※これは妄想腐小説です BL要素が含まれます
~間違われた方、苦手な方はお戻り下さい~




































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コトンッ…

〈……〉
〔……〕



《…もうご馳走様するのか?》



〈……コクッ〉
〔……コクッ〕



《…そうか。分かった。
あ、お前達ちょっといいか?》



〈?〉
〔?〕



《じつは今日の昼前にこの家に人が来る事になってる。》



〈……〉
〔……〕



《あ…だからといって何かしろという意味じゃないんだ。
ただそれを覚えていて欲しいってだけだから…》



〈……コクッ〉
〔……コクッ〕



《うん。じゃあもう行っていいぞ?》








…キュ


テテテッ
    テテテッ






手を繋ぎ、2人用のスペースと化している部屋の一角に歩いていく2人…


何も変わらず前と同じその姿に、“楽しそうに話をしていた” とあの時病室で聞いた言葉は嘘なんじゃないかと思ってしまう……













俺が路上で倒れるというあの出来事から、今日で10日が経った。




あの日、会社の方は事情を話さずに有給を取れたけど和臣達の保育園の方はそうはいかなかった。

倒れた場所が保育園とさほど離れていなかったからか、園長の知る所になり、俺に連絡がきてしまったんだ。



そして、救急車で運ばれるという事態にまでなった事で軽く流せる状態ではないと判断され1度児童相談所の職員と一緒にしっかりと話をしたいと言われてしまった。







まだ園長が、全てを児童相談所に任せるという方向にしないでくれたからか、2人と無理に引き剥がされるという事にはならなかった。

だけど改善がなければ…と釘はさされた。









2人がいなくなれば……




その事を1度も考えなかったと言ったら嘘になる。


言葉にしなかっただけで心の中では何度も思った。






そうなれば俺は1人楽に暮らせるのに…と何度も何度も。












だけど……


退院して2人とまた同じ家に帰ってきてからはそう思う事は1度もなかった。





俺の中から無くなったという訳ではないとは思う…


でも……









『あの子達がお父さんを想っているからだと僕は思います。
それだけは疑わないであげて下さい。』










その言葉が、そんな俺の中にあるモノを押し留めてくれているような気がするんだ…











そして、今の生活の改善は必須だと言われた時に頭を過ったのが彼の存在だった。


彼ならいい助言でもくれるんじゃないかと…







それでお礼の事もあるし1度連絡を取ってみようと貰った名刺を見て、彼がどんな仕事をしているか知った。

そこからは早かった気がする。







自身でも少し調べてから彼の会社に連絡したけど、最初から無理かもしれないと思っていたから、OKだと連絡がきた時は正直驚いた。


けど、それと同時に双子の喜ぶ顔を初めて見れるかもしれないと思った。







病室で目が覚めた時に彼の姿をキョロキョロ探していた2人…

既に彼は帰ったと言った時の落胆したような…何かを諦めたようなあの無の顔……






俺にはそっちが普通だったから、その変わりようが分かる瞬間の表情に、怒りとかというより可哀想だと思ってしまったんだ…





そして、こんな子供にそれを普通にさせていた俺自身の間違いにもハッとさせられた……


余裕がないなんてただの言い訳で、自分は双子と正面から向き合おうとしてこなかっただけなんだと……











彼に何かを変えて欲しいと願って来て貰おうと思った訳じゃない。


ただ、彼がいる事で俺自身が何かに気づけたら……







……そう、思っている。














現状を知りたいので、部屋はいつも通りの状態にしていて下さいと言われたから、俺はただ訪問の時間を今か今かと待っていた。


そして、約束していた午前11時。





時間丁度に家のインターフォンが鳴った。









人が来たのだと分かった双子が部屋の隅に隠れるように並んで小さく座っているのをチラッと歩きながら確認した。





来た人物があの時の彼だと分かるだろうか?


分かった時にどんな顔をするんだろうか?






喜んではくれるだろうか…?












そんな事を考えながら向かった俺は、10日ぶりにあの時の彼の姿をインターフォンのディスプレイに見た。