おはようございます。
今回は税理士としての周辺知識として知っておくべき「会社役員の労災保険加入」(これは、社会保険労務士(社労士)さんのお仕事になるので、概略だけですが)についてお伝えします。
労災保険というのは、仕事現場でケガをして働けなくなった場合に、医療費や休業補償が給付される制度です。
そして、雇用保険(別名・失業保険)と併せて、労働基準局に届出することとなっています。
この労災保険と雇用保険を合わせて「労働保険」ということになります。
但し、労働保険ですので、「労働者」(従業員)を守る制度なので、雇用主(会社の役員)は対象外です。
しかし、会社役員とはいえ、例えば土建会社の社長さんとかだと、社長さん自身が現場に出ることがほとんどですね。
そういった社長さんなどの労働災害(労災)に対する補償として「特別加入」制度があります。別名「一人親方の補償」とも言います。
私のお客さんのケースだと、親子で建設業(造園工事・外構工事)を営んでおり、このたび父の個人事業を株式会社にすることとなりました。65歳の父が社長で、35歳の息子(妻子もある)が後継者として役員になっていて、親子で現場で働く毎日です。(他には母と息子の嫁がその父の個人事業から移行する会社業務に関わっているが、この2人は事務・留守番・電話応対が役目となっており、現場に出ることはありません。)
この場合には、「労働保険事務組合」に手続きをして、社長であるお父さんと、役員である息子さんが
それぞれ「一人親方」として労災保険に加入することになります。
手続きは、江南労働基準監督署管内(犬山・扶桑・大口・岩倉を含む)であれば、以下の一覧表にある連絡先におたづねください。
(私のお客さんのケースですと、犬山の方なので、最初犬山商工会議所におたずねしたところ、「ふそう労働保険事務協会(間瀬社労士事務所)」(表の下から4行目)を紹介していただき、手続きについて聞いてまいりました。間瀬事務所さん(同協会)は柏森駅南口(大口町側)駅前広場に面した場所にあります)
このほか、内容については、厚生労働省の用意している冊子「特別加入制度のしおり(一人親方その他の自営業者用)がありますので、こちらをご覧ください。
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/040324-6.html
労働保険料は日給(役員報酬の月額の1/30)×365×(建設業の場合)19/1000の算式で計算した金額がベースで、このほか、事務協会への入会金5千円(1回限り)と年会費12,000円がかかります。
会計処理としては、社会保険(健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険)と同様、一般的には「法定福利費」として、法人税法上の損金(必要経費)になります。
なお、労災給付(休業補償)は「被保険者(役員)の個人口座」に給付されることになるので、休業補償を受けている間は役員報酬の支払いはできません。
その間は役員報酬から源泉徴収される健康保険料・厚生年金保険料は、個人負担分も併せて会社が立替え負担し、市県民税の特別徴収(役員報酬からの天引き)も併せて会社が立替え負担し、あとで仕事復帰後に支給される役員報酬から天引きする、という取扱いになります。
つまり、給与計算も複雑になるので、労働保険事務組合を運営している社労士さんに一括でお願いするのが間違いない、ということになります。
以上、税理士としての周辺知識として知っておくべき「会社役員の労災保険加入」について
お伝えしました。