マスキ嵐沢と鬼石沢 | 鬼川の日誌

マスキ嵐沢と鬼石沢

    マスキ嵐沢と鬼石沢  13,7,27・28




  今年の天気は異常である。とりわけ7月になってから
 東北地方では大変な雨が降り、災害が起きている状況
 である。本来は福島の飯森山沢開き実行委員会が
 主催する、大桧沢沢登りの予定だった。
 しかし結局増水が心配され中止となった。

  急遽丹沢の二つの沢を避難小屋泊まりで行くことに
 なった。私は毎年のように行っている沢であるが。

  新松田駅に集合し車で大滝沢キャンプ場上の林道に
 入る。少しで何台か停められる場所がある。もう少し
 上の登山道入り口まで入れるようだが、歩いても10分
 ちょいくらい。

  畦ヶ丸登山道を大滝沢沿いに登り、大滝沢を2回
 渡って登っていく。
 しばらくでマスキ嵐沢と大滝沢の合流点(これが樹林の
 中で見落とすことが多い)を過ぎると、マスキ嵐沢沿い
 の登りとなり、山腹に取り付く前が、入渓点である。

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  私たちは小屋泊まり装備を入渓点にデポして沢に
 10時過ぎ頃に入る。懸垂で降ってくる予定である。

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  前に若い女性をトップにした4,5人のグループが
 F1に取り付いていた。終始この人がトップだったようだ。
 どこの沢だったか忘れたが、結構難しい沢をリードして
 いた人に感じが似ている。
 
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  シャワーーを楽しんでいるようなので先に行かせて
 もらった。F2トイ状は大きな丸太があり易しい。
 F3が前半のハイライト。途中ピンがないので、滑らない
 ように注意して登るが難しいところはない。
 お助けロープをセットして登ってもらう。こういうところ
 では、ホールドがあるのだから、お助けはあくまでそれ
 として使い、基本は自分の力で登るようにしないと、
 いつまでもお助けロープにすがることから脱出できない。
 10:40頃。

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  F4を過ぎ、F5で前の組に追いつく。ロープをセットし、
 これにつかまって登っている人は運動靴である。
 これでは滑るし苦労するのも無理はない。
 後を追って登り、お助けロープをセットする。こういう
 ところでも、ロープに頼らず、足の滑り具合を確認する
 練習場にして欲しいものだ。11:10頃。

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  F5からしばらく水ガレの沢をかなり遡る。
 F6は階段状の涸れ滝で問題なく登ると、目の前がF7。
 ここで11:40頃。
 これも涸れ滝だが一応高さがあるので、ロープをセット
 する。フリクションノットで登ってもらう。

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  皆が登り終わる頃から雨が降ってきた。
 F7を懸垂で降り、F6を降る頃にはかなり激しい雨と
 なり、雷鳴も轟き始めた。皆はカッパを着用したが、
 それほど寒くないので、私はそのまま降る。
 そのうち雷が相当近くなったが、沢中でめったに落ちる
 ものでもないので、気にせず降る。

  F5はお助けロープで降り、F4はまた懸垂。

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  F3も懸垂である。懸垂の場合は、セットしてセルフ
 ビレイを外す前に、必ず一度体重を掛けて確認する
 ことを徹底する。最近岩場で懸垂の手違いで事故が
 頻発しているようである。
 F3を下ったのが13:50頃か。

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  F3が終われば後はそのまま降りて行ける。

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  14:20前には入渓点に降りついたようだ。
 結構な雨に降られたが、ブルーシートを掛けておいた
 ので、荷はさほど濡れなかった。
 沢装備は解いたが、靴はそのままで、一軒屋避難小屋
 まで上がることにする。

  私たちが登り始める頃、F7上に私たちと同じ頃着き
 (登攀は止めて巻いて)尾根に登っていったグループ
 が降りてきた。大分迷ったとかいう話だった。

  小屋泊まり装備を担いで約1時間ほど登る。
 天気が不安定だったせいか、小屋には私たちだけ
 だった。
 これは有難かった。貸切で使えるほど楽なことはない。
 ぬれた装備・服などを小屋の前に盛大に広げて干す。
 
  落ち着いたところで食事宴会である。
 このひと時は楽しい。

  板の間と土間に分かれて寝る。私は板の間に寝た
 が夜中ダニがいたようであちこち喰われ、かなり酷い
 ことになった。不思議なことに傍にいて喰われなかった
 人もいる。

 *

  28日今日は鬼石沢である。
 避難小屋の右横の沢が鬼石沢である。直ぐに入渓し
 てもいいが堰堤があるのでその上から入渓する。

  以下今回は全く写真がピンボケで写らなかったので、
 昨年7月の写真を幾つか載せる。しかし水量がまるで
 少なく、様子が写真とは全く違った。

  入渓してから直ぐにF2である。(F1は通称雨棚で、
 これは避難小屋の下にあり、私たちの登れる滝では
 ない。)
 F2は右手の泥壁から取り付き流れの傍に寄って登る。
 ホールド豊富で問題はない。
 
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  また直ぐ上が鬼石沢のメインF3である。
 
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  昨年は大水量だったから、登攀もシャワーを浴び
 かなり楽しめた。
 ところが、今回は水量が少ないばかりではなく、左岸
 から大木が滝の中に倒れこみ、滝の下半分を蔽って
 しまっていた。ピンボケ写真だが様子が分からない
 と思うので載せておく。

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  当然のことながら大木の枝先を潜るようにして登る
 しかなく、水は少なく全く面白くないことになったが、
 止むを得ない。この滝の登攀はしばらくは楽しめないと
 思われる。

  東北方面は雨が降りすぎるほど降っているのに、
 関東は水枯れである。
 それがよく分かるのが、F3の上の様子である。

  F3を登り終え10分ほど遡ると堰堤を越える。
 その上が全く水が枯れてしまっていて、様子が余りに
 違うので、F4が出てくるまで、ルートを間違えたかと
 思うほどであった。

  F4は普通は花崗岩のナメ滝で、シャワーを浴びて
 気持ちよく登れる。昨年の写真。

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  ところが今回は水がなくコケに覆われ滑るばかりで
 全く楽しくない。
 その上の花崗岩のナメも水がなくて汚くなっている。

  F5チョックストーンにいたっては、通常流れている
 左の滝が水がなかった。ここの体内潜りは抜け出る
 のが結構大変であるが楽しむ。

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  F5からしばらく歩くと、大岩の乗った堰堤である。

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  これを左から越えて進むと二俣で、右の苔むした
 緩い滝を越え、次の階段状の滝を越えると、落ち口が
 壊れかかった古い堰堤がある。

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  今回はこれを越えるともう全く水はなくなった。
 この先に少し難しいCS滝があり、倒木を足場にこれを
 越えていくと、三俣になり一番左の本流を辿る。
 最後のCS涸れ滝は右からも越えられそうだったが、
 左のザレを登り巻く。

  これから少し詰めていけば沢は終わり薮こぎもなく
 登山道に出られる。
 少し避難小屋方面に登ると看板がある。
 今回の写真です。

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  登山道を降り、一軒屋避難小屋を経て、キャンプ場
 上の駐車場に降る。
 今回も車を出しましたので、皆さんを新松田駅まで送り
 残念ながら打ち上げもやれず解散しました。

  それにしても鬼石沢は楽しくない沢になってしまった。
 そのうち大雨でも降れば水流はまた回復してくるだろう。
 しかしとりわけメインのF3の倒木は動きそうになく当分
 は期待できそうにない。残念である。