子持山・シシ岩 | 鬼川の日誌

子持山・シシ岩

  子持山・シシ岩(南東壁)  14,10,11


  11日から予定していた御在所クライミングが台風19号の影響で
 中止となり、その代替山行として子持山・シシ岩に行くことになった。
 御在所も中尾根ならなかなか骨のあるルートだが、シシ岩の方が
 5.7、5.8(4ピッチ目は5.9あるのではといわれる)のルートで
 マルチクライミングルートとしては一段難しい。
 このルートの経験者が今回2人しかいないし、リード出来る人も限ら
 れそうだから、私はここに行くのは少々不安だった。 
 6人だから3組のツルベの案も出たが、リードする人が限られると
 問題が出てくる。迷ったがやはり安全を考えて、経験者2人を各組
 の核として、3人の2組に編成する事にした。

  3連休の初日ということをすっかり忘れていたが集合は早めにして
 いた。それでも関越道がかなり混んで到着が遅くなってしまった。
 9:50を過ぎて7号橋駐車場を出発。

 


  屏風岩基部を過ぎる。
 


  沢沿いから樹林帯に入り20分ほど子持山登山道を登っていくと、
 この先危険の標識があり、今回はテープが張られていた。ここが
 シシ岩への入口。ここから100m程トラバースした右上に南東壁が
 ある。

 


  南東壁基部。4ピッチ目まで見通せる垂壁である。
 


  準備してO2組から取り付く。11:05過ぎ頃。O2組ではこの岩の
 経験者は私だけだし、基本私のリードで2人(JさんHさん)を引っ張り
 登るつもりである。また次ぎのR組3人が控えているので1ピッチ目
 終了点を空けたい。そこで1、2ピッチを繋げて登ることにする。
 R組は経験者Tさんが難しい方の偶数ピッチを、Rさんが奇数ピッチ
 を担当し、もう1人Kさんはフォロー兼写真班。 

 


  取り付き時が既に11時を廻っていたし、私たちの力では上まで行
 くのは無理かもしれないと思いつつ登り始めた。
 (後続のKさんが撮ってくれた2ピッチ目終了点前のO2。)

 


  2ピッチ目の核心ハイステップを決める頃にはロープが相当重くて
 (途中ランニングの掛け方が悪いところもあり)結構大変だ。ようやく
 登りつき、終了点にビレイ支点をセットする。
 私たちのフォロー2人が登り始めたのが11:30頃となった。2ピッチ
 目終了点は足を置くだけの狭いリッジで、ハンギングビレイになる。

 


  そして後続R組もスタート。(Kさん写す)
 


  O2組の2人が2ピッチ目の核心ハイステップを決める辺りで苦労し
 ている頃、下のR組が1ピッチ目リードを終わる。

 


  フォローの2人はアブミをセットしたりA0したりと大苦戦だ。この2
 ピッチ目はやはりかなり難しい(5.7だが5.8はあるようだ)。しかし
 フォローだから思い切って登って欲しいところだ。支点はかなりしっか
 りしているので大丈夫。
 フォロー2人が登り着いたのは12時近く。3人が上がると余地がない。
 3ピッチ目リードで位置を移動するのも難しい。

 


 

  そして私が3ピッチ目に取り付くところで、後続組のTさんが2ピッチ
 目リードを開始したようだ。12時過ぎ頃(Kさん写す)。

 


  3ピッチ目は右手に被さるように突き出ているフレークを掴んでの
 レイバックを決めるところが、足をしっかり突っ張れないと下がない
 ので少々怖いところだ。しかし短いので12:15頃には登り着いた。
 ここには安定した棚がある。ビレイ支点をセットし登ってもらう。
 フォローの2人はレイバックが決まらず苦労していた。非力だと少々
 難しいのかな。Hさんが登り着き写真を撮ってくれた。
 Jさんが着いたのが12:30頃。

 


  3ピッチ目終了点には棚があり少し休める。思ったより早い時間で
 3ピッチを終了することが出来たので、更に上に行くことにする。
 さて全体の核心4ピッチ目の垂壁。12:40頃から取り付く。  
  


  前回も登っているのだがここはかなり骨です。ところどころカチッと
 したいいホールドもあるのだが、全体的に逆層気味で縦ホールドなど
 を上手く使わないと難しい。トラバース気味に移動し上を目指す核心
 部、何故か前回より悪く感じた。気持ちの問題なのだが疲れてきた
 らしい。浅く打たれて少しぐらついているハーケンをA0してしまった。
 (その手前のハーケンは抜けそうだったな。マルチの場合は確認を
 怠れない。近くにボルトもある。)
 終了点手前のトラバース部分は一旦右手に張り出した岩を使って
 上に行きトラバースする方が楽である。しかしかなり怖い。

  私が4ピッチ目を登っている頃、後続組はRさんが3ピッチ目を登り
 始めたところです。(Kさんの写真)12:50頃。

 


  13:15頃には4ピッチ目O2組フォローのHさんが苦労しながら到着
 する。途中は見えないので核心部をどうしたか分からないのだが、2人
 とも最後のトラバースは手強かったようだ。
 支点からは下が見えないこともあり、登っている2人を上手く写真に撮
 れなかった。足元は厳しいし高度感も凄いので撮りたかったのだが、
 最後がトラバースなのでビレイをおろそかに出来ない。Hさんはいい写
 真が取れたかな?
 さてここまでくれば降るにしてもR組を待たなければならないし、もう上
 にあがった方がいい。

 


  下に見える岩は途中の屏風岩か。
 


  13:25頃R組Tさんが4ピッチ目リードで頑張ってます。(Kさん写す)
 


  さてO2組5ピッチ目そろそろへばってきたので、リードを交代して
 もらうつもりだったが、取り付きが結構立っていてまた私が行く。
 ここは最初だけで後はスラブ登りですが、疲れてくるとスメアが厳しく
 感じる。終了点にビレイ支点をセットしてフォロー2人が登って来たの
 が13:45頃。

 


  この終了点は足場も安定しているし、6ピッチ目は見た目取り付き
 易い感じがする。私はかなり疲れてきたし、せっかくシシ岩に来て少し
 もリードしないのも悔しいだろうから、リードを交代してもらう。ようやく
 リードする気になったJさんに取り付いてもらうが、やはり練習不足か
 敗退する。
 立った雪壁や氷の壁のアイスクライミングが大好きなJさんは乾いた
 岩場は余り好きではないらしい。反対に私はスキー(山スキー)と時
 期的に重なることを理由にしてアイスはやらないし、切り立った雪壁
 は怖くて仕方がない。こればかりはすきずき、えてふえて。
 やはりアルパインといってもいろいろ、そして各種それぞれ絶えず練
 習していないと、急速に力が落ちるものだ。   

 


  代わってHさんが行くと意欲満々。Hさんはこの間かなり熱心に岩
 場に行きジムの練習にも取り組んでいたので、見た目より難しく厳
 しい6ピッチ目を見事に登りきった(5.7だが5.8あるかも)。
 これなら下の方もチャレンジしてみても良かったかもしれない。まあ
 今回は初めてだし次回を楽しみにすることとしよう。

 


  6ピッチ目で事実上終わりである。Jさんは登山道から山頂に登り
 私たちが7ピッチ目を登り終了するところを写真に撮ってくれた。

 


  ご苦労様でした。山頂記念写真14:45頃でした。Hさんはシシ岩を
 フォローであれ登るのを楽しみにしていたそうで、6ピッチ目のリード
 もやり遂げたし大変満足げ。良かった。

 


  今日は暖かいからか赤城高原方向は霞んでいた。
 


  後続R組みが到着する。15:15頃。Rさんは病が癒えてからさほど
 日が経ってないにもかかわらず、奇数ピッチをリード完登。Rさんは
 大分前からシシ岩に行きたかったそうで、さすがですね。10年後の
 私はこんな岩場を登ったりはとても出来そうもない。

 

 


  後続組のTさん、難しい方の偶数ピッチをリード完登。大したものだ。
 なんだか私達は女性陣のほうが強いようだ。

 


  皆さんお疲れ様でした。代替山行としてシシ岩の話が出たときは、
 私達には少々歯応えあり難しいかもと思ったが、無事完了し山頂ま
 で登ることが出来て良かった。
 

 


  少し休み下山。シシ岩取り付きにデポしたものがあるので回収しに
 行き、駐車場に着いたのがもう17時に近かった。

 


  少々厳しかったマルチクライミングでしたが危ないという場面はなく
 無事完了した。
 私はこれで3回目だが今回は編制をどうしたら安全かとか、かなり心
 配だった。安全のためにも私の組は私がほぼ全部をリードしフォロー
 を引き上げるというスタイルになると予想された。これはこれで私には
 行けるとは思うものの少し負担である。
 これらの事が途中で疲れてしまった主な理由だろう。不安を抱えてい
 る時は気持ちのありようが違うものだ。
 シシ岩は私達にはちょうどいい難しさのマルチルートということだ。
 ガイドを使わず私達の力で登るがモットーだが、当然登れるところは
 限られるので、ボルトが整備されていて安全なこのルートはお勧めと
 いえるのでしょう。