雪の大室山 | 鬼川の日誌

雪の大室山

  大室指から大室山  14,2,6


  昨年暮れに久保登山口から大室山を目指したが、
 想定外の大雪のラッセルに苦しめられ、とうとう山頂
 目前に撤退を余儀なくされた。だから当然来た道を
 そのまま下山した。
 計画では山頂から大室指の方に降るつもりだった。
 そこで今度は大室指の方から登りたいと思っていた。

  その時一緒に登り撤退した人と他に2人を誘って
 リベンジである。

  新宿に集合し中央道相模湖ICに降り、藤野の方
 から76号線、そして道志道(413号線)を進む。
 大室指地区に入り、地図を確認しながら413号線
 から戻るように登る道を辿る。先に駐車場所がある
 やらわからないが、集落を抜けて上に登っていく。
 集落が途切れて二俣となり、直進の道がゲートで
 行き止まりとなっている手前に駐車余地があった。
 413号線から直ぐ。
 こうした情報は全くないので手探りである。

  前回装備不足だったので、完全雪山装備でワカン
 とアイゼン、ピッケルも2本、10mロープも用意した。
 雨乞岩を過ぎて雪が深くなり、ワカンを使った方が楽
 だったと思うが、結局ラッセルを交代しながらで使わ
 ずに登った。雪の少ない凍り気味の急斜面もピッケル
 を使うほどではなかった。ダブルストックでOKだ。
 しかしワカン、ピッケルは何本か用意しておいた方が
 安心である。

  私たちが登山装備を装着・準備をしているところに、
 地元のオジサンが軽トラに乗って上がってきた。
 ここに止めておいていいかと尋ねると構わないという。
 そして大室山に登るのかと問うてきた。最初は止めた
 方がいいと言いたかったようだが、私たちの様子を
 見て、登るなら夏道はほぼ廃道状態なので、目の前
 のゲートの左を道なりに上に行き、もう一つのゲートを
 進んでから直ぐに尾根に取り付いた方がいいと教えて
 くれた。話の中でどうやら猟師もやっているということ
 らしく道に詳しいようだった。
 オジサンはゲートを開けて車で林道を進んでいった。

  私は夏道の記載されている昭文社の地図を持って
 いなかったこともあり、最初から尾根に取り付いて登る
 つもりだったから、この助言はありがたかった。

  私たちは最初からアイゼンを履き、ゲートの左を上に
 登り、次ぎのゲートを開けて進む。
 そして直ぐに右手の尾根に取り付く。9:30頃か。 
  


  尾根は当然登山道ではないからともかく上へ登って
 いく。今日は冷えてはいるが天気はいいので、直ぐに
 汗ばんでくる。温度調整。


  かなりきれいに枝打ちされた杉の植林帯を直登して
 いく。登山道ではないので雪の下は落ち葉や小枝で歩
 きにくい。時々管理道らしき踏み跡もある。


  1時間ほどして休憩する。途中尾根道を横切る動物
 の足跡がある。偶蹄目の足だから鹿か猪である。
 さらに上に行くと、水はないのだがヌタ場のように落ち
 葉が丸くかき回された場所があったから、猪なのかな?
 もっと間隔が広くスマートな偶蹄の足跡もあったから、
 こちらが鹿なのかも?



  地図にある943m点を過ぎて幾つかピークらしきを
 越えていくとぼろい案内標識がある。落ちかかった板に
 椿とあるから、ここが椿分岐らしい。11時頃。
 25000図では、943m地点の手前に椿集落の方に尾根
 を降る道があり、ここが椿分岐かと思っていたが、
 ずっと上の方だった。まだ山頂まで2時間とある。
 (標高を確認し忘れたのだが、1000m付近に椿沢に
 向かって張り出した尾根があるので、この付近かな。)


  ここまでは雪はさほど抵抗がある程のことはなかった
 ので、私がずっと先頭を進んできた。この辺から少し
 ずつ雪も深くなってきたので先頭を交代してもらう。


  歩き出して2時間くらいでまた少し休憩。


  その後ラッセルを交代しながらしばらく急斜面を登る。
 この辺はかなりきつい急登である。


  12時を過ぎた頃、目の前に大岩が現れる。これが
 雨乞岩らしい。隣にも大岩がある。


  大岩の間を抜けその上の岩場を越えて登っていくと、
 どんどん雪が深くなっていく。


  この先広い尾根に出るが、ちょうど天気も下り坂で
 ガスが出てくる。


  どう進むか検討も付かない様なだだっ広い尾根だが、
 コンパスを合わせともかく上の方を目指して進む。
 これが12:30頃で雪は深く最後の踏ん張りどころだ。
 この辺り左手が暮に撤退したところになるようだ。
 見上げた先の盛り上がりに見覚えがあった。


  12:40頃。少し傾斜が緩む。


  そして最後のピークを登る。大渡・久保吊橋を指す
 分岐標識がある。ということは大室指の方からの登山
 は一般的ではないということなのだろう。


  雪に埋もれ誰も踏んでいない山頂に着いた。
 12:50ちょうど。椿分岐から1時間50分。
 加入道山方面からの踏み跡はあったのだが、この人
 たちは山頂標識の傍には行かなかったのかしら?
 標識周辺は1mほど吹き溜まっているようだ。


  標識前で記念写真です。前回山頂目前に撤退した
 だけに、登れてよかった。




  寒いのでせっかく担いできたガスコンロでお湯を沸か
 して私はカップメン、他の人はコーヒー、お茶を飲む。
 やはり暖かいものは元気が出る。13:10頃。


  大室山山頂付近の尾根幅は相当に広く、久保吊橋
 方面など来た道以外に降るとすると、ガスの中かなり
 道を探すのに手間取りそうである。それに降りてから
 車道を2kmくらい歩かなければならないので、このまま
 来た道を大室指の駐車場所まで降ることにする。
 踏み跡を外さなければいいのでこれが一番確実である。


  雨乞岩傍を13:40頃通過。


  急斜面を降る。


  14時頃。まだ急なところが続く。


  椿分岐を14:20頃。ここから山頂まで登り2時間弱
 で降りは1時間程ということになる。


  椿分岐標識には大室指へ40分とか書いてある。
 しかし登りに1時間半ほど掛かっているし、膝が痛み
 始めてしまった仲間がきつそうなので、もう少し掛か
 るだろう。予定の往復6時間くらいでは行けそうだ。 


  943mピークを過ぎて登り1時間ほどで休憩した場所
 で少し休む。膝が少し痛いそうで心配である。
 その後植林帯に入ると、落ち葉と小枝がアイゼンに絡み、
 これに柔らかくなってきた雪と土がくっつき団子となる。
 アンチスノープレートも役立たない。
 しばしば叩き落さなければならず、とても歩きにくいこと
 も重なって時間が掛かる。
 尾根取り付きに下山したのは15:20頃となったから、
 椿分岐から1時間。
 まあ予定通りに下山である。


  駐車場に着き装備を解いて、車で集落を降り始めた
 のが15:35頃になっただろう。  


  坂上の集落を抜けて道志道に出る直前、下から軽
 トラが上がってきた。そこには朝の地元のオジサンが
 乗っていた。私たちの予定では15時から16時には
 降ると告げていたので、ちゃんと降ってきたか見に来た
 のだと言う。
 私たちも朝の様子ではオジサンは下山を確認に来る
 かもしれないねと話していた所だった。
 まあなんとも地元の人は親切だ。
 無事この通り下山して来ましたと、わざわざ確認に来て
 くれたことにお礼をいい別れた。
 こうしたことがあるとうれしいものだ。
 リベンジも完了したし、とてもいい締めくくりになった感じ
 がする。

  平日でもあり、あまり登られないルートのようで他の
 登山者には一切合わなかった。静かなものだ。
 雪道を登るという楽しみ以外は展望もないしトレーニング
 コースという感じかな。