子持山・獅子岩南東壁 | 鬼川の日誌

子持山・獅子岩南東壁

   獅子岩南東壁岩登り  13,9,13


  二子山、西岳中央稜のマルチピッチを登ってから、
 私たちにも楽しめる初心者むけのルートを探して
 いました。その中で、この獅子岩南東壁はボルトも
 しっかり整備され、ゲレンデ並みにボルト間隔も
 短く初心者むけであるとされています。
 
  どんなものかを下見してこようということで、マルチ
 ピッチ岩登りの教官と私の2人で出かけました。
 
  車だと渋川伊香保ICを降りて、17号線を北へ
 向かうが、直ぐに(阿久津で)分岐する。これを左へ
 (多分旧道の17号線)入り道なりに進み、子持入口
 を左折しまた道なりに進む。
 子持神社大鳥居に出る。その横に子持山登山道が
 ありこれに入り、子持神社を指す小看板に従い進む。
 子持神社を左にしてそのまま進み、7号橋手前の
 駐車場に着く。

  橋を渡り進むと直ぐに大きな看板がある登山道
 入口。登山ポストがある。
 この上はコケの生えた板の道でとても滑るが横桟
 の滑り止めがあるので問題ない。
 それにしてもかなりの長さで、補修工事も大変だろう
 と思われる。

 

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  板の道が終わり同じような板の橋を渡ると屏風岩
 の基部で小さな祠がある。

 

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  右方向に進んでしばら沢の中を行く道になる。
 

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  やがて沢の右岸側の道を登って山腹に取り付く。
 この日は暑さがぶり返し、猛烈に湿気が多く蒸し暑く
 大汗をかく。

  登っていくとこの7号橋登山道と6号橋登山道との
 分岐の標識があり、その直ぐ上に登山道とこの先
 危険と書かれた分岐標識がある。

 

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  この先危険の方向に水平に100mほど進むと、
 右手樹林の中に獅子岩南東壁が見えてくる。
 (上を見ながら行かないと行き過ぎる。)
 南東壁基部に登山道入口から40分ほどかかる。
 私たちはここに10:40頃着。

 

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  今回私の大ポカでダブル用のロープ一本で登ること
 になった。ボルトラインが真っ直ぐなので可能では
 あるが、これだと懸垂で逃げることが難しい。それに
 大きく落ちるのはご法度となる。もちろんマルチルート
 で落ちたくはないが。

  心配していた通り私たちが装備をつけている間に
 早くも斥候らしいスズメバチが私たちの周りをうろつき
 始めた。スズメバチには最後まで付きまとわれた。
 万一刺されると大変なことになるので、刺激しないこと
 を優先し、あまりうるさいときは虫除けスプレーなどを
 散布しながら登ることになる。

  今回はダブル用ロープ一本で登るということもあり
 あまり長くロープを伸ばしたくないので、7pをそのまま
 7pで登ることにする。こうすると偶数ピッチのほうが
 核心部が多いので、今日大ポカの私は止めたほうが 
 よさそうで、教官にお願いすることにして、1ピッチ目
 (5.7)を私から取りつく。

  この岩は安山岩とかいう話で、少しざらついており、
 滑りにくい。これには随分助けられた。取り付きは緩い
 のだが、岩はひどくはないが逆層である。
 パーミング系のホールドが苦手な私には、ホールドが
 溢れているというほど易しくは感じない。が、探せば
 しっかりしたカチホールドや縦ホールドがある。
 滑らないので下向きホールドでも持てなくはない。
 終了点が近づくとだんだんと岩が立ってくるので、少し
 ずつだが難しくなってくる。
 まあ取り付き1ピッチ目はともかく難しいものだ。

  1ピッチ目終了点は取り付きから見えている。
 しっかりしたボルト・ワイヤーにシャックルが取り付け
 られ懸垂下降支点が作られている。今回他に誰も
 いないのでそのままビレイ支点として使わせてもらう。

  ビレイ支点を作り、教官に登ってきてもらう。
 2ピッチ目(5.7)は短いがさらに傾斜が増してくる。教官
 も最初のリードはそう楽ではなさそうだ。教官が終了点
 に支点をセットして、私がフォローで登る。
 かなりのハイステップがあるとかNETに出ているが、
 はっきり記憶にない。どうしてもフォローでは登りが雑に
 なっているのだろう。
 傾斜が強いし1ピッチ目より難しい。確かに終了点間際
 バランスの悪いところがあった。

  今回登攀中の写真を撮る余裕がなかった。
 つたない記事だけではイメージが全然湧かないので、
 NETに載せられている素敵な写真を3枚ほどお借り
 しました。(下2ピッチ目)

 

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  2ピッチを終了し、3ピッチ目(5.7)に直ぐに取り付く。
 最初はホールド豊富で問題ないが、右手に大きな
 フレークが出てくる辺りから、ホールドが乏しくなる。
 終了点前二つ目のボルトにヌンチャクをセットする辺り
 は、フレークの下に入りこむ形になった。このボルトの
 少し手前から、フレークでレイバックするのが普通の
 ようだ(それには少しクライムダウンする必要がある)。
 私は右手でフレークをワシヅカミして身体を上げて、
 上のガバを取った。もう一つ上のガバを取ると最後の
 ボルトにヌンチャクをセットできる。
 終了点は少し広い土のテラスになっており、安定して
 休めるところだ。

 
  ここも同じようなボルト・ワイヤーシャックルの懸垂
 下降支点がセットされているが、少し錆びていたので、
 スリングを一本補強して、支点をセットした。 
 フォローの教官もフレークをどう処理するかを少し考え
 ていたようだ。

  少し休める広さがあるので、水を補給していると、
 またスズメバチがうろつき始めた。かなり接近してくる
 ので、虫除けスプレーを振りまいて遠ざける。
 しかしこれでゆっくりしてはいられなくなり、教官に核心
 の4ピッチ目(5.8)に取り付いてもらう。出だしは支点の
 右手からである。

  ここはやはり難しく、右に左に動きながら登るので、
 ダブルロープでないと流れが悪くなりそう。教官は屈曲
 が強くなるところでは、前のヌンチャクを外して登って
 いく。終了点に近くなって1ヶ所左側から右側に移動
 するところでは、右の支点にヌンチャクを掛けて、A0
 して登っていたから、あの辺りに核心があるようだ。
 また終了点直前でも少し足が止っていた。
 (4ピッチ目の写真)

 

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  フォローで登っても、カチホールドだけに頼るわけ
 には行かず、アンダーや縦ホールドを工夫しながら使
 わなければならない。ここはどのピッチもそうだが。
 教官がA0した辺りでは、ヌンチャクを外した後バランス
 を崩し、思わずテンションしかかった。
 また終了点手前が小さなカチで耐えて、身体を移動し
 なければならずこれはリードでは厳しいなと思わされた。
 足が滑らないのでまあ身体を上げることができたが。 
 このピッチ辺りで疲れてきた。
 今日は蜂対策として、一枚ワイシャツを着ていたことも
 あり、暑くて仕方がない。
 暑さでかなりまいった。喉も渇く。

  核心を終了したが、5ピッチ目(5.7)は私の番である。
 少し休んで取り付く。出だしの立ったフェースを登り2本
 ほどヌンチャクをかけると、スラブ状になる。ホールドが
 乏しくなる。
 右手に立派な懸垂支点があったので、ルートを間違え
 たかとも思ったが、素直に登るとこちらになるし、ボルト
 もあるし間違いではないようだ。
 かなり疲れてきて、急なスラブの乗り越しが難しい。
 ホールドが見つからない。やむなくスラブ上のボルトに
 ヌンチャクを掛け、A0して乗り越える。
 その先は傾斜も緩くなり問題ない。
  

  終了点にビレイ支点を作りフォローに登ってもらう。
 そして6ピッチ目(5.7)は立ったスラブである。
 ホールドは豊富なようで、教官は問題なく登っていく。
 しかし最後の岩が相当立っていて、これを乗り越す
 のがちょっと難しそうである。教官もホールドを探して
 右に行き左に行きしている。何とか乗り越した。

  フォローで登っていくと、確かにこの立った岩には
 ホールドが見つからず、剥がされそうになる。
 (少し奥にホールドがあるとかいう話だ。)
 左手に潅木があり、この上に左足を掛け、最後の岩を
 乗り越える。本当はこれは使わないのだろう。
 先は草付になっていて、これを這い上がると終了点で
 ここは登山道に続いている。
 (6ピッチ目写真)

 

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  登山道から山頂に行けるが、7ピッチ目として最後に
 凹角を登る。5.7はほんの一手である。凹角の中間部
 ボルトにヌンチャク掛け、岩の出っ張りを跨ぎ越すまで。
 後は2mほどのスラブを登ってもいいし、右手から回り
 込んでもいい。


  山頂に出ました。13:50頃で取り付きから3時間で
 した。取り付きで少し食べてから、3ピッチ後のテラス
 ではスズメバチに追われて、水を補給するだけでした
 のでシャリバテ気味でもあります。

  取り付きからここまで登攀中の写真はお借りしました。
 基本的に余裕がないのと、そもそもロープを忘れる大
 ポカで、登攀を止めようかとも思ったくらいです。
 気持ち的にも写真を撮る気がしなかった。
 何枚かは撮ろうと思えば撮る事は出来たのでちょっと
 残念です。
 山頂に出れば余裕です。
 蒸し暑いので景色は霞んでいました。

 

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  ここで昼飯を食べ、登攀用具を整理して登山道を
 降りました。

 

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  途中獅子岩全貌が見えるところがありましたが、
 登ったフェースは手前の支尾根に遮られ見えません。

 

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  最後に取り付きへの分岐点をもう一度確認し、板の
 道を降り、登山道入口に15時過ぎ頃に着きました。

 

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  降り始めてから40分と少しくらいで近いです。
 入口の上流側に東屋があり、その下で沢に降りられ
 るので、ここで身体を拭いて、さっぱりして駐車場に
 降りました。

  たまにマルチルートに挑戦する初心者には、今回の
 獅子岩南東壁はかなり手応えがありました。
 5.7のピッチがほとんどで、4ピッチ目の5.8が核心ですが、
 人によっては一つ上のランク付けをしている場合もある。
 リードでA0せざるを得なかったところがあったわけで
 難しかったのは確かですが、なんとか登れたので、
 まるで手に負えないというほどのものではなかった。
 こうしたマルチルートにもう少し沢山取り付くことが出来
 れば、余裕も生まれてくると思います。

  ともかく最後まで登れてよかった。4ピッチ目をA0せず
 に登るのは難しいでしょうが、次回は挑戦して見ようかと
 思います。
 蜂の問題もあり、涼しくなってからになるでしょうか。
 お付き合いくださった教官ありがとうございました。