※これは妄想腐小説です BL要素が含まれます
~間違われた方、苦手な方はお戻り下さい~
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スッ
『では私はこれで。失礼しま__ 』
グイッ!
❬おい、何勝手に話を終わらせてるんだ。❭
『……』
話は終わったからに決まってるじゃん。
勝手に調べた翔奏のいらない情報は既にゴミ箱に捨てた。
そして、俺と翔奏の事には関わらないでとも伝えた。
それなのに何をまだ話すっていうんだ?
別に他に言う事なんて…………あ、あれか?
『そちらもご心配なく。
先程聞いたばかりですのでこの通り何も始めておりませんから。』
❬…今度はなんの事を言ってるんだ?❭
『仰りたいのはスーツはいらないという話しですよね?
ですから“ご心配なく”と__ 』
❬なんでそうなる!❭
ギリッ
『っ……』
❬俺がいつ“いらない”と言った?
お前には作れとしか伝えてないだろうが!❭
『…ですが、欲しくもない物を購入するのは“無駄”ではありませんか?』
❬…は?❭
『櫻木様が大切にされている方々へのプレゼントでしたらもっと他に適切な物があるのではないでしょうか?
こんな、私のようなものが作った物等ではなく__ 』
グッ
❬お前はさっきから意味の分からない事ばかり言う…
何がしたい?俺に何を言わせたい?❭
『……櫻木様。腕を離して頂けませんか?
これでは他の方に誤解されかねます。』
❬その喋り方もそうだ。
その話し方を辞めろと俺が言ったのに何故急に戻した?❭
『……ご不快にさせてしまったのならお詫び申し上げます。
そうですね…そこまで当店の商品をお求め頂けるのでしたら代わりに奥田が依頼を受けるという事でいかがでしょう?
私よりもはるかに__ 』
グイッ
❬俺はお前に作れと言っている。
今までもお前以外から買った事があったか?❭
『……』
❬分かったなら四の五の言わずお前は俺の言う通りにしておけばいいんだ。❭
……ハ、ハハ…………
……ハァ。
ふざけんな。
俺はあんたの召使いじゃない。
バッ!
『ふざけ__ 』
カチャ! スー
「ああ、ここに居ましたか大嶌君。」
『…奥田さ…ん…』
コツコツコツ
「姿が見えないので探しましたよ。
是非紹介したい方がいるので……おや。これはこれは櫻木様。
まさか櫻木様とご一緒だとは存じませんで失礼しました。」
❬ああ…。❭
「まだお話の最中でしょうか?
終わっておりましたら大嶌君を__ 」
『はい。終わっております。』
❬なに?❭
「そうでしたか。
では我々は失礼させて頂きましょう。」
『はい。』
❬待て大嶌。
俺が言った事はちゃんと理解したんだろうな?❭
『はい、理解致しました。
体型の変化等がなければ以前の型で作らせて頂きます。
ご依頼有難う御座いました。それでは失礼します。』
❬いやそれだけじゃないだろ!待て大嶌!❭
誰があんな居たくもない所にこれ以上いるか。
さっさとあの場から離れるべく、足を止めずに歩いた。
……ただ。
俺1人じゃないのにこんなに会場から離れられたという事は……
コツコツ
コツコツコツ
『……助け船を出してくださったんですね。』
「余計なお世話だったかい?」
『……いいえ。』
「君の後をあの方が追っていったように見えてね。
また顔を曇らせているんじゃないかと思ってしまったんだよ。」
俺を拾ってくれた奥田さんには全てを話している。
お世話になって隠し事なんて出来ないから…
だから当然、あの人…櫻木に何を言われたかも知っている。
そして俺があの人に会う度に必死に表情を作っている事も……
『…奥田さん。来て下さってありがとうこざいます。
じゃないと俺……店の不利益になる事をしてしまっていたかもしれません……』
「…また傷つくような事を言われたかい?」
『…あの人はあれが標準ですし、ああいう人なのでもう何を言われても俺は別に……』
「それなのに店の不利益になる事をしそうだったのかい?」
…そうだ……
俺、なんであんなにムカついていたんだろう?
スーツの事は……確かに少し悔しくもなったけど、怒りとかではなかった。
そもそも、大ベテランの奥田さんと比べると俺はまだまだだし…
だから、それじゃない。
その話しが出るもっと……もっと前から……
……あ、……そうだ。
翔奏を調べたって言われた時からだ…
俺の周りを…翔奏を調べたなんて言われてわざわざ俺にその情報を寄越してきて好き勝手言って……
ふざけんな…って、思ったんだ……
1度きりのたった数分しか会ってないくせに、会話もしてないくせに、調べた事が全てで何もかも分かったような事を言ってきた時に、翔奏はそんな奴じゃないって……俺は分かるって……
…思ったから………
『…同族嫌悪とか酷い事言ったな……』
「うん?」
『同族なんかじゃない…
遥かに...…翔奏の方がマシだった……』
「…フフフ。そこはせめて“好感を持てる”とか言った方がいいね。」
『……ハッ!……声に…出てましたか…?』
「うん。出ていたよ。」
『……あ…すみません……』
「そんな謝らなくていいんだよ。
寧ろ聞こえてしまって申し訳ないね。」
『っ、いえ、そんな……』
「じゃああれかな?
櫻島様は大嶌君の特別になれる存在なのかな?」
『……分かりません。
俺はもうそれを必要としてこなかったので…』
「…そうだったね。」
『……でも。』
「ん?」
『一緒にビールを飲みたいなと…今は思います。』
「っ!フフフ、そうかい。」
『はい。』
高いシャンパンや年代を言われても全然ピンとこないワインなんかじゃなくて、程よく賑やかな居酒屋でジョッキのビール。
俺が店を選ぶとしたら、断然そっちだ。
……連絡…してみようかな。
忙しくなる事が確定してしまったけど、本格的に休めなくなる前に翔奏が言った “次” を……
俺から連絡したら翔奏はどんな顔をするかな…?
……フッ、少し楽しみかも。