〈不可思議話シリーズ〉
原題 : となりの怪談2007
⭐あれは忘れもしない2007年の8月の事、私は会社で脚を負傷し欠勤していたのだが、休んでいる間に患部が悪化してきたため経過報告に会社に行く事にした。
両脚が赤く腫れ上がりそれが段々と痛みを伴いながら水ぶくれに変化、そのためズボンを履く事も車を運転する事も出来ず下半身にバスタオルを巻いた状態で車の助手席に乗り、妻の運転で会社に向かった。
午後2時過ぎに会社に到着。会社では話の後に別の病院を紹介してもらい、帰り際に行く事になった。
実は会社到着前から私はトイレを我慢をしていて、帰り道の交差点にあるホームセンターのトイレに寄る事にした。
ここのトイレは昔の家の便所の様にホームセンターからはだいぶ離れたところに在り、ちょうど交差点の角に背を向けて建っていた。
中には誰も居らず、貸し切り状態で大の部屋に入室。
ズボン替わりの大きなプーさんのバスタオル巻きと、相当怪しげな格好だったがガバッとはがして和式のトイレで力んだ。
日中なのに薄暗い個室、
「電気を付ければよかったかな」
と後悔しながら用を足していると、後ろからバッサバッサと思いきり草を叩いてる様な音と女の人の裏声混じりの
「あつい、あつい...、」
という声が聞こえてきた。
個室の中の私のすぐ後ろから聞こえる様に結構大きくその声は聞こえ、と同時に国道を走る車の音も聞こえる。
きっとトイレの裏でおばさんが草刈りでもしているんだろうと私は思い、気にもせずに踏ん張っていた。
実際この日は車のエアコンをガンガンにするほど暑かったので仕方あるまい、結局私が用を足し終えるまで草を思いきり叩く様な音と
「あつい、あつい」
の声は続いた。
「相当草刈りが暑くて大変なんだろうな」
私は勝手に女性を労いながら汗だくで大部屋から出た。
ふと、小便器の上の窓からチラっと覗くと予想通りに人影が見えた。
黒髪を後ろで結んだ女の人の頭だけだったが、イメージより若い感じ。暑いのにご苦労様と思いトイレを出た。
トイレのすぐ目の前に停めてあった妻の車に乗りこみ私は地元の言葉で
「誰が草刈りしてっぺっ」
と、言うと妻は
「わかんない、誰もいないでしょう」
と言う。
「そごであづい、あづいってゆってっぺ、どれ、車で交差点に出でみろ!」
私はチョイ切れ気味に車を発進させた!!
左折左折で国道に出るのでちょうどトイレの周りを全部見渡せるのだが妻は運転しながら、
「ほら、誰もいないでしょう」
と言った。
きつねにつままれた様な思いだったがそのまま病院に行き、そんな出来事も忘れかけたある日、奥さんが、
「あの交差点はよく事故があるから何か出てもおかしくないって会社の人から聞いたよ」
と...、あのトイレは確かに国道の交差点の角にはあったが...、しかし自分が見たのは血も流していなければぼんやりもしていない、普通にハッキリと人(頭だけだったが)だったのですぐには信じられなかった。
その後、私は脚も良くなり会社に復帰した。
休憩時間にその不思議な出来事を同僚たちの前で話すと、あのトイレのあるホームセンター近くに住んでいるおばさんが当たり前の様に語った、
「ああ、あそこは出るって有名だよ、事故も多いしうぢの娘も見だもの」
奥さんの話しと同じだった。
いやいやいや、そんなはずはないと、私は仕事帰りに改めてあのトイレに行き良く調べた。
私にはハッキリと見えた、間違いなく普通に見えた、しかし現場を見てひとつだけ腑におちない事があった。
中からは窓のすぐそばに頭が見えたのだが、外から見るとトイレと国道の間には下の方に深い側溝があり、下から窓までは2メートル以上ある。
その矛盾に気が付いた時、初めて私はゾッとした。
《初出展》
livedoorフレンドパーク
2007年08月13日
コメント
ん怖い)゜0゜(ヒィィ
だってね!トイレとフェンスの間は ツタがびっしり…30センチも無いし……フェンスの横は 土手&ツタびっしり、誰かが立つスペース無いし…土手は 1メートルは 高さが あるから…誰かが 立ってたら 窓から 見えるのは 足のはず……………………。
HANANEKO
2007年08月13日 20:45
☆おおお現場にいた 【華菜猫娘】から生々しい証言が入りましたあ(怖)
おとなり
2007年08月13日 20:56
だってさぁ
(_メ)「トイレの横で ウルサイ……顔見てやるから……裏回れ」
って……普通に 戻ってきたよね??
HANANEKO
2007年08月13日 20:57
☆その通りだ【華菜猫娘】くん、僕の◯◯◯たれる時間を邪魔する奴は何者でも許さんからのお!
おとなり
2007年08月13日 21:28
🎀HANANEKOとは妻の当時のSNSネームです✨