シレイ沢 2 | 鬼川の日誌

シレイ沢 2

  南アルプスシレイ沢(壊滅状態) 14,7,26・27  続き


  丹沢、奥多摩、秋川の沢はどこも今年の大雪で倒木が酷く、
 沢は散々な有様である。普段あまり大量には降らないところで
 これだけの大雪になると、日常生活にも大変な影響が出る。
 除雪用具も少なくなかなか除雪も進まなかった。関東、山梨
 辺りでは孤立集落があちこち出現したし、甲府周辺ではJRも
 何日も不通だった。
 山でもあれだけ大量の雪には慣れない樹木たちも壊滅的な被害
 を受けることになったのだろう。それにしてもここシレイ沢の倒木
 は尋常ではない。

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  F20を巻いてF21白い滝が見えてきたところで、F20の落ち口
 付近に懸垂下降した。下降した辺りも倒木で一杯。F21は遠目では
 きれいなままだ。


  休憩。13:05頃。


  F21と白ザレ斜面。


  滝つぼまで行って左岸の巻き道を登ることも出来るらしいが、
 F20の巻き道から対岸(右岸)に見えた巻き道を登ることにした。


  巻き道の途中からの白い滝。右岸側も白ザレである。


  その上を巻いて行く。高さがあるので結構な大高巻きだが、
 道はしっかりしている。しかし登りはかなりきつい。


  沢に戻る。滝上も相当酷い。これらがやがてF21も埋めてしまうかも
 しれない。13:25頃。F22かな。


  コケがきれいな滝だった。


  その先にまたかなり大きな雪渓が残っていた。


  その先が二俣。本流の滝を越える。13:55頃。


  その上が円形劇場風な滝、F23(15m)。14:00頃。
 雰囲気があり素敵なところだが、ビバークするにはいまいちかな。
 回りは立った崖だが、右岸側手前に登れる崖があった。


  これを巻いて少しで格好のビバーク地があった。14:15頃。
 ちょうど4人用テント1張り分のスペースがあり、大岩に囲まれていて
 乾いた花崗岩の砂地で最高。回りにアザミが生えていてうるさいので
 ノコギリで刈払い整地する。


  直ぐ脇にきれいな水場がある。早速ビール、お酒を冷やす。


  テントを張ってなにより宴会です。今回もテント縦走の達人があれや
 これやいろんな食材を担いで持ってきてくれ、手早く調理し出してくれ
 ました。これだけのものを担いで登ってくるその強さにはいつもながら
 脱帽です。そしておいしいのですね。私は夕食はほぼこれで足りてし
 まうくらいでした。分担で確かにテント本体は私が持ちましたが、達人
 もフライかポールは分担しているのですから凄いなあ。
 

  薪はいくらでもあります。沢登りテント泊の楽しみの一つはやはり
 キャンプファイアーでしょう。私も焚き火は大好きですが、輪をかけて
 好きなのがリーダーです。好きこそものの上手なれで着火が上手い。
 今日は薪も乾いていて簡単です。
 対岸(右岸)の斜面は木が折れ荒れ放題です。


  19:20過ぎ頃、日も暮れていい雰囲気です。赤々と火が燃えると
 人は奥深く蓄積してきた歴史を呼び覚まされるのか?漆黒の暗闇
 の中でこの焚き火の赤さがなんとも言えずいいですね。
 「煙が目にしみる」。
 深山に私たちだけでたまらなく素晴らしい時間です。


  さて27日朝飯をかき込み、テントを撤収して出発です。5:15頃。


  歩き出すとそこらじゅうアザミの林です。葉に触れるだけでちくちく
 と痛いし、下手をすると棘が食い込む。そのまま進むとアザミの棘に
 どうしても刺されます。私は沢靴でアザミの根本を押し倒し空間を作り
 ながら進みます。こうすれば葉に触らずに済む。




  小滝を次々越えていきます。


  奥の二俣かな。5:30頃。


  急な登りが続く。


  この上に本などで良く紹介されているいいテント場がありました。
 ここは確かに眺めもいいし乾いて絶好です。


  直ぐ上がまた二俣です。左は苔むした枝沢のようで右に入る。


  どんどん詰めていきます。


  5:50頃になると北岳、やがてまた間ノ岳も見えてきます。

  5:55頃大規模な倒木帯に遭遇。相当に太い木が根こそぎではなく、
 1m以上の高さのところでボッキリと折れている。根はしっかり張って
 いるのに雪の重みが相当なものだったろうと推測される。
 付近に残っているものの沢溝には余り倒木はないから、多分下流に
 押し流されたのだろう。この辺から沢は涸れる。


  6時過ぎ沢が一旦行き止まりとなり、崩壊寸前の脆い岩場が
 現れる。目の上の大岩は剥離して下の岩に支えられてかろうじて
 止まっていて、この下を行くのは恐かった。足元も掴む岩も皆ぼろ
 ぼろだ。慎重に行く。


  これを越えて進むと最後の大きな涸れ滝となる。これを登るには
 上段がクラックになっておりカムがいるそうだ。
 もちろんリーダーは即巻いて行く。
 (私はもしやと一つ用意して来たのだが)


  この先にもまだ小さな涸れ滝は幾つもある。

   (続く)