赤岳
厳冬期の八ヶ岳・赤岳 14,1,18・19
昨年は横岳だった。毎年この季節に八ヶ岳に登る
けれど、この一番寒い時期(20日が大寒)の八ヶ岳は
本当に寒い。とりわけ西風が強いときは厳しい。
今年は厳冬期の八ヶ岳が初めてという人も何人か
いるので、赤岳を文三郎から登り往復することにした。
例によって茅野駅から美濃戸口にバスで着き、歩き
始める。なかなかいい天気だ。
美濃戸に近くなると阿弥陀岳が聳える。
堰堤を渡り北沢沿いに歩いていくと、大同心が姿を現
す。大同心稜も登ったが順番待ちで、取り付きで1時間
以上待たされて震え上がったことがある。
冬山の人気のバリエーションルートは順番待ちが不可
避で体力が落ちて来るとこれがとても辛い。
もう少し進むと横岳全体が見渡せる。
赤岳鉱泉名物アイスキャンディー。
大勢の人がアイスクライミングを楽しんでいる。
バックの横岳・赤岳が素晴らしい。
この日は山頂付近の風もなさそうだった。
いつもながら赤岳鉱泉は満員状態。冬の八ヶ岳の
いい拠点というわけだろう。私たち11名は一部屋を貸
しきるが、まあ一杯である。
この日は硫黄岳を目指す4人の仲間がテント泊で来
ていたので、部屋で酒盛りを一緒にやった。暖かい部
屋で一杯やったので、テントに帰るのが辛かったろう。
次の朝天気はいいしそれほど厳しくは冷え込んでない
感じである。しかしテントは寒かったろう。
テントの硫黄岳組みと別れて、私たちはいつものように
班分けして行動する。
リーダーが全く初めての2人を、私がまだ冬の赤岳を
登ったことのない2人を連れていくことにした。
登りはともかく降りではアンザイレンが必要となるだろう
パーティーということだ。
赤岳鉱泉から中山峠を越えていく。7時少し前くらいに
出発した。朝焼けは樹林に阻まれよく見えない。
シラビソの雪深い林の中を行く。
中山峠を降って行くと行者小屋の向こうに阿弥陀岳が
朝日を浴びて光っている。この光景はいつもながら素晴
らしい。赤く焼けるにはもう7:30過ぎで少し時間が遅い
のかな。普通の朝の光だ。
それにしても雪煙が舞い風が相当に強そうだ。赤岳は
日影で森閑としてとても寒そうに見える。
行者小屋に荷を一部デポする人もいる。私はデポする
荷もない。昨年はここから地蔵尾根を登り、横岳を縦走
した。地蔵尾根は稜線に出る直前が悪い。
今回は初めての人もいるので、赤岳から地蔵を降るのを
止めて、文三郎道を往復することにした。
行者小屋を出発するが風がいよいよ厳しそうだ。
文三郎の梯子の急雪壁を登る。一部梯子や鎖が出て
いるが、基本雪に埋まっているので使えない。
冷え込んで吹き溜まった雪が全くのさらさらだと、砂山を
登るようでアイゼンが効きにくく滑る。少し凍り気味の斜
面の方がアイゼンは良く効く。
梯子が終わる頃から風がまともに当るようになりとて
も寒い。手も冷たく、一瞬でもオーバー手袋を取る気に
ならず、写真を全く撮れなかった。
とりわけ中岳との分岐辺りは完全な吹き曝しである。
相当な風でしっかり踏ん張ってないとよろめかされる。
完全な目出し帽ではなかったこともあり顔が辛い。
風が雪煙を上げ皆が踏ん張り登る様子は、なかなか絵
にはなるのだが、写真に写すのは難しい。
とても休むどころではなく、ともかく風下になる山頂の裏
手に回りこむ。
こちらに入れば少しはましになるが、今度は岩稜帯と
なり登りに気を付けなくてはならない。
この急な岩稜で私の班の人のアイゼンが突然外れた。
鎖場の狭いルートなので、ともかく後続を除けられるとこ
ろまで上に来てもらい、後ろで支えてアイゼンを履きな
おしてもらったが、こういうところでオーバー手袋を外し
履きなおすのは辛かったろうと思われる。アイゼンの装
着が悪かったのだろうが、大きなミスや怪我に繋がりか
ねない。いい教訓にしてもらいたいものだ。
雪で凍りついた岩稜の登りの難しそうなところは助言し
指示しながら山頂に登りついた。
9:35頃だったから、行者小屋から2時間弱だ。
ここはとにかく到着記念に写真を撮らなくてはならない。
寒くて一旦電池切れのサインが出たが、やり直してなん
とかシャッターが切れたので目の前の山頂を連続して
撮る。後から見たら同じような写真ばかりだ。
目を転じて阿弥陀岳を撮る。阿弥陀は真っ白でとても
厳しそうだ。以前登った阿弥陀岳北稜らしきが見える。
ここも冬山バリエーションの入門コースだが、メンバーが
多いだけで、岩登りの取り付きで待ち時間がそれなりに
あり、これが結構寒く辛い。
ちょうど正面になる阿弥陀岳山頂から中岳の方に降る
斜面は相当に急で、ここもロープがいる。
山頂直下少し風を除けられるところで休憩する。
リーダー班と私の班はアンザイレンする。その他の班は
ロープは出さずに降ることにしたようだ。
安全のために私の班などはロープが必要ではあるが
しかし2人ともロープを扱い慣れてないので、とても歩き
にくそうである。ロープを足に絡めないようにするため、
ロープを手に少し巻き取ったり離したり、特に3人の中
間の人は前との距離を上手く取りながら歩く必要がある
が、これはなかなか難しいことではある。
いきなりの実地訓練だから仕方がない。
山頂の裏手から中岳分岐の方に出ると風が正面から
となり顔の露出部が痛くなってくる。
山頂を天望荘の方に降り地蔵尾根を降ろうとすれば、
山頂から地蔵尾根の中間まで、吹き曝しの時間が続く
こととなるので、こちらだったらもっと厳しかったと思う。
文三郎を降ることにしておいて良かった。
分岐を過ぎ文三郎の梯子に近くなると、雪がさらさらで
登りより一層滑りやすくなるので、慎重に降ってと声を
掛けつつ降る。
梯子が終わるころからは風も緩み、斜度も易しくなる。
顔の露出部もなんとか危機を脱する。
やはり厳冬期の八ヶ岳は、完全な目出し帽がいい。
行者小屋に辿り着けば厳しい寒さは終わる。
一休みして南沢を降る。
たっぷりの雪の中で、基本アイゼンは必要ない。しかし
南沢の最後の方で一部凍りついた斜面の昇り降りが
あるのでここは要注意。
美濃戸に12:30頃に到着した。
美濃戸口のバスが13:20があるという。
私は間に合わないかと思いながら歩いていて、ラストに
なったが、なんとか乗り込むことが出来た。
皆降りになると早い。
茅野駅の駅ビルで電車を待ちながら軽く乾杯。
時間が早いこともあり、特急あずさも空いていた。
今年の厳冬期八ヶ岳も無事終わりました。
顔の露出部が少し凍傷気味で赤くなったが、それ以上
酷くはならずに済んだ。
昨年は横岳だった。毎年この季節に八ヶ岳に登る
けれど、この一番寒い時期(20日が大寒)の八ヶ岳は
本当に寒い。とりわけ西風が強いときは厳しい。
今年は厳冬期の八ヶ岳が初めてという人も何人か
いるので、赤岳を文三郎から登り往復することにした。
例によって茅野駅から美濃戸口にバスで着き、歩き
始める。なかなかいい天気だ。
美濃戸に近くなると阿弥陀岳が聳える。
堰堤を渡り北沢沿いに歩いていくと、大同心が姿を現
す。大同心稜も登ったが順番待ちで、取り付きで1時間
以上待たされて震え上がったことがある。
冬山の人気のバリエーションルートは順番待ちが不可
避で体力が落ちて来るとこれがとても辛い。
もう少し進むと横岳全体が見渡せる。
赤岳鉱泉名物アイスキャンディー。
大勢の人がアイスクライミングを楽しんでいる。
バックの横岳・赤岳が素晴らしい。
この日は山頂付近の風もなさそうだった。
いつもながら赤岳鉱泉は満員状態。冬の八ヶ岳の
いい拠点というわけだろう。私たち11名は一部屋を貸
しきるが、まあ一杯である。
この日は硫黄岳を目指す4人の仲間がテント泊で来
ていたので、部屋で酒盛りを一緒にやった。暖かい部
屋で一杯やったので、テントに帰るのが辛かったろう。
次の朝天気はいいしそれほど厳しくは冷え込んでない
感じである。しかしテントは寒かったろう。
テントの硫黄岳組みと別れて、私たちはいつものように
班分けして行動する。
リーダーが全く初めての2人を、私がまだ冬の赤岳を
登ったことのない2人を連れていくことにした。
登りはともかく降りではアンザイレンが必要となるだろう
パーティーということだ。
赤岳鉱泉から中山峠を越えていく。7時少し前くらいに
出発した。朝焼けは樹林に阻まれよく見えない。
シラビソの雪深い林の中を行く。
中山峠を降って行くと行者小屋の向こうに阿弥陀岳が
朝日を浴びて光っている。この光景はいつもながら素晴
らしい。赤く焼けるにはもう7:30過ぎで少し時間が遅い
のかな。普通の朝の光だ。
それにしても雪煙が舞い風が相当に強そうだ。赤岳は
日影で森閑としてとても寒そうに見える。
行者小屋に荷を一部デポする人もいる。私はデポする
荷もない。昨年はここから地蔵尾根を登り、横岳を縦走
した。地蔵尾根は稜線に出る直前が悪い。
今回は初めての人もいるので、赤岳から地蔵を降るのを
止めて、文三郎道を往復することにした。
行者小屋を出発するが風がいよいよ厳しそうだ。
文三郎の梯子の急雪壁を登る。一部梯子や鎖が出て
いるが、基本雪に埋まっているので使えない。
冷え込んで吹き溜まった雪が全くのさらさらだと、砂山を
登るようでアイゼンが効きにくく滑る。少し凍り気味の斜
面の方がアイゼンは良く効く。
梯子が終わる頃から風がまともに当るようになりとて
も寒い。手も冷たく、一瞬でもオーバー手袋を取る気に
ならず、写真を全く撮れなかった。
とりわけ中岳との分岐辺りは完全な吹き曝しである。
相当な風でしっかり踏ん張ってないとよろめかされる。
完全な目出し帽ではなかったこともあり顔が辛い。
風が雪煙を上げ皆が踏ん張り登る様子は、なかなか絵
にはなるのだが、写真に写すのは難しい。
とても休むどころではなく、ともかく風下になる山頂の裏
手に回りこむ。
こちらに入れば少しはましになるが、今度は岩稜帯と
なり登りに気を付けなくてはならない。
この急な岩稜で私の班の人のアイゼンが突然外れた。
鎖場の狭いルートなので、ともかく後続を除けられるとこ
ろまで上に来てもらい、後ろで支えてアイゼンを履きな
おしてもらったが、こういうところでオーバー手袋を外し
履きなおすのは辛かったろうと思われる。アイゼンの装
着が悪かったのだろうが、大きなミスや怪我に繋がりか
ねない。いい教訓にしてもらいたいものだ。
雪で凍りついた岩稜の登りの難しそうなところは助言し
指示しながら山頂に登りついた。
9:35頃だったから、行者小屋から2時間弱だ。
ここはとにかく到着記念に写真を撮らなくてはならない。
寒くて一旦電池切れのサインが出たが、やり直してなん
とかシャッターが切れたので目の前の山頂を連続して
撮る。後から見たら同じような写真ばかりだ。
目を転じて阿弥陀岳を撮る。阿弥陀は真っ白でとても
厳しそうだ。以前登った阿弥陀岳北稜らしきが見える。
ここも冬山バリエーションの入門コースだが、メンバーが
多いだけで、岩登りの取り付きで待ち時間がそれなりに
あり、これが結構寒く辛い。
ちょうど正面になる阿弥陀岳山頂から中岳の方に降る
斜面は相当に急で、ここもロープがいる。
山頂直下少し風を除けられるところで休憩する。
リーダー班と私の班はアンザイレンする。その他の班は
ロープは出さずに降ることにしたようだ。
安全のために私の班などはロープが必要ではあるが
しかし2人ともロープを扱い慣れてないので、とても歩き
にくそうである。ロープを足に絡めないようにするため、
ロープを手に少し巻き取ったり離したり、特に3人の中
間の人は前との距離を上手く取りながら歩く必要がある
が、これはなかなか難しいことではある。
いきなりの実地訓練だから仕方がない。
山頂の裏手から中岳分岐の方に出ると風が正面から
となり顔の露出部が痛くなってくる。
山頂を天望荘の方に降り地蔵尾根を降ろうとすれば、
山頂から地蔵尾根の中間まで、吹き曝しの時間が続く
こととなるので、こちらだったらもっと厳しかったと思う。
文三郎を降ることにしておいて良かった。
分岐を過ぎ文三郎の梯子に近くなると、雪がさらさらで
登りより一層滑りやすくなるので、慎重に降ってと声を
掛けつつ降る。
梯子が終わるころからは風も緩み、斜度も易しくなる。
顔の露出部もなんとか危機を脱する。
やはり厳冬期の八ヶ岳は、完全な目出し帽がいい。
行者小屋に辿り着けば厳しい寒さは終わる。
一休みして南沢を降る。
たっぷりの雪の中で、基本アイゼンは必要ない。しかし
南沢の最後の方で一部凍りついた斜面の昇り降りが
あるのでここは要注意。
美濃戸に12:30頃に到着した。
美濃戸口のバスが13:20があるという。
私は間に合わないかと思いながら歩いていて、ラストに
なったが、なんとか乗り込むことが出来た。
皆降りになると早い。
茅野駅の駅ビルで電車を待ちながら軽く乾杯。
時間が早いこともあり、特急あずさも空いていた。
今年の厳冬期八ヶ岳も無事終わりました。
顔の露出部が少し凍傷気味で赤くなったが、それ以上
酷くはならずに済んだ。