※これは妄想腐小説です BL要素が含まれます
~間違われた方、苦手な方はお戻り下さい~
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いつもはこの店内に流れるクラシックの曲に心地よく感じる所だが、今日の俺はそんな気分ではない。
スタスタ__
ドサッ
[いらっしゃいませShoさん。]
《…ええ、どうも。》
[週末以外でいらっしゃるのは初めてですね。
そのスーツ姿も新鮮です。]
《……》
その営業スマイルの下で何を思ってるのか当ててやろうか?
“今まで無駄足でしたね” か “やっと気付きましたね” だろう?
《そうですね。いつもは着替えてから来ますが今日は仕事終わりにそのまま来たので。
それに…“週末”に来るのは無駄だと漸く分かったものでね。》
[ああ、そのような情報を得られたんですね。
それは何よりです。]
《ハハハ、ええ。“何より”ですね。
そうそう。こちらも漸くですが名前も知る事ができたんですよ。
“Satoshi” ……佐々倉さんももう“御存じ”ですよね?》
俺が彼の見た目の話しをした時 “分かりかねます” としか佐々倉さんからは返ってこなかった。
でもたぶん、何人かは浮かんだはずだ。
一瞬、間を空けてからその言葉を言ったんだからな。
だがもう流石に名前まで出したら “分かりかねます” は使えないはずだ。
何故なら彼は俺の名前を1度も間違えた事などないし他の客にもそうで、まさに”優秀“なのだから。
[そうですね。確かに何人の方かは思い当たりますね。]
《じゃあ__ 》
[ですが中にはお名前をよく変えられる方もいらっしゃいますから、やはり私には…分かりかねますね。クスクス]
《っ!》
……チッ。そうきたか。
確かにここで本名を名乗る奴はいないかもしれない。
俺も翔奏(かなた)の先の字をとって”Sho“とここでは名乗っているくらいだからな。
だが、先週あった奴から聞き出した情報はほぼ確実だと思っている。
あんなに焦らして我慢できなくなるまで追い詰めて聞き出した情報だ。
あの状態で嘘が言える程あいつは器用じゃないだろう。
だからこそ今、目の前にいるバーテンダーの微笑みにイラつく。
俺が言った特徴や名前で絶対に誰なのか分かっているはずなのに教えないのは職務に忠実なのかもしれないが、こっちはからかわれているように感じるからだ。
[今日は何になさいますか?]
《…軽い物を。》
[かしこまりました。]
明日も仕事だから酒を残す訳にはいかないが、Barに来といて酒を頼まないのはもっと無い。
たぶんそこら辺も考慮してこのバーテンダーは出してくるんだろうが……つくづくその”優秀“さが気に障る。
だが、それでも今日はここにいる他ない。
漸く手に入れた確実な情報。
”火曜日にSatoshiはここに現れる“……だからな。
ザワザワ
……さっきよりも人が増えたな。
しかも座ってゆっくり酒を楽しむというよりは何か………
スッ
「ハハハ♪やっぱり来たんだね~?」
《……お前か。》
「あ~。なんかつれない感じ~?
あんなに熱~い夜を一緒に過ごしたのにひどくない?ピトッ…」
《…触るな。》
「え~?どうしてそんな事言うの?
僕達相性ぴったりだったじゃ~ん。」
はっ、どこがだよ。
イきまくったのはお前だけだろうが。
しかもこの俺が”イかせてやった“だ。
「ね~、だからさぁ~?今日も僕と一緒に__ 」
《こっちにはもう用はないが?》
「っ!...…ムカつく!少し顔がいいからってさ!」
《話が終わったなら行けよ。
俺はそれどこらじゃない。》
「あ~、そんな事言うんだ?
Satoshiについていい事教えてあげようと思ったのにな~?」
《そんな手には乗らない。
それにお前は既にペラペラと喋っただろう。
他に何かあるなんて__ 》
タンッ
「なら教えてあげる。
ShoはSatoshiには選ばれないよ。だって地味なスーツなんて着てるんだもん。ハハハ♪」
《………は?どういう意味__ 》
ザワッ!
俺がこいつに気を取られていると入口の方が少し騒がしくなった。
そして振り返った俺が見たのは……
《……っ…見つけた……》
それは、紛れもないあの日見たあの男だった………