こんばんは^ ^💕
今日は寒いですねー!
津も時折り、風花というより、
山の雪が飛んで来てました。

前回、忘れないうちに書いたぞ!
と思った安心感で、
気がついたらもう数日ブログ放置💦
今日は、ちょっとがんばって練習詰めておいたので、
時間ができたところで続きをー

前回は特別編だったので、
イタコの続きの前回はこちらです。

↓↓↓

わーい
リンクが入ったー🙌
(当たり前💦)

ということで、
亀山さんと、日程や収録曲などを相談し、
姉の突然の事故死という大きな衝撃のため、
初めの予定から遅れること、約1年。
ついに、CDの録音をすることになったイタコです。

2003年 11月10〜12日
群馬県みどり市の
笠懸野文化ホール。

ホールごと3日間、借り切っての録音。
このCDのブックレットのクレジットのページには、
プロデュース 亀山信夫さん他、
エンジニアの浜田さん、細井さんや、
お世話になった方々のお名前が全部きちんと記載されています。


亀山さんが、
私の笛を調整してくださる杉森さんのお名前まで入れてくださったのですが、
こういうところにも、亀山さんのお気遣いと情熱のこまやかさを感じます。

亀山さんの凄さは、技術的なこと私には全くわかりませんが、
ケタ外れの、その愛情の深さと大きさにあると、私は感じています。
そのことを、この初めての亀山さんチーム、NRPでの録音で、
心深く感じることになりました。

まず、びっくりしたのは、
これは後日お聞きしたのですが、
亀山さんは、録音の前、
少なくとも1か月は、他のアーティストの音楽は一切聴かれません。
亀山さんの秘密基地には、ほんとうに唸るほどのCDやレコード、ブルーレイ、DVDなどの音源があるのですが、
その一切を絶対に聴かないんだそうです。
代わりに、録音するアーティスト、
つまり、私たちのコンサートやデモ音源を、
ずーっとずーっと聴き続けながら、
曲のイメージを膨らませて、
どう録ろうか、マイクなどを何を使ってどう配置しようか、
などなど、考えに考えてくださるのです。
初めてそれを聞いた時、
私はほんとうにびっくりしました。
たしか思わず、
「え!ぜんっぜん他の人の音を聴かないんですか?1か月も?!」
って聞いたら、
亀山さんは笑いながら、
「そりゃそうですよー。そんな他の人の音聴くなんて浮気してたら、絶対録れないですよ。
もう、一切他は切って、そのアーティストの世界にどっぷりつかるんですよ。」
って。。。

でも、私たちなんて、
その頃はもっと駆け出しもいいとこ。
亀山さんは普段、世界中のあらゆるジャンルの音楽の、
あらゆる一流のアーティストを聴いていらっしゃる方です。
それを、全部切って、私たちの音だけ聴いて1か月。。。
信じられますか?

プロデューサーさんって、
いろいろなアーティストを並行して手掛けているのがフツウだと思っていました。
それを、そんなに深く愛情かけてもらうなんて。
死ぬ気でやる。
それを聞いて、そう思わない演奏者がいるでしょうか?

そしていよいよ録音当日。
場所は、私たちの体力に負担にならないように、
近いところで、
かつ、音については妥協しない、
ということで、
下見をしていた、笠懸野パルホール。
こちらのホールは、プロの録音にかなり利用されているホール。
客席数1011
木をふんだんに使った、柔らかな響き。
こんなホールです。
(写真はネットからお借りしました。)


そうそう!
この空間でした。
久しぶりにパルホールを見ましたが、
あの時の感覚が蘇ります。
二階席の箱が特徴的ですね。
笛で、客席1000のこの空間を支配するには、
普通はちょっと大きすぎる。
でも、やる。
そう強く思って、当日午前中、
ホール入り。

私たちより前に、亀山さん、浜田さん、細井さんは入っていらして、
すでに、機材をセッティングしているところ。
この時、まだ浜田さんと細井さんと会うのは2回目。
超絶人見知りイタコは、それにも思い切り緊張です。

忙しくセッティングしているみなさんのお手伝いしようとすると、
あー、ダメダメ。
やらなくていいから。
と、亀山さん。
徹底的に、私たちを大事にしてくれて、
すべての体力と気持ちと情熱は、
演奏に向けてほしいと。
録音終わったら好きなだけやってもらうから、
と。
(でも終わってからも結局役に立たないんですけどね^_^;)

お昼ご飯のお弁当の手配だけはしておきましたが、
お醤油が入ってなくて、
事務所に借りに行ってきます!
って言うと、
あー、いいのいいの、ここにいて。
行ってくるから。
と。
こんな偉い人に、お醤油なんて取りにいかせていいのー?!
と焦る💦
でも、すべては、いい演奏にすることが、
私のやるべきことなんだ。
と。

初日は、
午前中は、セッティングとテスト録音。
お昼を食べてから、
本番の録りという予定です。

収録は10曲。
それを3日間で録音。
初日午前中のセッティング&テストと、
最終日の夜の撤収の時間は取られるので、
正味、2日間ですね。
それを、1人ずつ重ねて録るのではなく、
杏花ちゃんと普段コンサートでやるのと同じように、
一緒に一発録り。
基本的に一曲通しで。
だって、切り刻んだら、自分たちの音楽じゃないでしょ?
と。
長い曲は、途中、区切りのあるところで切りますが、
一音も間違ったり、音がかすれたり裏返ったりしてはいけない。
しかも音楽は全開。
コンサートとはまた違う、ものすごいプレッシャーです。

午前中のテストは、
演奏してみて試し録り。
楽屋に作った司令室でプレイバックをみんなで聴いて、
ピアノの位置や私の立ち位置や向きなどを細かく調整されます。
イタコはほとんどお人形状態。
言われるがまま、右足を板1枚だけ前に、
とか、
もう一歩右に、
などと指定してもらいます。
今では亀山さんのやり方に慣れてきましたが、
驚きの連続です。
亀山さんの聴こえ方で調整されますが、
私の位置での聴こえ方でも、調整。
本人にどう聴こえるかがとても大事と。
客席のシートを、どこをどのくらい倒すか、
とか、音の溜まっているところに布や木を置く、
とか、とにかく手品みたいなことをして、ホールの音の響きを調整します。

そして、午後からの本番録り。
実は、私はこの時もまだ、
姉が死んだ後からずーっと悩まされていた、
音楽に完全にはハマることのできない自分でいました。
それでも、自分で聴いていい音楽かどうかはわかるので、
思ったような音楽にするには、
こう体を使って、こう吹く、
などということは詰めておけたのでした。
ただ、自分は感動しないのです。
それで吹くしかないと思っていました。

それが、なんていうタイミングなんでしょうね。
狙っていたわけでもなく、
自分でも思いがけず、このギリギリのタイミングで、
この大事なCDの録音の時に、
音楽に完全にハマる自分をついに取り戻したのでした。

続くー
梨花