生物の進化2
14日黒姫山、山スキーに行ってきました。
生物の進化について 2
生命が単細胞生物として誕生してから私達人間を含む哺乳類に進化
するまで35~40億年という年月が経過した。
「初めに神が天と地を創造した」と信じる頑迷な聖書ファンダメンタリスト
たちはいざしらず、私達は生物の進化について沢山の情報を
与えられている。先日の朝日新聞の「恐竜絶滅」の記事なども
その一つだ。
とりわけここ20年くらい分子生物学の進歩は目覚しく、その成果の一つ
として「ミトコンドリア・イブ」(命名はマスコミ)が話題になったことは
記憶に新しい。
しかし私が最新の科学的な成果をじかに摂取するには重大な壁がある。
言語の壁はもちろんのこと、もう一つ重大なのが遺伝子の解析などに
数学的なテクニックが欠かせないことでありそうした訓練を受けていない
ものにとってそれを理解することはほとんど不可能。
私などには最新の科学的な成果を一般向けに分かり易く解説
してくれるサイエンスライターがいてくれないと困るのである。
『イブの7人の娘たち』などを書いたブライアン・サイクスは、
ミトコンドリア・イブとは何であるかを私にもおぼろげながら
理解することを可能にしてくれた。
出来ることならばそのライターが文字通りの生物学者であることが
最も望まれる。S・J・グールドやリチャード・ドーキンスなどはそうした
学者でエッセイストである。
* 最近の成果
「魚類の鰭が陸生動物の四肢に進化していった証拠となる中間種の
化石を発見する、という野心的なプロジェクトを立ち上げ」
足かけ6年にわたる悪戦苦闘の末に望みどおりの化石を、幸運にも
恵まれて発見した古生物学者
ニール・シュービンの『ヒトの中の魚、魚の中のヒト』という本
もとても面白い。
『ティクターリク』(イヌイット語で「大きな淡水魚」を意味する)
と後に名づけられたこの化石は
「魚類と同じように背中に鱗と、膜のついた鰭(ヒレ)をもっている。
しかし初期の陸生動物とおなじように、扁平な頭部と頸(クビ)をもっている。
そして鰭の内部を調べてみると、上腕、前腕、それに手首の一部にさえ
対応する骨が見られる。関節もある。
この動物は、肩、肘、手首の関節をもつ魚なのだ
ーそれらのすべてを鰭の内部に隠し持った。」
「手の進化の証拠を掴む」物語はとても興味深い。この発見が発表
されたのは06年4月のことだからつい最近だ。
全く記憶にないがこの発見は世界中に発信されたのかもしれない。
理論にもとづいて発見される場所を予測し、そこに実際に化石を見つけた
のだ。それは進化論の勝利といっても良いのだろう。
古生物学者で解剖学者でもある著者がさらに進化発達生物学、
ゲノムサイエンスにいたる成果を駆使して生命進化の謎を探求する
面白さを明かしているのがこの本である。
少し長くなるが一部を紹介する。暇な方は本書を読んでみてください。
*
「地球上の他のすべての動物と同じように、私たちは多数の細胞からなる体
を共有している。これらのグループを多細胞生物と呼ぼう。
私たちは、カイメンからセンモウヒラムシ、クラゲ、チンパンジーにいたる
までの他のあらゆる動物とともに、多細胞からなるという特徴を共有している。
こうした多細胞生物の一部のグループは、前後、背腹、左右の軸をもつ
私たちと同じようなボディプラン(体制)を備えている。
分類学的には、このグループは左右相称動物と呼ばれ、昆虫からヒトに
至るまでのあらゆる動物が含まれる。
私たちと同じように、前後、背腹、左右の軸をもつボディプランを備えている
多細胞生物のうちの一部のグループは頭骨と背骨を持っている。
こうした動物を脊椎動物と呼ぼう。
・・・(さらにこのうちの)一部のグループは、手と足をもっている。
こうした脊椎動物を四足類(四肢を持つ動物)と呼ぼう。
・・・(さらにこのうちの)一部のグループは、三つの耳小骨をもっている。
こうした四足類を哺乳類と呼ぼう。
(「連続的な化石の記録は、時間が経つにつれて、爬虫類の顎の後方に
ある骨が次第に小さくなっていき、最後には哺乳類の中耳に収まることを
疑問の余地なく示していた。槌骨と砧骨は実際に顎の骨から進化した
のである。・・・
鐙骨は・・・サメ類や硬骨魚類の対応する骨(舌顎軟骨)・・がしだいに
小さくなっていき、最終的には上顎から場所を移動して、聴覚上の
役割をはたすようになった・・」槌骨と砧骨については割と知られた話
ではあるが進化の不思議をまざまざと教えてくれるものである。)
・・・(さらにこのうちの)一部のグループは、二足歩行しとても大きな脳を
もっている。これらの哺乳類を人類と呼ぼう。
こうしたグループ分けの威力は、その根拠を与えている証拠に見ること
ができる。おびただしい数の遺伝学的、発生学的、解剖学的特徴がそれを
支持している。
自分たちをこのように位置づけることによって私たちは、ある重要な
やり方で、自分自身の内部をのぞき見ることができる。
この営みは、タマネギの皮むきと言ってもいいもので、歴史の一層ずつを
剥いでいくのである。
最初は、ヒトが他のすべての哺乳類と共有する特徴を見ていく。
つぎに、もっと深く探り、魚類と共有する特徴を見る。更に深く探れば、
無脊椎動物と共有する特徴が見えてくる、という作業をつづけていく。・・・
これは私たちの体の内部に深く刻み込まれた『変化をともなう由来』
(ダーウィン)の一つのパターンを見ていることを意味する。
このパターンは地質学的な記録に反映されたものだ。
最古の多細胞動物の化石は6億年以上前のものである。
三つの耳小骨をもつ最新の化石は2億年前よりは古くない。
二足歩行を示す最古の化石は400万年ほど前のものである。
こうした事実のすべては・・・生物学の法則を反映している・・」
「この生物学の『万物法則』ともいうべきものは、『この地球上のすべての
生き物には親がいた』というもので・・
もっと正確な形で述べれば・・『あらゆる生き物は、なんらかの親の
遺伝的情報から生まれでた。』」というものである。
生物の進化について 2
生命が単細胞生物として誕生してから私達人間を含む哺乳類に進化
するまで35~40億年という年月が経過した。
「初めに神が天と地を創造した」と信じる頑迷な聖書ファンダメンタリスト
たちはいざしらず、私達は生物の進化について沢山の情報を
与えられている。先日の朝日新聞の「恐竜絶滅」の記事なども
その一つだ。
とりわけここ20年くらい分子生物学の進歩は目覚しく、その成果の一つ
として「ミトコンドリア・イブ」(命名はマスコミ)が話題になったことは
記憶に新しい。
しかし私が最新の科学的な成果をじかに摂取するには重大な壁がある。
言語の壁はもちろんのこと、もう一つ重大なのが遺伝子の解析などに
数学的なテクニックが欠かせないことでありそうした訓練を受けていない
ものにとってそれを理解することはほとんど不可能。
私などには最新の科学的な成果を一般向けに分かり易く解説
してくれるサイエンスライターがいてくれないと困るのである。
『イブの7人の娘たち』などを書いたブライアン・サイクスは、
ミトコンドリア・イブとは何であるかを私にもおぼろげながら
理解することを可能にしてくれた。
出来ることならばそのライターが文字通りの生物学者であることが
最も望まれる。S・J・グールドやリチャード・ドーキンスなどはそうした
学者でエッセイストである。
* 最近の成果
「魚類の鰭が陸生動物の四肢に進化していった証拠となる中間種の
化石を発見する、という野心的なプロジェクトを立ち上げ」
足かけ6年にわたる悪戦苦闘の末に望みどおりの化石を、幸運にも
恵まれて発見した古生物学者
ニール・シュービンの『ヒトの中の魚、魚の中のヒト』という本
もとても面白い。
『ティクターリク』(イヌイット語で「大きな淡水魚」を意味する)
と後に名づけられたこの化石は
「魚類と同じように背中に鱗と、膜のついた鰭(ヒレ)をもっている。
しかし初期の陸生動物とおなじように、扁平な頭部と頸(クビ)をもっている。
そして鰭の内部を調べてみると、上腕、前腕、それに手首の一部にさえ
対応する骨が見られる。関節もある。
この動物は、肩、肘、手首の関節をもつ魚なのだ
ーそれらのすべてを鰭の内部に隠し持った。」
「手の進化の証拠を掴む」物語はとても興味深い。この発見が発表
されたのは06年4月のことだからつい最近だ。
全く記憶にないがこの発見は世界中に発信されたのかもしれない。
理論にもとづいて発見される場所を予測し、そこに実際に化石を見つけた
のだ。それは進化論の勝利といっても良いのだろう。
古生物学者で解剖学者でもある著者がさらに進化発達生物学、
ゲノムサイエンスにいたる成果を駆使して生命進化の謎を探求する
面白さを明かしているのがこの本である。
少し長くなるが一部を紹介する。暇な方は本書を読んでみてください。
*
「地球上の他のすべての動物と同じように、私たちは多数の細胞からなる体
を共有している。これらのグループを多細胞生物と呼ぼう。
私たちは、カイメンからセンモウヒラムシ、クラゲ、チンパンジーにいたる
までの他のあらゆる動物とともに、多細胞からなるという特徴を共有している。
こうした多細胞生物の一部のグループは、前後、背腹、左右の軸をもつ
私たちと同じようなボディプラン(体制)を備えている。
分類学的には、このグループは左右相称動物と呼ばれ、昆虫からヒトに
至るまでのあらゆる動物が含まれる。
私たちと同じように、前後、背腹、左右の軸をもつボディプランを備えている
多細胞生物のうちの一部のグループは頭骨と背骨を持っている。
こうした動物を脊椎動物と呼ぼう。
・・・(さらにこのうちの)一部のグループは、手と足をもっている。
こうした脊椎動物を四足類(四肢を持つ動物)と呼ぼう。
・・・(さらにこのうちの)一部のグループは、三つの耳小骨をもっている。
こうした四足類を哺乳類と呼ぼう。
(「連続的な化石の記録は、時間が経つにつれて、爬虫類の顎の後方に
ある骨が次第に小さくなっていき、最後には哺乳類の中耳に収まることを
疑問の余地なく示していた。槌骨と砧骨は実際に顎の骨から進化した
のである。・・・
鐙骨は・・・サメ類や硬骨魚類の対応する骨(舌顎軟骨)・・がしだいに
小さくなっていき、最終的には上顎から場所を移動して、聴覚上の
役割をはたすようになった・・」槌骨と砧骨については割と知られた話
ではあるが進化の不思議をまざまざと教えてくれるものである。)
・・・(さらにこのうちの)一部のグループは、二足歩行しとても大きな脳を
もっている。これらの哺乳類を人類と呼ぼう。
こうしたグループ分けの威力は、その根拠を与えている証拠に見ること
ができる。おびただしい数の遺伝学的、発生学的、解剖学的特徴がそれを
支持している。
自分たちをこのように位置づけることによって私たちは、ある重要な
やり方で、自分自身の内部をのぞき見ることができる。
この営みは、タマネギの皮むきと言ってもいいもので、歴史の一層ずつを
剥いでいくのである。
最初は、ヒトが他のすべての哺乳類と共有する特徴を見ていく。
つぎに、もっと深く探り、魚類と共有する特徴を見る。更に深く探れば、
無脊椎動物と共有する特徴が見えてくる、という作業をつづけていく。・・・
これは私たちの体の内部に深く刻み込まれた『変化をともなう由来』
(ダーウィン)の一つのパターンを見ていることを意味する。
このパターンは地質学的な記録に反映されたものだ。
最古の多細胞動物の化石は6億年以上前のものである。
三つの耳小骨をもつ最新の化石は2億年前よりは古くない。
二足歩行を示す最古の化石は400万年ほど前のものである。
こうした事実のすべては・・・生物学の法則を反映している・・」
「この生物学の『万物法則』ともいうべきものは、『この地球上のすべての
生き物には親がいた』というもので・・
もっと正確な形で述べれば・・『あらゆる生き物は、なんらかの親の
遺伝的情報から生まれでた。』」というものである。