※これは妄想腐小説です BL要素が含まれます
~間違われた方、苦手な方はお戻り下さい~
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櫻坂さんのお家に誘ってもらって良かったと本当に思った。
和臣君と潤己君はお医者さんごっこをして僕と遊んでくれたし、櫻坂さんはそんな僕達を微笑みながら見守ってくれていて…それが僕の心を落ち着かせてくれた……
1人で家にいたらあんな気持ちにはなれていなかったと思うから…
櫻坂さんの家にいてご飯を作らないなんて不思議な感じはしたけど、お医者さまの言いつけだから仕方ないよね。
ピザ好きな2人は文句を言いながらも口の中にいっぱい詰めこんでリスみたいに可愛くなっていた。
フフ……
だから食卓には大きなリスさんと小さなリスさん達がいるんだよね。
食事が終わって少し経ってから2人のお風呂の時間。
僕は包帯グルグル状態だったから見守るだけ…
でも、出来る事は自分達でする2人だからいつも僕は話し相手みたいなものだけどね。
それぞれに選んだ絵本を読み終わる頃、2人は夢の中…
そんな可愛い寝顔を見ていると櫻坂さんからお茶に誘われた。
櫻坂さんのお茶なんて初めてだったけど、なんの心配もしてなかった。
茶葉が入ったって味が薄かったって、淹れてくれる…その気持ちだけで嬉しい事だったから…
そのお茶を飲んでいる時に思いもしなかった言葉を櫻坂さんから言われた……
“ここで暮らそう”……
一瞬、時間が止まった気がした……
そして、胸がじんわり暖かくなった……
櫻坂さんが僕を心配してくれているのがよく分かったから……
だけど僕はそのお誘いを断った。
こんな事になって松丘社長がどう判断するか分からないから…
最悪、迷惑をかけてしまった櫻坂さん達にも会えなくなるかもしれないし……
そして1番は、僕がいる事でこの家に…家族に…何かあってしまってはいけないから……
そんな事には絶対させたくないから……
そう僕が言うと櫻坂さんは俯いてしまった……
だから、僕の心が揺れた事は黙っていた……
お風呂に入らせてもらった時、腕の痣が濃くなっているのに気づいた……
洗えば落ちる訳じゃないけど、僕は何度も腕を洗った…
思い出してしまったあの掴まれた感触が消えないかと何度も……何度も……
たぶん寝れないと思っていたけど、敷いてくれた布団に横になり隣の2人の寝息だけを聞いていた…
すると、2人の奥から布団が擦れる音がして黒い影がゆっくり動くのが分かった。
そしてその影が僕の方に伸びてきて布団の上の何かを探す仕草……
それが櫻坂さんの手だと分かった時、そこにあった僕の手に触れた……
僕が手を動かさずにいると、櫻坂さんの伸ばした手がそっと優しく僕の手に触れ、そして……
……キュ…
本当に優しく僕の手を握った……
その手から伝わる熱が僕に“大丈夫、ここにいるから”そういっているようだった……
僕はそのあたたかさに思わず泣きそうになった……
そして、僕は自分が抱いた気持ちにハッキリと気づいた……
僕は櫻坂さんの事が好きだって……
気づいたからといって、2人が寝ているこの状況じゃ何も言えないし何もできない…
そもそも僕がお断りをしたみたいになっているのに言っていいのかも分からない…
櫻坂さんも、もう僕の事なんて何とも思ってないかもしれないし……
そんな臆病な事を考えてしまった僕は、その櫻坂さんの手を握り返す事ができなかった…
だけど少しでも長くこの手が重なっていればいいなと願いながら僕は…目を閉じた……