理由ははっきりしない。
体調が悪いわけでも、仕事で何かあったわけでもない。
それでも、どこか落ち着かない。疲れている。物事に手がつかない。
そういう「なんとなくの不調」が、ふとした拍子にやってくる。
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朝起きると、もう疲れている
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やるべきことが頭に浮かぶだけで、どっと疲れる
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誰にも何も言われていないのに、何かに責められている気がする
こうした“言語化できない不調”は、40代以降の多くの人にとって、身近な現象になりつつある。
「理由がない不調」は、無視しづらい
人は理由がわかると、対処できる。
でも理由がはっきりしないと、ただただ不安になる。
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季節のせいかもしれない
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寝不足が続いていたからかも
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ただの甘えでは?
そうやって“原因探し”を始めても、はっきりとはわからない。
そして、「こんなことで疲れているのはおかしい」と、今度は自分を責め始めてしまう。
これが、無自覚な自己否定のスパイラルにつながる。
不調は、必ずしも「悪いサイン」ではない
けれど、こうした不調は体と心からの「調整要求」であることも多い。
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情報の流入量が多すぎる
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小さな疲労が蓄積している
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自分でも気づかない緊張状態が続いている
本人が意識していなくても、身体や神経の側が「いったん止まって」と言っている。
だから、この種の不調は“治す”というより、“扱いに慣れる”ことのほうが重要になってくる。
言語化できない不調とつき合う3つの技術
ここでは、「うまく説明できないけれど、つらい」という状態を受け入れつつ、日常を崩さないための実践的な技術を挙げたい。
1. “違和感だけ”をメモする
「調子が悪い」と感じたら、理由は書かなくていい。
ただその瞬間の“違和感”を記録する。
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午後になると頭がぼんやりする
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予定がない日でも、焦りが消えない
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人の話を聞くと、すぐ疲れる
こうしたメモを続けると、言葉にならなかった感覚が少しずつ輪郭を持ち始める。
不調の“型”がわかってくると、それだけで少し安心できる。
2. 自分の「気分に合う動作リスト」を持っておく
不調のときは、何をするにも判断が鈍る。
だからこそ、「何も考えずにできる動作」のストックを持っておくと役立つ。
たとえば:
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同じ音楽を流す
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お湯を沸かして温かい飲み物を飲む
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本棚を1段だけ整える
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スマホのホーム画面を1分間眺める
どれも些細なことだが、感情と行動の間に“橋”をかける作用がある。
その橋があることで、「立ち止まり続ける」ことを防げる。
3. 「この感覚があっても、自分は壊れない」と知っておく
おそらくこれが一番大事な技術。
理由がわからない不調は、長引けば「このまま崩れてしまうのでは」と感じることがある。
けれど実際には、人の感情は“波”として来て、自然と引いていくことが多い。
落ち込みがあっても、1週間後には違う気分になっていることもある。
「不調を消そうとする」のではなく、
「不調のなかで、自分を壊さずに済む手順」を持っておく。
それだけで、焦燥感や自己否定はずいぶん和らぐ。
おわりに
明確に説明できない不調は、扱いにくい。
でも、言葉にならないだけで、存在しないわけではない。
その感覚に小さな名前をつけたり、静かに通り過ぎるまで付き合ったりすること。
それが、成熟した心の技術になっていく。
言語化できない不調とともにある日は、「なにもしていないようで、ちゃんと過ごしている日」だ。
そんなふうに、“曖昧な自分”を許せる時間を少しでも増やしていきたい。