「エレック、URCなど、
独立系レーベルでのリリースが多かった
なぎらけんいち(なぎら健壱)の、
メジャーレーベル移籍
第1弾のアルバム(76年6月発売)。
コミカルなヒット曲「悲惨な戦い」が、
放送局の自主規制によって、
いわゆる「放送禁止」になったことで、
メジャーな仕事が減り、
表舞台から数年間姿を消していた
そのブランクを埋めるべく、
持ち前のコミカルな面を抑え、
音楽的源泉たる
カントリーフォーク調の楽曲で
固められている。
モチーフは、
サブタイトルにもあるように、
流れ者へのオマージュ。
そして曲間には、
ロックグラスを片手にした
なぎら自身のナレーションが入り、
ついつい
通して聞いてみたくなってしまうような
構成になっている。
人望の厚い氏らしく、
バックにはムーンライダース、
ラストショウ、高田渡などが参加、
当時まだ24歳だったなぎらけんいちの、
音楽的本質が垣間見られる
名盤といっていいと思う。(★★★★)」(2007.2.10記)
このアルバムからは
「流れ者に捧げる詩」が
先行シングルとして発売されていますが、
アルバム未収録のライヴ音源
が使用されていて、
歌詞(というか語りの部分)が
大きくアレンジされ、
観客のダイレクトな反応とともに
楽しく仕上がりになっています。
この歌は、
単行本『笑って悲しく泣いて死ぬ』
にも書かれていますが、
おそらく、
工事現場でアルバイトをしていたときの、
実在の人物をモデルにした歌で、
そう思って聞くと、楽しくも悲しい
エレジーだと思います。
ただ、このシングルヴァージョンが
おそらく未CD化なのが惜しいですね。
私が言ってもしょうがないのですが、
再版の時には
ボーナストラックとして
収録されることを、
切に切に希望します。
*過去記事
永遠の絆 なぎらけんいちリサイタル LIVE AT 日本青年館