忘れ得ぬ、海で | フレパイズム

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〈不可思議話シリーズ〉




⭐️あれは忘れもしない、1999年の夏の出来事だ。

 あの日の海で見たものは、私が今まで見聞き体験した中でダントツのもの、そして10年を越えて長きに渡り発表し続けてきたこの不可思議話シリーズ。

最後はこれを書こうと何年も前から決めていた。

挿し絵も2年前に我が息子に依頼し、今回の発表まで保管しておいた。



 あの夏、私は実弟の【KAZZ☆GO!】と以前の会社の後輩【バカとの】の三人で海水浴に我が地いわきの海へ出かけた。

 バカとのは愛されキャラと変人が混在している人間で、正直我々兄弟は何度も何度も迷惑を被ってきたが、腐れ縁でこの時期の前後はよく行動を共にする仲だった。

この日は海も大勢の人で賑わっていた。

 そんな中、いつも我々兄弟やファミリーに迷惑ばかりかけている彼を少し懲らしめようと、私は弟とアイコンタクト取り最初は浅瀬で追いかけたり水をかけたりしてはしゃいでいたが、背の高い我々はふざけた振りをしながらバカとのの手を引いて深みへ向かった。

 我々二人が首から上が出るくらいのところまで行くとバカとのは口ぐらいまで水がある。バカとのは言葉が悪く、汚い言葉で悪態をつく。

この時も自分が危うい状況にも関わらず、

「バ〜ガっ俺溺れっぺえ〜、早ぐ助けろっ!!」

「コノヤロ、おめぶっ飛ばすぞっ!!」

といつもの上から目線のセリフしかでなかった。

弟は、



「大丈夫だ、溺っちゃらすぐ助けっから」

と軽くあしらった。

別に騒がなければ足も付いているし大丈夫な場所なのだが、彼はぴょんぴょん飛びはじめ自ら水に見え隠れを始めた。

そして観念したのか(何を?)

「KA〜ZZっ助けろっ金やっから助げでくれ〜」

と尚更バシャバシャ騒ぎ出したので、二人で手を引いて浅瀬まで連れて行った。

安心したバカとのは急に暴れ出し、我々に肘鉄を食らわせながら、

「バ〜ガこのっ死んじまどごだったべコノヤロ」

と、助けたがお金をよこす事もなく、

「アッチッアチッ」

と騒ぎながら砂の上を歩いて去って行った。

私は、

「金くんにがったな」

といつもの彼の数々の悪行にたいしてお灸をすえた事に満足して、また二人で海に入り、胸あたりぐらいのところでバシャバシャ遊んていた。

ふと、弟は動きを止めたが海中の手元だけがもぞもぞ動いていた。


「なんだこれ」

と弟が海中から手を上げた。


瞬間、ワカメかと思った。



弟の手には長い黒髪がごっそりと巻き付いていた。



〜終〜



🎀私や弟が描くとリアルになるのではと危惧し、今回の挿し絵はまだまだ発展途上
の我が息子に描いてもらいました。

 これで不可思議話シリーズは終わりになりますが、また新たな体験や話を聞いたり、思い出した出来事があればその都度不定期で発表できればなと思います。

長きに渡り目を通していただきありがとうございました。