黒部川東沢 | 鬼川の日誌

黒部川東沢

 黒部川東沢 伊奈.横山例会 09,8,20夜~24  10名

  私にとって今年の山行で最も記憶に残るのがこの黒部川東沢と
 剱岳北方稜線かな?東沢の激流は怖かったけどわくわくしましたね。
 今年はIさんやOzさんのおかげで沢山沢登りを楽しませてもらいました。
 
*  奥黒部ヒュッテまで

  前夜仮眠し、21日黒部ダムから奥黒部ヒュッテ(標高1500m)まで。
 雨模様の中合羽を着たり脱いだりしながらかなりの悪場を行きます。崖に
 つけられた桟橋や梯子を上り下りしますが、ざっくりえぐられた崖の桟橋を
 見るとよく取り付けたものだと思うほどすごいところを渡っていく。ヒュッテに
 着いた頃から一晩中雨がひどく降り続き明け方まで降っていた。
  
  * 渡渉を繰り返しテント場へ

  22日心配していたとおり、東沢は増水しかなりの激流で迫力満点。すぐに
 渡渉する以外進めないところに来ました。あまりの水量に皆ビビリまくり
 でしたが、 ここはまず最高の経験と力を持つOzさんがロープを付けビレイ
 して渡渉、突破口を切り開きました。
 ロープを張り、これに確保されながら渡りますがこれでも怖いと感じるきつい
 渡渉です。

  遡行は伊奈さんがルートを探しながら先頭に渡っていきます。伊奈さんは
 足が長いので平気でも、皆は一人では厳しいところがいくらでもあります。
 そこでスクラムを組むことにして渡って行きました。お互いのザックの肩紐を
 掴むのですがスクラムを組むと一人よりはずっと安定します。

  また渡渉の困難なところに差し掛かり、あちこち渡渉点を皆で探している
 うちに渡れそうなところを私が渡り、ロープを投げてもらいこれを張って皆を
 渡しました。渡る途中一度流されそうになりました。ビレイなしでは厳しかったです。

  さらにその後も何度もスクラムを組みながら渡り返し、またまた行き詰った
 ところで、上流に見える流木の丸木橋に私が壁をへつって乗り移りこれを渡って
 ロープを張りました。この壁のヘツリが危なかった。壁がとても脆く、危ない石を
 崩し掃除しながら乗り移ったのですが、最後足を丸木橋に伸ばすとき、右手に
 掴んだ石が崩れれば激流にドボンで相当流されたでしょう。

  ロープを張った後出来るだけ写真を撮ることにしました。これはとても
 いい記念になりました。 

  その後も危ないと感じたらスクラムを組みながら、深すぎるところは高巻きし
 岸をヘツリ進みました。この辺のルートファインディングは伊奈さんの独断場です。

  この日はいい天気になり、1937m付近二俣の手前の左岸の高台にテント
 を張り、キャンプファイアーしながら乾杯です。
 とても楽しいひと時でした。私は名にし負う黒部川の流れを男3人を先頭に
 皆で協力し、突破してここまでこれたということで満足感を味わっていました。
 久しぶりの高揚した感覚でした。おかげでつい飲みすぎてしまいましたが。
 夜は星空に流れ星を見ました。

  (奥黒部ヒュッテに上の廊下に行くグループがいましたが、彼らはウエット
 スーツを着用していました。用意からして私達とは段違いです。黒部の水は
 本当に冷たいですから、泳ぐのでは私達にはとても無理です。彼らに東沢でも
 下手をすれば黒部ダムまで流されるぞと威されましたね。)
 
   * 野口五郎小屋へ

  次の日テン場(1900m付近)から東沢乗越(2700mくらい)まではロープ
 を張るようなところはありませんでしたが、まだまだはるか遠いです。

  登っていくと雪渓も出てきます。最後の二俣からはとてもきつい登りになります。
 途中水涸れからは登山靴に履き替えました。

  急な沢を詰めていくと前方にハイマツの丘が出てきます。乗越から野口五郎
 へは左に行くので、ハイマツを左に回りこんだ先発組みはハイマツを藪漕ぎ
 する羽目になりました。
 乗越の少し右に出ますが、右に回りこめば薮漕ぎなしで登山道に出られます。
 登りの途中振り返ると立山から針の木、蓮華、遠く鹿島槍まで展望は最高でした。

  東沢乗越から野口五郎岳(2900mくらい)までもきついのぼりが続きます。
 ここはやたらと風が強く、テント装備で荷が重いので相当疲れました。
 この日の標高差は1000mです。

  烏帽子小屋にはとても届かず野口五郎小屋に泊まることになりました。
 この小屋に泊まるのは私は初めてです。日曜日の晩でしたがとても混雑して
 いました。そうは言っても他の山小屋から見ればゆったりかな? 

   * 高瀬ダムへ

  最後の日朝6時、小屋前の気温はマイナスでした。ガスも出て相当寒かった
 のですが、歩くうちにガスも取れいい天気になり、烏帽子小屋を経てブナ立て
 尾根の急坂を高瀬ダムまで昼前に下りつきました。

  4日目の行動でかなり疲れてはいましたが、前夜五郎小屋でゆっくり出来た
 ので皆順調に足を運びました。

  東沢は以前一度計画され私も参加する予定でした。以前の計画者のOzさん
 と私には長年の懸案で、これが実現でき満足しています。

 黒部川東沢