八ヶ岳・大同心稜 | 鬼川の日誌

 八ヶ岳・大同心稜

  大同心稜を登る 12,1,14・15



  大同心稜を登るとなれば雪山バリエーション。バリエーション
 の入門コースといえど当然雪山中級クラスになるわけなのだが、
 それにしては参加者が多い。
 参加してきた人たちは、冬山中級という意味が分かっている
 のか気に掛かる。それに加えてあまり天気が良くない。
 茅野駅からバスで美濃戸口、ここから美濃戸までで1時間近い。
 正月には美濃戸から阿弥陀が見えたが今日は雲の中。
 11:25頃。
  
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  今日は赤岳鉱泉までだから、北沢を行く。

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  まだ時折日も射して白さが際立ちいい雰囲気です。

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  堰堤までで12:10頃。

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  12:35頃。

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  12:50頃。ようやく大同心の岩峰が見えてくる。

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  激しく雲が巻いているようだ。

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  明日登る大同心基部取りつきまでの尾根がはっきり見える。

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  赤岳鉱泉到着。アイスキャンデーと大同心。13:20頃。

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  沢山の人がアイスクライミングをやっている。
 赤岳も見えた。

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  少し休んでからジョウゴ沢に訓練に行く。
 途中明日入る大同心沢から大同心がよく見える。14:30頃。

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  ジョウゴ沢。訓練の様子を撮るのを忘れた。
 今居る下の凍りついた滝で、ピッケルやアイゼンの使い方の
 練習。私もアイスクライミングはやらないので硬い氷の滝を
 登るのは難しい。平爪のアイゼンではほとんど刺さらない。
 明日は氷の滝を登るわけではない。よく見るとピッケルも
 シャフトを持つだけで、ピックを握りこんだり、上から押さえたり
 どうすれば有効か、考え工夫しているとは思えない人がいる。

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  訓練を終わり大同心沢に戻ったとき、ちょうど大同心が
 焼けていた。16:15頃。

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  この夕焼けの大同心・小同心は素晴らしかった。

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  赤岳方面まだ青空が見えた。

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  14日夜リードできるメンバーとフォロワーの組み合わせを
 決める。全部で5パーティー、そのうち2パーティーずつが
 一緒に行動することにし、3組(2+2+1)体制とした。
 朝食を終わり準備が出来た組から出発する。7時10分前後。
 その途端に危惧が現実になる。私のパーティーの一人が
 アイゼンの装着でもたつき、なかなか出てこない。
 私たちは10分近く遅れた。
 今日は驚くほど沢山の人が、大同心稜を目指すようで、先に
 出た2組と私たちの組との間に、かなりのパーティーが入る。

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  大同心沢から入り、急な尾根を登っていく。
 途中1パーティーだけ追い抜くことが出来た。7:50頃。

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  素晴らしい雰囲気であるが、天気が怪しい。8:20頃。

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  8:30頃。岩場に出る前、笹薮の深い吹き溜まりになっていた。
 私たちは楽だが、先頭はかなりラッセルが大変だったようだ。

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  基部直下の岩場で私たちの先行組が取り付いて登っている
 のが見えた。しかし私たちの組との間には、相当な人が渋滞
 していた。このときが8:35過ぎ頃であった。

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  基部の棚に登るまでにも相当な時間が掛かった。
 下の写真は基部の棚だが既に9:45頃で、渋滞が始まって
 から1時間10分過ぎている。この後目の前のパーティーが
 岩峰を巻き私たちが巻き始めるまでに10分以上掛かった
 から、待っている時間だけで1時間半近かったことになる。
 このとき他のパ-ティーで-23度とか言う声が聞こえたから
 ともかく-20度を越す寒さだったに違いない。

  足元は切れ落ちた棚の上で動くことも自由ではなく、この
 時間は長く辛く消耗した。しかし私たちの後ろにはまだ棚にも
 登れないさらに大勢が待っていた。

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  さてようやく私たちの前の2名が回りこみ始め、支点が空き
 私たちの番となるが、先の二人がなかなか進まない。それで
 回りこみにもえらく時間がかかった。
 ここから先は写真を撮れる状態ではなかった。
 (後からの情報では、先行2組はこの頃既に、稜線に出る直前
 のところまで進んでいたらしい。)

  私たちは組(2パーティー)でロープを使うことにして私がビレイ、
 もう一人のリーダーがリードする。岩峰の下で右側が切れ落ち
 ているが、そう難しくはない。およそ30mほど先にちゃんとした
 支点があるらしく、ロープを固定し皆にはカラビナを掛けて通過
 してもらう。最後に私がランニングビレイを回収しながら、到着
 する。以前はなかった立派な支点がセットされている。

  その先は目の前の岩も登れるが、少し下に降りて進むと
 浅い溝状の雪壁である。前回来た時はピッケルを刺しても
 支点にできないような柔らかさだったが、今回は雪が硬く
 締まっている。
 リードした人が回りこみ時のロープを処理している間に、私が
 先に行く。結構立った雪壁を5,6m登ると棚があり、ここにも
 支点があった。ここで私のロープを出し、皆の補助とする。

  皆が登ったところで、ロープを引きながら雪壁をトラバース
 気味に左上に向かう。雪が硬く締まっているので、見た目は
 一枚バーンで怖いが、アイゼン、ピッケルがとても良く効く。
 ここの雪壁を登らず、巻きの終了点から岩を登ったらしい
 パーティーが、こちらとの交差あたりで支点を使っていたので、
 それを目指す。

  この支点でロープを一杯に引きあげ、インクノットで固定し、
 皆には登ってもらいながら、私はさらに上に行く。この上は
 ルンゼ内の岩登りである。上の棚の手前にもう一ヶ所支点が
 あるので、ここにもインクノットでロープを固定し、棚の上に登る。
 こうした支点は以前はなかったようだが。
 棚の上奥に手頃な岩があり、ここを最後の支点とした。
 これでちょうど50mロープが一杯となった。

  皆が無事上ってきたのが11:10頃になっていたようだ。
 ここはかなり安定した場所で、風も弱く暖かい。休憩する。

  私たちは先行の組から相当に遅れてしまった。それでもう一人
 のリーダーとあまり遅くなるなら降ろうかと話していたのだが、
 後から後から他のパ-ティーが登ってくるので、ルートが
 塞がっているし、以前ここを降ったときよりも雪が硬く、技術的
 にも難しいようで、皆に降ってもらうには不安がある。
 ここまで来れば稜線に出たほうが易しいので、登ることにした。

  私たちが動き出した下の写真が11:25頃。
 背後に赤岳、阿弥陀岳、そして大同心の岩峰。

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  下の写真右下のパーティーは私たちの登った雪壁よりも
 ずっと右側を登ってきている。私がロープを引いて左上に
 トラバース気味に登った雪壁を使わないコースのようだ。
 この写真の先頭が左に入り込んだところが、2~3mの壁に
 なっておりちょっと難しいアイゼンを使った岩登りの場所。
 上には支点にでき掴める補助のロープがあったが、結構苦労
 している人がいる。基本的にアイゼンの前爪を使えてない。
 もう少し訓練が必要な感じ。

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  壁を上がり、さらに上に登ると頭上雪壁の中に踏み跡が見
 えるので適当な場所で、一段上の雪壁に上がる。前来たとき
 よりは少し手前に上がったようだった。この乗り移る場所が
 ちょっと難しかったかな。
 上から写真を撮ると凄く急斜面に見えるが、この雪壁に取り
 付けば雪がたっぷりなのでそう問題はない。
 大同心の岩峰を登ったらしいパーティーが見える。

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  急斜面をひたすら稜線を目指して登る。
 稜線に出るとかなり風が強い。以前登ったときには、物凄い
 強風で人が転がされるくらいだった。それで硫黄への縦走を
 諦め今来た雪壁を降った。降るのは登るよりは難しい。しかし
 今登ってきたばかりで、ルートもはっきりしているし降れた。
 後ろから来るパーティーもいなかった。

  今回はそれ程の強風ではないので、そのまま硫黄岳を
 目指す。途中硫黄岳山荘の横で風を除けながら休憩を取り、
 山頂に向かうがこの登りがきつかった。
 硫黄岳山頂で12:40頃となった。とても寒い。

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  硫黄を降り分岐から赤岳鉱泉への道に入れば、風もなく
 快適な道となり一安心。13:00頃。

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  ここのモンスターはいつもながら素晴らしい。

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  大同心の岩峰が見える。

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  大同心沢、13:35頃。

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  ここから10分弱でようやく赤岳鉱泉に到着した。
 先行組は私たちが遅いので、大分心配したことだろう。
 基部で待たされた時間丸ごと遅れたということのようだ。

  あれだけ沢山のパーティーが取り付けば、少し遅れただけ
 で1時間近くは待たされることになったのかもしれないが、
 この寒さの中で、長時間待たされるのはそれだけで消耗する。
 八ヶ岳の人気のバリエーションルートは、この寒さの中で待ち、
 耐えるということも課題の一つになる。待ち時間を少なくする
 ためにも出来るだけ行動を素早くする必要がある。

  アイゼンの装着でもたつくようでは話にならない。
 また雪壁の登り方、足の運び方、アイゼンを履いての岩登り
 ピッケルの使い方などもとても不安な人がいる。
 中級の冬山に来るなら、事前に訓練すべきでしょう。雪の
 赤岳・横岳・硫黄岳の縦走くらいを問題なくこなせるように
 なってから、来て欲しいものだ。

  皆と合流して荷を整理し、14時頃に赤岳鉱泉を出た。
 美濃戸口に15:40頃に到着した。
 私たちはほとんど休む時間がなかったので結構草臥れた。
 ともあれ無事登れ、降れたので良かったとしましょう。