滝子山東稜
滝子山東稜 12,7,10
滝子山東稜は以前から行って見たかったところ。
例会企画が雨で流れたので、仲間を募り、梅雨の晴れ
間に出かけた。中央線大月駅8:45着電車。
タクシー乗り場で巣立ったばかりかというツバメの子が
足元にうろうろしていた。まだ良く飛べないようだ。
タクシーで恵能野(えのうの)神社まで入る。タクシーの
運ちゃんも神社自体は知らなかったようだが、集落の
一番奥の橋の手前で降ろしてもらうと、橋を渡ったところ
が神社だった。
神社で用意し歩き出す。9:15頃かな。
少し歩き左岸から右岸に橋で渡る。直ぐに左からの沢
を越えて進む。「廃車両の辺りから取り付く」という案内
があり、それらしきを探すが、廃屋はあるも廃車両は
見つからない。地形図の沢との交点まで来てしまった。
尾根を回り込んだことになるので、少し戻り、登れそうな
ところから鞍吾山にコンパスを合わせて登り始める。
尾根が沢に落ち込む方(進行方向右端)に上がると
踏み跡があった。どうやら先ほどの沢の交点辺りから
登ってきているようだ。
とにかく尾根に乗ってしまえば特に問題はない。
急坂の後少しばかり平らなところもあった。10時頃。
ところがこの先は急登の連続である。
10:20頃にはかなり厳しい登りとなる。皆さん元気だが
仲間の一人(A氏)の足が進まなくなる。
先日のセイメイバン東尾根に比較すれば、風が通り
ずっと爽やかな天気であるが、鞍吾山直下が一段と
きつい登りである。
ようやく鞍吾山。10:30を過ぎていた。
そもそもこのルートは初狩駅から歩き出す約2時間半の
行程を短縮したルートなのだが、ここまで1時間以上
掛かった。それでも1時間以上は短縮。
足の出ないA氏は、お年も召してきたし、「肺気腫」
という診断を受けており、富士山などの高い山は止めた
方がいいと医者に言われている体である。長年の経験
でマイペースで登れる低山ハイクには問題はないのだが、
さすがにこうした道なき道の急坂ではへばることが多く
なってきた。
山頂で少し休憩。春先アブラチャンと同じ時期に黄色い
花を林の中で付けるダンコウバイの特徴的な葉があった。
アブラチャンとダンコウバイの花を見分けるのは難しい
が、木の葉は忘れられない形をしている。
さて問題はこの東稜はエスケープルートがないことだ。
ここで引き返すにはあまりにも早すぎる。この先東稜の
中間点の送電鉄塔までは、大したアップダウンもなく、
A氏も少しは調子を取り戻すだろうと進む。
次の1057mピーク辺りから林の向こうに、目指す滝子山
が見えたが今日の調子でははるかに遠い。
10:55頃。
11:20頃ようやく送電鉄塔である。これから1250m
ピークに登り、御正人のタルに下ってから、また標高差
370m程の急峻な登りである。見かけも滝子山までまだ
相当ある。鉄塔の足にちょうど引っかかって見えるのが
1250mピークらしく、そこまでもかなりある。
最悪引き返す覚悟も決めて出発。11:35過ぎ。
最初の中は緩い上り下りだがピーク近くはまた結構な
急坂である。
1250m圏ピークに着いたのは12:15頃。(もう3時間)
これから御正人のタルへ下れば引き返すより滝子山
山頂へ登った方がいい。ここは何が何でも登ってもらう
しかない。タルへの降りが白砂のザレで滑りやすいこと
もあり、へばってきたA氏の足でふらつかれるとやばい
ので、ここで私とアンザイレンすることにした。
急な下りで固定ロープが張ってあった。
御正人のタルまではA氏を先に降りる。12:30頃。
タルへの下りからは、別の元気な仲間に先導役を託し、
タルの先の急峻な登りは私がA氏を引き上げる感じで
ある。一旦傾斜の緩んだところで、ロープを外してみたが、
A氏の足が全く進まない。やはりロープで引き気味で
ペースを作ってやらないと上に着きそうにない。
いずれにせよまた直ぐに急峻な岩っぽい登りとなり
ロープが必要だった。13時頃の様子。
13:10頃。この辺が急峻な登りだったようだ。急に引か
れても、耐えられるように後ろに気を配りながら、ロープ
の張り具合を感じながら登り、危ないところでは、待って
もらい、先に登って立ち木にロープを巻いてビレイする。
コンテとスタカットの組み合わせで登る。
13:20を過ぎる頃になると岩っぽさもなくなり、傾斜も
緩んでくる。写真は:30頃。
10m補助ロープをダブルにして間隔5mほどにしたが
これくらいがちょうどいい。2、3回手に巻きつけておき
引かれ具合で巻きを解いたり調整できるから。基本は
歩を進めてもらうためにも、急に引かれてもいいように
張り気味(タイト)である。
東稜と初狩駅への道との分岐着。13:40頃。
タルから1時間10分ほど掛かった事になるが、この状態
ではいいほうだろう。
ここまで来ればもう安心である。三角点を探さなかったが
ここが1590m点のようだ。
いやぁきつかったようで、ご苦労様でした。
足元にギンリョウソウがお出迎え。
鎮西ヶ池への分岐を見送り、最後の一登りで、滝子山
山頂1620m、13:55頃。
(鞍吾山から2時間弱のところ、3時間半弱掛かった。)
14時までに着けば後は登山道を降ればなんとかなる
と予測したが、大体そのようになりそうだ。
それにしてもご苦労様でした。山頂記念写真です。
ゆっくり休憩後は登山道を降るつもりでしたが、つい
奥の方に行ってしまい、その後急降りになり、これは
南稜や元々降る予定だった浜立尾根への道だった。
先ほどの山頂直下から鎮西ヶ池の方が登山道で引き
返す。浜立尾根より登山道の方が大回りではあるが、
A氏の今の状態では急峻な降りがある場合、ちょっと
心配でまたアンザイレンすることになりそうだ。時間が
はっきり読めない。戻って山頂14:30過ぎ。この時間が
実質の降りのスタート。
山頂直下の鎮西ヶ池分岐。
鎮西ヶ池。白縫神社。14:45頃。
直ぐに笹子駅分岐。
しばらくはとても歩きやすい登山道。A氏も元気回復。
15:30頃には沢に降り、滝を見ながら。
ところどころ道が崩壊している。
16時頃右岸から左岸へ渡る。
もう一度渡り返す。
道証地蔵到着。
16:20頃だからここまで山頂から2時間弱。これは快調な
ペースでしょう。降りは問題ない。
登りは全く足が進まなかったA氏も歩きやすい登山道
に入ってからは問題なく歩きました。急な登りに、酸素の
取入れが追いつかないようです。足の筋肉の衰えもあり
ますが、やはりそれだけではないようです。
肺気腫といえば肺の細胞の一部が潰れている訳です
から、登山で必要な深い呼吸が出来ないようです。
いつもA氏の呼吸の浅いことが気になっていました。その
状態でむりやり引っ張り上げられるのに、良く付いてきて
くれました。きつかったと思いますが、御正人のタルから
はなにがなんでも登ってもらうしかなかった。
これからはこうした道なき道の急峻な登りのあるコース
などは割愛し、じっくりマイペースで歩けるハイクで足と肺
をコントロールする方策を編み出して欲しいものだと思い
ます。
道証地蔵からは舗装道路を20号線に向かって降るしか
ありません。いつもながら最後の舗装道路は嫌なものです。
また下界に出てから暑いこと。
20号線に出てから駅までも少しあり、バスはないかとバス
停で時間を見ていたら、上からちょうどバスが来た。
これ幸いとバスに乗り笹子駅まで。ほんの少しだがバスの
クーラーで生き返りました。
駅に17時過ぎに着いたが電車は17:30までない。無事
着いたので乾杯と思えど、近くにビールを売る自動販売機
もない。仕方なく担ぎまわって温くなった私の残りのビール
を飲む。販売機くらいあっても良さそうだが。
笹子駅からの中央線の電車が特急待ちや時間調整
などでえらく時間が掛かった。これでいつもの打ち上げの
一杯の時間もなくなり、そしてその先の電車が人身事故
だとかでこれまた遅れに遅れ、家に帰りついたのは21時
を過ぎていたから、今日一日はとても長かった。
私は南稜(寂廠尾根)は登ってますが、今回割愛した
浜立尾根など滝子山にはまだ面白そうなルートが沢山あり、
また計画したいものです。
(同行の氏の写真をお借りしました。)
滝子山東稜は以前から行って見たかったところ。
例会企画が雨で流れたので、仲間を募り、梅雨の晴れ
間に出かけた。中央線大月駅8:45着電車。
タクシー乗り場で巣立ったばかりかというツバメの子が
足元にうろうろしていた。まだ良く飛べないようだ。
タクシーで恵能野(えのうの)神社まで入る。タクシーの
運ちゃんも神社自体は知らなかったようだが、集落の
一番奥の橋の手前で降ろしてもらうと、橋を渡ったところ
が神社だった。
神社で用意し歩き出す。9:15頃かな。
少し歩き左岸から右岸に橋で渡る。直ぐに左からの沢
を越えて進む。「廃車両の辺りから取り付く」という案内
があり、それらしきを探すが、廃屋はあるも廃車両は
見つからない。地形図の沢との交点まで来てしまった。
尾根を回り込んだことになるので、少し戻り、登れそうな
ところから鞍吾山にコンパスを合わせて登り始める。
尾根が沢に落ち込む方(進行方向右端)に上がると
踏み跡があった。どうやら先ほどの沢の交点辺りから
登ってきているようだ。
とにかく尾根に乗ってしまえば特に問題はない。
急坂の後少しばかり平らなところもあった。10時頃。
ところがこの先は急登の連続である。
10:20頃にはかなり厳しい登りとなる。皆さん元気だが
仲間の一人(A氏)の足が進まなくなる。
先日のセイメイバン東尾根に比較すれば、風が通り
ずっと爽やかな天気であるが、鞍吾山直下が一段と
きつい登りである。
ようやく鞍吾山。10:30を過ぎていた。
そもそもこのルートは初狩駅から歩き出す約2時間半の
行程を短縮したルートなのだが、ここまで1時間以上
掛かった。それでも1時間以上は短縮。
足の出ないA氏は、お年も召してきたし、「肺気腫」
という診断を受けており、富士山などの高い山は止めた
方がいいと医者に言われている体である。長年の経験
でマイペースで登れる低山ハイクには問題はないのだが、
さすがにこうした道なき道の急坂ではへばることが多く
なってきた。
山頂で少し休憩。春先アブラチャンと同じ時期に黄色い
花を林の中で付けるダンコウバイの特徴的な葉があった。
アブラチャンとダンコウバイの花を見分けるのは難しい
が、木の葉は忘れられない形をしている。
さて問題はこの東稜はエスケープルートがないことだ。
ここで引き返すにはあまりにも早すぎる。この先東稜の
中間点の送電鉄塔までは、大したアップダウンもなく、
A氏も少しは調子を取り戻すだろうと進む。
次の1057mピーク辺りから林の向こうに、目指す滝子山
が見えたが今日の調子でははるかに遠い。
10:55頃。
11:20頃ようやく送電鉄塔である。これから1250m
ピークに登り、御正人のタルに下ってから、また標高差
370m程の急峻な登りである。見かけも滝子山までまだ
相当ある。鉄塔の足にちょうど引っかかって見えるのが
1250mピークらしく、そこまでもかなりある。
最悪引き返す覚悟も決めて出発。11:35過ぎ。
最初の中は緩い上り下りだがピーク近くはまた結構な
急坂である。
1250m圏ピークに着いたのは12:15頃。(もう3時間)
これから御正人のタルへ下れば引き返すより滝子山
山頂へ登った方がいい。ここは何が何でも登ってもらう
しかない。タルへの降りが白砂のザレで滑りやすいこと
もあり、へばってきたA氏の足でふらつかれるとやばい
ので、ここで私とアンザイレンすることにした。
急な下りで固定ロープが張ってあった。
御正人のタルまではA氏を先に降りる。12:30頃。
タルへの下りからは、別の元気な仲間に先導役を託し、
タルの先の急峻な登りは私がA氏を引き上げる感じで
ある。一旦傾斜の緩んだところで、ロープを外してみたが、
A氏の足が全く進まない。やはりロープで引き気味で
ペースを作ってやらないと上に着きそうにない。
いずれにせよまた直ぐに急峻な岩っぽい登りとなり
ロープが必要だった。13時頃の様子。
13:10頃。この辺が急峻な登りだったようだ。急に引か
れても、耐えられるように後ろに気を配りながら、ロープ
の張り具合を感じながら登り、危ないところでは、待って
もらい、先に登って立ち木にロープを巻いてビレイする。
コンテとスタカットの組み合わせで登る。
13:20を過ぎる頃になると岩っぽさもなくなり、傾斜も
緩んでくる。写真は:30頃。
10m補助ロープをダブルにして間隔5mほどにしたが
これくらいがちょうどいい。2、3回手に巻きつけておき
引かれ具合で巻きを解いたり調整できるから。基本は
歩を進めてもらうためにも、急に引かれてもいいように
張り気味(タイト)である。
東稜と初狩駅への道との分岐着。13:40頃。
タルから1時間10分ほど掛かった事になるが、この状態
ではいいほうだろう。
ここまで来ればもう安心である。三角点を探さなかったが
ここが1590m点のようだ。
いやぁきつかったようで、ご苦労様でした。
足元にギンリョウソウがお出迎え。
鎮西ヶ池への分岐を見送り、最後の一登りで、滝子山
山頂1620m、13:55頃。
(鞍吾山から2時間弱のところ、3時間半弱掛かった。)
14時までに着けば後は登山道を降ればなんとかなる
と予測したが、大体そのようになりそうだ。
それにしてもご苦労様でした。山頂記念写真です。
ゆっくり休憩後は登山道を降るつもりでしたが、つい
奥の方に行ってしまい、その後急降りになり、これは
南稜や元々降る予定だった浜立尾根への道だった。
先ほどの山頂直下から鎮西ヶ池の方が登山道で引き
返す。浜立尾根より登山道の方が大回りではあるが、
A氏の今の状態では急峻な降りがある場合、ちょっと
心配でまたアンザイレンすることになりそうだ。時間が
はっきり読めない。戻って山頂14:30過ぎ。この時間が
実質の降りのスタート。
山頂直下の鎮西ヶ池分岐。
鎮西ヶ池。白縫神社。14:45頃。
直ぐに笹子駅分岐。
しばらくはとても歩きやすい登山道。A氏も元気回復。
15:30頃には沢に降り、滝を見ながら。
ところどころ道が崩壊している。
16時頃右岸から左岸へ渡る。
もう一度渡り返す。
道証地蔵到着。
16:20頃だからここまで山頂から2時間弱。これは快調な
ペースでしょう。降りは問題ない。
登りは全く足が進まなかったA氏も歩きやすい登山道
に入ってからは問題なく歩きました。急な登りに、酸素の
取入れが追いつかないようです。足の筋肉の衰えもあり
ますが、やはりそれだけではないようです。
肺気腫といえば肺の細胞の一部が潰れている訳です
から、登山で必要な深い呼吸が出来ないようです。
いつもA氏の呼吸の浅いことが気になっていました。その
状態でむりやり引っ張り上げられるのに、良く付いてきて
くれました。きつかったと思いますが、御正人のタルから
はなにがなんでも登ってもらうしかなかった。
これからはこうした道なき道の急峻な登りのあるコース
などは割愛し、じっくりマイペースで歩けるハイクで足と肺
をコントロールする方策を編み出して欲しいものだと思い
ます。
道証地蔵からは舗装道路を20号線に向かって降るしか
ありません。いつもながら最後の舗装道路は嫌なものです。
また下界に出てから暑いこと。
20号線に出てから駅までも少しあり、バスはないかとバス
停で時間を見ていたら、上からちょうどバスが来た。
これ幸いとバスに乗り笹子駅まで。ほんの少しだがバスの
クーラーで生き返りました。
駅に17時過ぎに着いたが電車は17:30までない。無事
着いたので乾杯と思えど、近くにビールを売る自動販売機
もない。仕方なく担ぎまわって温くなった私の残りのビール
を飲む。販売機くらいあっても良さそうだが。
笹子駅からの中央線の電車が特急待ちや時間調整
などでえらく時間が掛かった。これでいつもの打ち上げの
一杯の時間もなくなり、そしてその先の電車が人身事故
だとかでこれまた遅れに遅れ、家に帰りついたのは21時
を過ぎていたから、今日一日はとても長かった。
私は南稜(寂廠尾根)は登ってますが、今回割愛した
浜立尾根など滝子山にはまだ面白そうなルートが沢山あり、
また計画したいものです。
(同行の氏の写真をお借りしました。)