「やりたいことが見つからないんです」
キャリアや生き方に悩む人の多くが、そう口にする。
けれど本当に必要なのは、“やりたいこと”を探し続けることなのだろうか?
それよりも、“戻ってきたくなる場所”を持つことのほうが、今の時代には合っている気がしている。
「やりたいこと」は更新されていく
たとえば、昔やりたかったことを、いま本当にやりたいかというと、そうでもなかったりする。
興味の対象は変わるし、環境や体力も変わる。
まして、社会の仕組み自体が流動的になっているいま、ひとつの「やりたいこと」に固執すること自体が、リスクでもある。
それなのに、「やりたいことを見つけなきゃ」と自分を責めてしまうのは、少し酷だ。
一度離れても、また戻ってこれる場所
ふと思う。
大事なのは、ずっと走り続けることではなく、疲れたときに戻ってこれる場所があることなのではないかと。
それは仕事でも、人間関係でも、自分の趣味や思考の拠点でもいい。
・「あそこに戻れば、自分を取り戻せる」
・「またここから始めればいいと思える」
そんな場所があれば、無理に“やりたいこと”を決めなくても、不思議と動き出せる瞬間が来る。
「戻ってこれる場所」のつくり方
では、そんな場所をどうつくればいいのか。
1. 評価されなくても続けられることを選ぶ
「成果」や「評価」がなくても続けたくなるもの。
たとえば、誰にも見せないメモを書くこと。
散歩する道を決めておくこと。
本棚に並んだ本を、気が向いたときに読み返せるようにしておくこと。
それが、思考や感情の“帰ってこられる場所”になる。
2. 自分だけの“秩序”を持っておく
部屋の片隅にある小さな整理整頓。
仕事を始める前の一杯の飲み物。
使い慣れたツールや、心地よい言葉。
そういった「ささやかな秩序」は、心が迷ったときの地図になる。
3. つながりすぎない関係を持つ
人とつながることは大切だけれど、ときには「ひとりでいられる関係性」も必要だ。
自分を取り戻せる静けさを、誰にも邪魔されずに持てること。
そうした関係の中で、“戻ってこれる感覚”が生まれる。
おわりに
「やりたいことがない」と焦る必要はない。
むしろ、変化の激しい時代においては、それはごく自然なことだ。
それよりも、「またここに戻ってこれる」と思える場所を少しずつ増やしていく。
それが、結果的に「やりたいこと」へとつながっていくこともある。
目的より、拠点。
成長より、回復。
「出発する理由」より、「帰ってこれる理由」。
そんな視点を持つことが、静かで強い生き方につながるのかもしれない。