三浦アルプス | 鬼川の日誌

三浦アルプス

  蒸し風呂ずぶ濡れの三浦アルプス  15,7,7


  ねじ花は小さな花です。なぜこんな風に捻れて咲くのかは知らない
 のですが、良く見ると結構きれいです。私も似たもの同士か何故か
 好きな花ですね。もうほぼ終わりです。(写真6.18)
  

  6月27日富士登山の予定が中止となったのだが、夕方には雨上
 がりのきれいな夕焼けが見られた。直前にほんの一瞬周りの家々、
 そして空間が赤く染まった。しかしカメラを持ち出す間もなかった。
 あの空気感というか独特の赤さは何とも言えず素敵だが、多分私の
 カメラでは写すことは出来ないだろう。


  今盛りなのがムクゲの花とノウゼンカズラです。
 「道のべの木槿(むくげ)は馬に喰われけり」(芭蕉)
 ムクゲは1日花で咲き終わった花がつぼんだ形で沢山周りに落ち
 ている。(必ず1日という訳でもないらしいが?)同じく1日花でこれ
 から山でよくお目にかかるのがニッコウキスゲです。
 ムクゲは毎日花を落としながらも次々に尽きることなく咲くので、
 韓国では「無窮花(ムグンファ)」という名で国花だそうですね。
 白花だけではなくいろいろな種類がある。高速道路にキョウチクトウ
 と並んで街路樹としてよく見る。

  ノウゼンカズラはつる性で他の樹木などに巻きついて伸びていく
 のでクライミングプランツと呼ぶそうです。なるほどイレブンクライマー
 に違いない。遠めにはきれいですが間近で見るとちょっと強すぎて
 私はあまり好きではない。


  さて6月10日に城ヶ崎のファミリークラッククライミングに出かけ
 て以来だが、これはクライミングでほとんど歩いてないから、その
 前の7日の勘七ノ沢以来、ちょうど丸1ヶ月ぶりの歩きとなる。
 この間天気が悪く計画が次々と中止となった。梅雨とはいえこんな
 に悪いのはそうそうない。

  また今日も怪しい天気だ。しかしこの先も天気が悪そうで、次は
 いつになるやらと思われたのでともかく行く事にした。
 私はほんの散歩のつもりだし、この季節にこんなところを歩くかと
 誰でも思うところだが、Sさんだけが付き合ってくれた。

  逗子に着くと雨がぱらついているが時折日も射しまあ明るい。
 だがその分一挙に蒸し暑さが増す。
 いつも三浦アルプス南尾根を歩くときはバスで風早橋まで行くが、
 今日はともかく歩き訓練ということで駅から歩いてみた。バス通り
 を取り付きまで30分ほどかかった。これはお勧めではない。
 「京急」が出している三浦アルプトレッキングマップでは看板の森戸
 海岸方面に行き、戻るように前に見えるトンネルの上の尾根を登る
 となっているが、この取り付き階段を登り尾根道を進むと、その道
 に上で合流する。
 取り付きちょうど10時頃。


  雨は気にならない程度とはいえぱらついており、このところ降り
 続いているわけだから、道は湿って、繁茂した草は濡れている。
 鎌倉や三浦半島の何処にも見られる砂岩の上に薄く載った土は
 濡れていると粘土質で酷く滑り易い。岩自体もコケが付き滑る。
 仙元山までは10分ほど。


  晴れていれば相模湾の向こうに富士山が見える展望台だが、
 今日は何も見えない。時折雨が強くなりすっかり曇る。


  三浦アルプスは小さな尾根だが、小さいとはいえアップダウンが
 これでもかというくらい続く。仙元山から下に葉山中の校庭を見なが
 ら20分ほど歩くと200段強の階段が現れる。冬と違って草木が繁
 茂していて上が見通せない。


  上がった先の分岐を右にとるが立派な標識がある。この先も標
 識が整備されている。13年10月にはなかったから、整備された
 のは最近のことらしい。
 右下に葉山町のクリーンセンターの煙突を見ながら滑る道を進む。
 木にペンキで三浦アルプス入り口と書かれている。10:45頃。


  これを左に入っていく。入り口から10分弱で観音塚。
 千手観音が祭られている。


  休むいいところがないのでそのまま進むと、ドングリ並木という
 マテバシイの大木が根を張り出した坂道となる。ここら一帯は常緑
 の照葉樹林帯だ。ここ辺りが11:00頃。


  鎌倉、三浦、箱根などにもよく見られる密生した篠竹の間を通る
 道や笹薮の道が頻繁に現れる。繁茂した草木の道とともに今日は
 ぐっしょりと濡れているので、ズボンや靴がずぶ濡れである。
 カッパは蒸し暑くて着る気にはならないし、ズボンから垂れた水で靴
 の中が濡れてきたのには往生した。
 各ポイントの間隔は普通の山から見ればとても短いのであるが、次
 の森戸林道終点へ降れる分岐までの20分強がえらく長く感じた。
 滑る道と濡れ始めた靴とそして久しぶりの山歩きだからか。
 分岐11:25頃。休むに適当なところはやはりない。


  ここから一踏ん張りで桜の大木のある広場に着くはずで、そこで
 昼飯と踏んで進む。しかし手前のピークで大きく道が右折し降るの
 を右折せず真っ直ぐの道に入ってしまった。
 この入り口が朽ちた大木で塞がれた状態で違和感があったのだが、
 通れないほどではなく先に進む。
 次のピークが直ぐに出てきた。これが桜の広場かと思ったが桜の
 木がない。もう少し先かと進むと道はどんどん薄くなり、降り一方と
 なってきた。Sさんが「俺1人なら道がないと引き返すな」というほど
 の道となり、どうやらこれでは森戸川に降ってしまいそうだ。引き返
 すことにした。この辺りは藪好きグループが縦横に歩いているから
 薄いとはいえ踏み跡が無いわけではないのだ。

  先のピークまで戻り時間でもあり昼飯休憩とする。道を間違えた
 らしいときは一旦休んで英気を養った方がいい。
 この時はまだ何処で間違えたか理解していないので、ともかく戻り
 場合によっては森戸川の終点に降って、二子山に登り返すことも考
 えた。
 そして違和感のあった朽ちた大木を抜けたピークに戻って、右折の
 道を見ると手前の看板(30)に小さく乳頭山方向の書き込みがある。

  そうかこちらかとこの右折の下り道を進むと直ぐに標識が出て来
 て、更にその次のピークが桜の大木の広場だった。冬枯れの道と、
 下草が生い茂った道とはまるで感じが違う。12:20頃。


  ここも小ピークでロープの張ってあるかなり滑る急坂を降っていく
 と集落への道の分岐がある。


  この先が鉄塔のあるピーク。12:40頃。ここは冬にはいい休憩
 場所でよくハイカーの大集団が休んでいる。今は草ぼうぼうだ。


  これを降ると上山口という集落への道との分岐。


  そして乳頭山直下の畠山(その先が安針塚方面)への分岐点。
 それにしても立派な標識を沢山作ったものだ。


  そして乳頭山に着く。(三角点がある。)13時前だった。


  晴れていれば東京湾を越えてスカイツリーを見ることも出来る。
 三浦アルプスを歩くときは必ずここに立ち寄っている。
 目の前が長浦湾、右手が横須賀の米軍の軍港で、よく空母が停泊
 している。左手は横浜、八景島の尖がり屋根が見える。


  今日はこの下に見える横横道路を横断する陸橋を渡って、田浦
 梅林に降ることにする。


  この道は急な崖を降りていく。ロープのあるかなり難儀な道だ。
 横断橋の手前に大輪の山ユリが咲いていた。ちょっと雄しべが派
 手だしきれいというには?マークが付く。ヤマンバという感じだね。
 これも遠目の方がいい。


  横横道路を横断するこの橋は今歩いてきた乳頭山からの急な崖
 道を通るためだけとしか思えないのだが、ハイカーのために作ると
 も思えないから、昔からの山道の代替なのかな?


  梅林に着いてズボンのどろ泥を少し拭い取る。このままでは電車
 に乗るのがためらわれるほど泥んこだ。公園には草刈の作業者が
 仕事しているだけで誰もいない。乳頭山から30分ほど。
 いつもならここで宴会なのだが、今日は本降りの雨が予報されており
 早々に田浦駅に向かう。


  梅林公園からまた30分ほど歩いてJRの田浦駅。
 14:10前くらいだった。


  今日は逗子駅から歩き出して、4時間半ほど歩いたことになる。
 時間的には大したことはない日帰り散歩だが、猛烈な蒸し暑さと
 滑り易い道と濡れた笹や藪のためとても歩きにくく、思った以上に
 疲れた。道も間違えたし。
 やはり1月も歩いてないというのが疲れた主な原因かな。筋力が
 すっかり落ちていたようだ。
 まあそれにしてもこの蒸し暑い時期に、こんな低山で暑い所を、
 こんな時(雨降り)に、例え散歩のつもりでも歩くものではないと思
 いしらされた。
 ガマンガマンの散歩となった。

 (後でSさんは腕を虫に食われて大分酷かったと聞いた。私も半
 袖だった。幸い食われず。これから虫にも気をつけなくては。)