ち口がきれいなコケで覆われている。(増水時には流れ
 があるらしい。)ここには滝見物の若者たちがいた。彼らは上の車
 道から降りてきたようだ。


                   幻想的な水中(Y)
  私たちの仲間が早くも滝上に顔を出したので、私も追いかける。
 滝上から釜を覗き込んでも実にきれいな澄んだ水だ。
 このときで12:55頃。


  沢をそのまま進んでも上の車道に出られるのだがもう面白い所は
 ないしそこまで距離があるので、遡行はここで終わりにする。
 滝見物用の道(左岸)を辿ってもよかったが、右岸の笹薮の山腹に
 取り付き、笹の尾根を上がっていく。笹薮は酷いものではなく尾根も
 直ぐに傾斜も緩くなり、13:15頃には車道に出たようだ。藪漕ぎは
 20分も掛からなかった。


  車道を10分ほどで山の駅たかはらに帰り着いた。


  13:25には帰り着いたから二つの沢をやって約7時間は早い。
 なかなか気持ちのいい沢で1日楽しめた。
 珍しい沢を探し出して、誘ってくれたInさんに感謝だ。
 山の駅には沢山の車がいたし、かなりの人が沢に入っていたようで
 それらしい人たちが次々と帰ってくる。
 
  私たちはゆっくりと沢装備を解き、先ほど歩いてきた車道を塩原
 温泉方面に降る。途中スッカン沢に掛かる雄飛橋を通過した。
 大きな駐車場がある。くねくねと折れ曲がり狭い車道のあちこちに
 タイヤを激しく擦ったらしい黒いブレーキ痕跡があるから、昨夜の連
 中などが遊んでいったのだろう。

  私たちは塩原温泉のかんぽの宿の湯に入って汗を流し帰京した。
 久しぶりの晴天の日曜日で東北道が混むかと心配だった。案の定
 途中事故渋滞にぶつかったりしたがそれほど酷くはならず、中央道
 や関越道ほどの渋滞はなく帰京できた。

   (同行Y氏の写真を何枚かお借りしました。)