二子山、西岳・中央稜 | 鬼川の日誌

二子山、西岳・中央稜

   西岳・中央稜  13,8,7夜・8



  今年6月に谷川岳・烏帽子岩南稜の登攀に誘われ、
 久しぶりのマルチピッチの岩登りを体験し、なんだか
 また行きたくなってきた。もちろん体力的にも難しい
 登攀はもう無理だろうけど、初心者向きのマルチ
 ルートなら楽しめるかもしれないという気になってきた。

  そこで一度この中央稜を計画したが流れていた。
 そのときの仲間が半分はヨーロッパに行っているので、
 日本に残った仲間で、くそ暑い盛りでどうかとも思った
 のだが行くことにした。

  前夜秩父龍勢会館道の駅にテントを張り仮眠。
 ここも非常に暑かった。一杯やりながら明日は出来る
 だけ早めに出ようということにした。岩場に日が射す
 頃になると多分暑くてそれで消耗しそうだからだ。

  6時頃には二子山股峠下の登山口駐車場に着き
 準備して登る。

 

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  股峠は直ぐ上で、それを坂本の方に少し降ると
 また分岐の案内があり、ローソク岩の方に進む。
  

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  ハングした難しそうなクライミングゲレンデを過ぎて
 進むと右手が顕著な岩壁になる。直ぐに壁沿いに
 踏み跡も見えたが、もう少し登山道を進み、登山道が
 木を回り込むところ右手に踏み跡がありこれを登ると、
 防火用赤いドラム缶が見えてくる。
 ここが中央稜の取り付きである。
 分岐看板から10数分。6:35頃。

 

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  今日は4人で、A、B二組のツルベである。(最初3人
 だったが、ツルベが出来るように1人誘った。)
 A組はシングル用ロープでB組はダブルロープ。
 ここは奇数ピッチが手応えのある登りとなっており、
 A組は今回のマルチルートの教官と女性、B組は私と
 女性で男性陣が奇数ピッチを登ることにした。

  装備を整え、まずはA組教官から取り付く。
 6:50頃を過ぎていたようだ。

 

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  A組フォローが登った後私も取り付く。  
 1ピッチ目は出だしのホールド豊富な垂壁を登って、
 下から見えなくなる辺りに顕著なリッジを身を乗り出し
 て登るところがある。このリッジの上の方に、ハーケン
 があるのだがこれが穴が小さい。細めのヌンチャクが
 やっと入ったが、普通は細めのスリングを用意して
 おいた方がいい。また掛けるとき態勢が悪いので、
 ちょっと大変。
 これを越えれば後は(下の写真、B組フォロー)特に 
 問題ない。

 

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  1ピッチ目が終わると安定したテラス。
 ここから2ピッチ目は結構立った壁を登る。
 2ピッチ目のA組リード。7:20頃から。

 

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  ローソク岩が見える。
 

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  2ピッチ目A組みフォロー。
 

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  さて私たちB組も私の相棒のリードである。
 このリードが終了点に到達したのは8:00頃。
 真っ直ぐ登った後、最後のほうは右に回りこまないと
 ちょっと難しいようである。
 私がフォローで登り、終了点に着いたときには、A組は
 フォローが3ピッチ目を登り始めたところ。
 この3ピッチ目のクラックの登りが全体の核心でもある。

  最初の約束では、教官がクラックの上の方の核心
 部分にキャメロットをセットしそれを残しておいてくれる
 はずだったのだが、「セットしてないから」という教官の
 声が聞こえた。

  A組フォローの後を追って直ぐに取り付いたことでも
 あり、動揺したのか肝心の3ピッチ目の写真を撮るの
 を忘れてしまった。まあNETを見れば溢れるほど写真
 はあるから、それを見てもらおう。

  下半分のクラック、左のクラックとの合流点までと
 その上の二つのボルトにヌンチャクを掛けロープを
 セットするまでは問題ないが、そこから次のガバを
 取るまでが難しい。

  クラックがかなり広く、左腕全体でロックしようとする
 が決まらず、右手の壁はホールド小さくなかなか体が
 上がっていかない。クラックの奥に小さなホールドが
 あったが、身体を支えるほどではない。
 じっくり検討してる余裕もないので、二つ目のヌンチャク
 でA0して少し身体を上げ、後は這いずりあがるように
 してようやく上のガバに到達した。そしてボルトにヌン
 掛けしてロープをセットすれば一安心である。
 随分前にも同じところをリードしたはずだが、ほとんど
 なんの進歩もしてないようだ。
 (じっくり構えるほどの気持ちの余裕がない。)

  その後は難しいところはなく、快適に登っていくと
 大きなテラスに出る。立ち木に支点をセットしてB組
 フォローを引き上げ、揃ったところで大休止。
 
  A組リードが4ピッチ目に取り付いたのが9時を過ぎ
 ていた。4ピッチ目はそう問題はないようだ。
 フォローが続く。
 

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  4ピッチ目私の相棒のリードはビレイしているので、
 写真は撮れず、フォローで私も登り、終了点で一枚。
 もうこの頃はすっかり日も高くなっていたが、まだ
 それほど暑くはなかった。9:40過ぎ頃。

 

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  見上げると5ピッチ目をA組フォローが登っている。
 写真の上がちょっと腕力がいるようで、上がるのに苦労
 しているようである。直ぐに私もリードで取り付く。

 

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  先ほどの部分ちょっと身を乗り出すがそれ以外はそう
 問題はない。フレークを掴んで力を入れるときには、
 これはボロッと欠けたりしないだろうかと心配になるほど
 薄いものがある。
 おかげでホールドには事欠かないわけなのだが。
 5ピッチ目の終了点に支点をセットし、フォローに登って
 もらい、終了点間際に撮ったのが下の写真。
 これで10:10過ぎていた。

 

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  6ピッチ目のB組リード。
 

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  6ピッチで岩場は終わり、7ピッチ目は歩きであるが、
 ロープを整理すると時間が掛かるので、ビレイはせず
 私がまずはロープを引きずって上がり、終了点で
 ロープを引き上げ、フォローに登ってもらう。
 終了が10:35を回っていたようだ。

 

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  6:50頃から取り付いたとして、およそ3時間50分
 くらいで二組登ったことになる。

 

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  傍の岩にカミキリムシのツガイが交尾の真っ最中。
 写真を撮ろうと近づくと重なったまま仲良く逃げていった。

 

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  最も暑い盛りの南面の岩で、照り焼きになるのではと
 心配して早めに岩に取り付いたお陰で、そう暑くはなら
 ないうちに、終えることが出来た。
 これなら真夏でも登れることが確認できてよかった。

  時間も早いので西岳山頂に行ってみることにする。

 

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  坂本への登山道分岐。
 

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  西岳山頂で記念写真。11:10頃。
 

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  少し戻ったところに中央稜全体を見渡せるところが
 ある。なかなかいい眺めです。

 

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  先ほどの坂本分岐から登山道を下る。途中ちょっと
 したゲレンデがあり、私らにも取り付けそうなルートも
 あったのだが、またロープを取り出す元気がなかった。
 股峠に出て駐車場に降る。

  確か12時近くになっていたと思うのが、もう一台の車
 がいて、3名のクライマーが準備していた。
 どうやらこれから中央稜に取り付くようだ。
 まもなく彼らは出発したが、もうカンカン照りの暑さです。
 これは絶対岩場で照り焼きです。
 岩がどうのより、この暑さで相当に消耗するはずです。
 大体秩父地方は暑いのです。

  坂本目指して降る道では、平日でもあり道脇の樹木
 雑草等の伐採作業をやっていて、ちょうど作業員たち
 の昼飯時で、あちこちで弁当を広げていた。
 もっと降るとまだ作業中で、道一杯に切り倒した樹木等
 が散らばり、通れない。どうしようかと思っているうちに、
 キャタピラの作業車が切った大木を摘んでそれで道の
 上を掃いて通れるように除けてくれた。
 箒で掃くように操って上手いものだ。
 大木を摘んでこちらに向かってきたときは何をするん
 だろうと思ったのだが。皆へエーと感心する。 
 お礼を言って通らせてもらう。

  私たちは龍勢会館に立ち寄り、野菜などを仕入れ、
 安い風呂屋を訪ねた。また7kmほど遡ったところに
 合角(かっかく)ダムというのがあり、そこに吉田元気村
 という町営の施設があると教えてもらった。うまいことに
 割引券ももらった。

  ところでこの元気村の体育館にクライミングボードが
 あるようだ。自分等で用具を持ち、慣れた人なら使える
 とかいう話だった。
 しかし見てないのでどんなものかは分からない。
 子どもたちが使うような場合はだめなので、いくつか
 問い合わせをする必要がありそうだ。
 この辺に泊りがけで出かけるような場合は調べてみる
 といい。

  風呂には安く入れたが、食堂がちょうどやってなく、
 また龍勢会館に立ち寄り、食事をして帰京した。

  久しぶりのマルチルートを楽しく登れ、またもう少し
 いろんなルートを登れたらいいなと思うようになりました。
 もちろん初心者ルートしか登れませんが。