でっち上げニュース | 鬼川の日誌

 でっち上げニュース

    真相は?

  12月3日朝日の夕刊に「『遺体から脂肪』でっちあげ?」という小さな記事が
 載っていた。
 何日か前にペルーの国家警察が「多数の人を殺し遺体から脂肪を取り出して、
 1リットル当たり1万5千ドルで欧州の化粧品メーカーに売っていた犯罪グループ
 を逮捕したと発表した」という記事が載っていた。
 「被害者は60人以上に上る」という説明だった。

  こういった一種異様なニュースに接したとき人はどのような反応をするの
 だろうか?私は「ナチスが殺したユダヤの人々の脂肪から作った石鹸」を思い
 出し「こんなことが今でもありうるの?」とチラッと思っただけで終わっていた。

  このニュースは現地では「悪魔が人々を殺して脂肪を取り外国人に売るという
 アンデス地方の伝説と酷似していたため、市民を恐怖に陥れた」

  「だが医療関係者から人間の脂肪に商品価値はないと疑問視する声が出て
 いた」そうだ。

  脂肪を取り出して売るために大勢の人を殺すという話だが、ちょうど今の日本
 では美容のために脂肪を吸引する外科手術の失敗で人が亡くなったりして騒ぎ
 になっている。よく脂肪吸引美容の話は耳にする。これらからすると欧米、日本
 などでは人の脂肪を買い求めるどころの話ではないようだ。
 「1リットル、1万5千ドル」もすれば、超肥満人間(200とか300kg)の脂肪吸引
 手術ではおつりがくるかも?実際「商品価値」などないのだろう。
 
  『殺人部隊』!

  話の顛末は意外なもので「国家警察内に存在する『殺人部隊』が40人
 以上を不法殺害した疑いがあり、この疑惑をうやむやにするために猟奇的
 事件をでっちあげたのではないかとみられている。」と記事は締めくくられ
 ている。警察によるテロが人々の口に上り始めていたのだろう。
 こちらの方がはるかに現実的な恐怖だ。

  記事は責任者らしき「犯罪取り締まり局長が解任された」で終わっているから
 殺人部隊はその後どうなったのかとかは何も分からない。多分そのまま存続
 しているはずだ。だから真相解明には程遠い。

  今回はすぐに「でっちあげ」は訂正されたようだがしかし、猟奇的事件を
 でっちあげたり意図的に起こしたりして別の真相から目を逸らすという手口は
 何もペルーだけの話では無いような気がする。
 私もそうだが人は猟奇性に目を奪われて判断を停止することが多いからだ。

  私達は真相を追究する何の手立てもないけれども、こんなことがありうるの?
 と思ったときは少し冷静に事の成り行きを見守る必要があるようだ。