西穂高岳
雪の西穂高岳 13.11,16・17
昨年も同じ頃西穂高岳を目指した。しかし山荘前で
1mに及ぶ積雪で、猛烈なラッセルを余儀なくされ、
その上稜線に出ると厳しい烈風にさらされ、独標にも
到達できずに撤退した。
今年はリベンジである。幸い天気はいいようだ。
新穂高温泉からのロープウェイを降りるとそこは
たっぷりの雪だった。しかし昨年の写真を改めて見る
と、この駅周辺からはるかに深いトレースの中を歩い
ているし、シラビソの雪の着き方も全然違う。
(下の写真)まあ昨年の方が異常だったのだが。
(12,11,17)
駅から1時間10分ほどで山荘到着。
比較してみると昨年は桁違いな積雪だということが
良く分かる。天気も悪かった。
(12,11,17)
昨年は都岳連の大パーティーがいたこともあり、
(この人達は山荘までのハイカー)
山荘は混雑していたが、今年は私たち12名の他
もう一部屋が使われていたくらいで少ない。
天気もいいのに。案の定独標以後は踏み跡が
なく、西穂山頂の雪には私たちが最初に足跡を
記すことになる。
今年はリベンジの人ばかりではなく雪の西穂は
初めての人も参加している。ツマミやお酒をしっかり
担ぎ上げた人もいて、ビール、ワイン、日本酒と
かなり飲んだようだ。私もだけど。
17日快晴の天気。朝焼けが始まる。5:55頃。
6:30前、日の出である。天気が良すぎて焼ける
雲がない。しかし雪山で見る日の出は素晴らしい。
茜色に輝く。この一瞬はなんともいえない。
霞沢岳、そして乗鞍岳が少し焼ける。
樹木が焼けている。
朝食をすませ朝日を浴びて出発の準備。6:45頃。
昨年はもうこの登りで深いラッセルに四苦八苦する
ほどだったが、今日は快適である。
笠ヶ岳、焼岳と乗鞍岳。
直ぐに独標とピラミッドピークが見えてくる。
並びの一番奥が西穂なのかな?
丸山には20分ほどで着いた。昨年は1時間近く
掛かっているのだ。深雪のラッセルが如何に甚大な
労力を要するか良く分かる。
まだハイマツも埋もれていないし、これくらいが
普通の11月中旬の様相かな。
丸山から20分ほど、きれいな青空です。9月の
終わりに行ってあちらから北アルプスの全山を眺め
たのだが、その白山が遠くに見えます。独立峰なので
よく分かるが、改めて遠さを感じる。
昨年は確かこの斜面で烈風に吹きさらされ、上に
登ったあたりで撤退したのかもしれない。
(12,11,18)
7:30過ぎ頃。いい感じですね。
独標、ピラミッドピークがぐっと近くなる。これで
山荘から1時間ほどだ。
太陽の輝く下に、富士山がはっきり見える。
8時頃には前穂のピークも見えてくる。
笠ヶ岳が段々低くなる。
まずは西穂独標。8:10頃。ここまではほとんど
夏道と変わらぬペースで来られたようです。
さてここから先はどうやら踏み跡がないし、危ない
岩稜帯となるので、昨夜決めた班毎にアンザイレン
して降ります。
Kリーダー班をトップに、N班、鬼川班、A班と続き
ます。しばらくは気の抜けない岩稜帯で慎重に進み
ようやくカメラを出したのが、下の写真で8:55頃。
右手に独標の柱が見え、霞沢岳が大きい。
その向こうは中央アルプスと、南アルプスそして
富士山だ。富士山の左手となると八ヶ岳かな。
下に梓川が光る。
ピラミッドピークへの登りです。先に踏み跡はなく
ルートを探しながら。
ピッケルや踏んだ足の穴が光が当ると青く見えますが、
この写真の雪は少し青みがかっているようです。
ピラミッドピーク9:15頃。1人の単独の青年が
私たちに着いて来ていたが、彼はアイゼンも履かず、
危なっかしい。彼はここまでだったようだ。
西穂のピークはまだかなり遠く高く聳える。
右手は奥穂高岳だ。夏奥穂高から降ったが、長く
とても疲れた。また会うことができた。
あまり変わらないが素晴らしい展望です。
ピーク以後、ラッセルやトップを交代しながら進み
ました。私たちも先頭に立ち、踏み跡もないので
おおよその進行方向を見定めながら進む。マークの
ないところでは、ルートを外すこともある。
しかし外せば正しい道が良く分かる。修正しながら
進んでいく。
何もない岩っぽい雪原でのルートファイディングは
結構難しい。そんなこんなでしばらくカメラを出せず。
カメラを出したのは、本峰直下らしき急斜面。
10:40頃。
この後、トップの前の班が本峰右手にルートを外し、
左手上にマークを見つけこれに従いルートを修正
して戻ったので、今度は私たちの班が先頭となる。
しかしマークを目指して進むと吹き溜まりに入り
込み深すぎて斜面を越えることが出来ない。残された
ルートとしては右手のルンゼ状の急斜面である。
ここを登るしかなく、私の番なのでこれに取り付き
登る。ここはこんどは雪の付きが少なく前爪を蹴り
こみ、ピック先端を差し込んで保持しつつ登る。
ルンゼ状出口は少しだが岩を越えなければならない。
越えると目の前に西穂の山頂のポールが見えた。
今回帰りのバスの時間があるので、11時を引き
返しのタイムリミットとしていたのだが、その直前で
ある。間に合ってよかったという思いで、「山頂だ!」
「着いた」とコールした。
私の隊がルンゼから稜線に出たのが、10:57で
まさにぎりぎりだった。
目の前には誰も踏んでない雪の先に西穂高岳
山頂のポールがある。これは感激である。
この雪に最初の足跡を記すことになった。
山頂にまさに11時ジャスト到着。
槍ヶ岳から立山方面と奥穂高岳方面。
光線の加減もあり、まだ雪も少なくいまいち真っ白
というわけにはいかない。
鬼川班を先頭に続々と山頂に到着する。
山頂で記念撮影。時間切れで再び宿題を残すような
ことはしたくなかったのでとても良かった。
12人全員が登れて感激です。
目の前を写す。集合写真を撮っておけば良かった。
山頂には多分10分もいなかったと思う。
また隊毎にロープを結んだまま降り始める。
稜線から先ほどのルンゼ状に降る最初が岩場で、
ルンゼ状は立った雪壁となっているわけで、ここを
降るのはかなり難しかった。
慎重を期すなら、ロープをもっと延ばし、安定した
場所まで一人一人降ろすのがベターだったようだ。
ルンゼに岩を越えて入り込むところは危ないので、
私の隊は先頭を後ろの人が岩にロープを絡め確保
して降ろす。そして次の人を私が確保し、最後に私
が降りる手順はもちろん踏んだが。
コンテのままで降り始めて若干トラブった隊もあった
が、確保は上手くいき無事降ることができた。
その後も険しい岩稜帯のアップダウンを繰り返し
ピラミッドピークに約1時間後到着。
振り返る。12:10頃。
下の写真は独標手前の岩のピーク。12:35頃。
縦に撮れば迫力あったのに。
独標12:50頃。
帰りのバスの時間にせかされてこの後写真は
撮らなかった。およそ1時間ほどで西穂山荘に
帰り着き、トイレを借り、挨拶を済ませて、早急に
ロープウェイ駅に降る。これもまた約1時間ほどだ。
15:15のロープウェイに乗れれば、15:50発の
バスに間に合うというわけだ。
降る途中では見上げた西穂はすっかりガスに覆
われていた。
15:15発のロープウェイには余裕で間に合った。
後はバスを乗り継ぎ、平湯から松本駅に出て電車に
乗り込むだけである。
ところが平湯からのバスが松本駅に着いたのが、
特急「あずさ」に間に合うかどうかというぎりぎりの
タイミングだった。
私は最初から間に合わないと思い諦め加減でいた
のだが、これが悪かった。
歩き出してみると間に合いそうで、皆して駆け込ん
だのだが、私だけが、用意していたはずの帰りの
切符を財布の中で見失い、あちこち探しているうち
に乗り遅れてしまった。
昨年のリベンジが叶い皆と機嫌良く、電車の中で
乾杯のはずが、とんまなことになってしまった。
1人寂しく1時間近く後の「あずさ」で帰る羽目になり、
随分と遅くなって家に帰りついた。
しかし上手くいったと羽目を外し、飲み過ぎていた
かもしれないので、反って良かったのかもしれない。
昨年も同じ頃西穂高岳を目指した。しかし山荘前で
1mに及ぶ積雪で、猛烈なラッセルを余儀なくされ、
その上稜線に出ると厳しい烈風にさらされ、独標にも
到達できずに撤退した。
今年はリベンジである。幸い天気はいいようだ。
新穂高温泉からのロープウェイを降りるとそこは
たっぷりの雪だった。しかし昨年の写真を改めて見る
と、この駅周辺からはるかに深いトレースの中を歩い
ているし、シラビソの雪の着き方も全然違う。
(下の写真)まあ昨年の方が異常だったのだが。
(12,11,17)
駅から1時間10分ほどで山荘到着。
比較してみると昨年は桁違いな積雪だということが
良く分かる。天気も悪かった。
(12,11,17)
昨年は都岳連の大パーティーがいたこともあり、
(この人達は山荘までのハイカー)
山荘は混雑していたが、今年は私たち12名の他
もう一部屋が使われていたくらいで少ない。
天気もいいのに。案の定独標以後は踏み跡が
なく、西穂山頂の雪には私たちが最初に足跡を
記すことになる。
今年はリベンジの人ばかりではなく雪の西穂は
初めての人も参加している。ツマミやお酒をしっかり
担ぎ上げた人もいて、ビール、ワイン、日本酒と
かなり飲んだようだ。私もだけど。
17日快晴の天気。朝焼けが始まる。5:55頃。
6:30前、日の出である。天気が良すぎて焼ける
雲がない。しかし雪山で見る日の出は素晴らしい。
茜色に輝く。この一瞬はなんともいえない。
霞沢岳、そして乗鞍岳が少し焼ける。
樹木が焼けている。
朝食をすませ朝日を浴びて出発の準備。6:45頃。
昨年はもうこの登りで深いラッセルに四苦八苦する
ほどだったが、今日は快適である。
笠ヶ岳、焼岳と乗鞍岳。
直ぐに独標とピラミッドピークが見えてくる。
並びの一番奥が西穂なのかな?
丸山には20分ほどで着いた。昨年は1時間近く
掛かっているのだ。深雪のラッセルが如何に甚大な
労力を要するか良く分かる。
まだハイマツも埋もれていないし、これくらいが
普通の11月中旬の様相かな。
丸山から20分ほど、きれいな青空です。9月の
終わりに行ってあちらから北アルプスの全山を眺め
たのだが、その白山が遠くに見えます。独立峰なので
よく分かるが、改めて遠さを感じる。
昨年は確かこの斜面で烈風に吹きさらされ、上に
登ったあたりで撤退したのかもしれない。
(12,11,18)
7:30過ぎ頃。いい感じですね。
独標、ピラミッドピークがぐっと近くなる。これで
山荘から1時間ほどだ。
太陽の輝く下に、富士山がはっきり見える。
8時頃には前穂のピークも見えてくる。
笠ヶ岳が段々低くなる。
まずは西穂独標。8:10頃。ここまではほとんど
夏道と変わらぬペースで来られたようです。
さてここから先はどうやら踏み跡がないし、危ない
岩稜帯となるので、昨夜決めた班毎にアンザイレン
して降ります。
Kリーダー班をトップに、N班、鬼川班、A班と続き
ます。しばらくは気の抜けない岩稜帯で慎重に進み
ようやくカメラを出したのが、下の写真で8:55頃。
右手に独標の柱が見え、霞沢岳が大きい。
その向こうは中央アルプスと、南アルプスそして
富士山だ。富士山の左手となると八ヶ岳かな。
下に梓川が光る。
ピラミッドピークへの登りです。先に踏み跡はなく
ルートを探しながら。
ピッケルや踏んだ足の穴が光が当ると青く見えますが、
この写真の雪は少し青みがかっているようです。
ピラミッドピーク9:15頃。1人の単独の青年が
私たちに着いて来ていたが、彼はアイゼンも履かず、
危なっかしい。彼はここまでだったようだ。
西穂のピークはまだかなり遠く高く聳える。
右手は奥穂高岳だ。夏奥穂高から降ったが、長く
とても疲れた。また会うことができた。
あまり変わらないが素晴らしい展望です。
ピーク以後、ラッセルやトップを交代しながら進み
ました。私たちも先頭に立ち、踏み跡もないので
おおよその進行方向を見定めながら進む。マークの
ないところでは、ルートを外すこともある。
しかし外せば正しい道が良く分かる。修正しながら
進んでいく。
何もない岩っぽい雪原でのルートファイディングは
結構難しい。そんなこんなでしばらくカメラを出せず。
カメラを出したのは、本峰直下らしき急斜面。
10:40頃。
この後、トップの前の班が本峰右手にルートを外し、
左手上にマークを見つけこれに従いルートを修正
して戻ったので、今度は私たちの班が先頭となる。
しかしマークを目指して進むと吹き溜まりに入り
込み深すぎて斜面を越えることが出来ない。残された
ルートとしては右手のルンゼ状の急斜面である。
ここを登るしかなく、私の番なのでこれに取り付き
登る。ここはこんどは雪の付きが少なく前爪を蹴り
こみ、ピック先端を差し込んで保持しつつ登る。
ルンゼ状出口は少しだが岩を越えなければならない。
越えると目の前に西穂の山頂のポールが見えた。
今回帰りのバスの時間があるので、11時を引き
返しのタイムリミットとしていたのだが、その直前で
ある。間に合ってよかったという思いで、「山頂だ!」
「着いた」とコールした。
私の隊がルンゼから稜線に出たのが、10:57で
まさにぎりぎりだった。
目の前には誰も踏んでない雪の先に西穂高岳
山頂のポールがある。これは感激である。
この雪に最初の足跡を記すことになった。
山頂にまさに11時ジャスト到着。
槍ヶ岳から立山方面と奥穂高岳方面。
光線の加減もあり、まだ雪も少なくいまいち真っ白
というわけにはいかない。
鬼川班を先頭に続々と山頂に到着する。
山頂で記念撮影。時間切れで再び宿題を残すような
ことはしたくなかったのでとても良かった。
12人全員が登れて感激です。
目の前を写す。集合写真を撮っておけば良かった。
山頂には多分10分もいなかったと思う。
また隊毎にロープを結んだまま降り始める。
稜線から先ほどのルンゼ状に降る最初が岩場で、
ルンゼ状は立った雪壁となっているわけで、ここを
降るのはかなり難しかった。
慎重を期すなら、ロープをもっと延ばし、安定した
場所まで一人一人降ろすのがベターだったようだ。
ルンゼに岩を越えて入り込むところは危ないので、
私の隊は先頭を後ろの人が岩にロープを絡め確保
して降ろす。そして次の人を私が確保し、最後に私
が降りる手順はもちろん踏んだが。
コンテのままで降り始めて若干トラブった隊もあった
が、確保は上手くいき無事降ることができた。
その後も険しい岩稜帯のアップダウンを繰り返し
ピラミッドピークに約1時間後到着。
振り返る。12:10頃。
下の写真は独標手前の岩のピーク。12:35頃。
縦に撮れば迫力あったのに。
独標12:50頃。
帰りのバスの時間にせかされてこの後写真は
撮らなかった。およそ1時間ほどで西穂山荘に
帰り着き、トイレを借り、挨拶を済ませて、早急に
ロープウェイ駅に降る。これもまた約1時間ほどだ。
15:15のロープウェイに乗れれば、15:50発の
バスに間に合うというわけだ。
降る途中では見上げた西穂はすっかりガスに覆
われていた。
15:15発のロープウェイには余裕で間に合った。
後はバスを乗り継ぎ、平湯から松本駅に出て電車に
乗り込むだけである。
ところが平湯からのバスが松本駅に着いたのが、
特急「あずさ」に間に合うかどうかというぎりぎりの
タイミングだった。
私は最初から間に合わないと思い諦め加減でいた
のだが、これが悪かった。
歩き出してみると間に合いそうで、皆して駆け込ん
だのだが、私だけが、用意していたはずの帰りの
切符を財布の中で見失い、あちこち探しているうち
に乗り遅れてしまった。
昨年のリベンジが叶い皆と機嫌良く、電車の中で
乾杯のはずが、とんまなことになってしまった。
1人寂しく1時間近く後の「あずさ」で帰る羽目になり、
随分と遅くなって家に帰りついた。
しかし上手くいったと羽目を外し、飲み過ぎていた
かもしれないので、反って良かったのかもしれない。