※これは妄想腐小説です BL要素が含まれます
~間違われた方、苦手な方はお戻り下さい~




































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救急車が到着し、僕は隊員の人から事情を聞かれた。


事情なんてよく分からなかったから僕が見たまんまを話したけど、全然役にたたなかったと思う。






でも、小さい声だったけど聞き取れる言葉を言っていたという事だけはいい情報になったみたい。












お父さんが救急車に乗せられると、僕の手を握っていた2人が僕の腕で顔を隠してしまった。


…うん。怖いんだね。












ずっと僕から離れない子供達。


そのお陰?か、僕は子供達と一緒に救急車に乗って病院までいける事になった。







というのも、子供達が救急隊の人に何を聞かれても答えなくて、僕が間に入るとちゃんと答えてくれるという不思議な事になっていたからね。


隊員さんも困っていたけど、どうしてかは僕にも分からない。








そして僕も驚いた事があった。



それは……













「じゃあお父さんは足から崩れ落ちるように倒れたんだね。」



〈……〉
〔……〕



『…分からないなら__ 』



ギュ…
〈…ちがう。〉
〔……。〕



『ん?何か違うのかな?』



〈おとうさん…〉
〔…ちがう。〕



『…え?…お父さんじゃないの?』



「えっ!どういう事ですか!?
じゃあこの方はいったい…」



〈……〉
〔……〕



『……』



「あの…それじゃあ他人という事でしょうか?
…もしかして何か事件とかなんじゃ__ 」



『ハッ!おたより帳!』



「はい?」



『あのね?2人のおたより帳見せてもらってもいいかな?』



ゴソッ スッ
〈うん。〉
〔どじょ。〕



『ありがとう。』













ペラペラ


たぶんここに………あ、あった!















『すみません。さっきその人の社員証がポケットから落ちたって言ってましたよね?
それと、ここの保護者名と同じか確認して下さい。』



「え?あ、はい。
えっと………“櫻坂 結翔(おうさか ゆいと)” …あ!同じです!」



『ホッ…良かったぁ……』



「はい事件じゃなくて良かったです。」















うんうん。ほんとにね。


……でも、どうして2人は“お父さんじゃない”なんて言ったんだろう?
















「では、受け入れ先も決まりましたのでこのまま病院に向かいますね。」



『あ、はい。お願いします。』


















病院に着くと当然の事ながらお父さんとは別々になった。


そして、こちらでお待ち下さいと言われ僕達は長椅子に座って待つ事に…














ギュゥ…
〈……〉
〔……〕














…こんなに不安な顔してるのに。















ナデナデ
『大丈夫だよ。お父さんはきっと大丈夫。』



〈…う…ん……〉
〔……〕














僕がこうして“お父さん”と言っても否定はしない…


さっきのが僕の聞き間違いだとすら思えてくるけど、あんな状況で子供が嘘を言えるとは思わない…









もし、お父さんとは思いたくないから言ったのだとしても、この子達があの人を本当に心配しているのは顔や仕草で分かる。


だから自ずと虐待などの最悪なケースも除外できる。








あと考えられるのは、血の繋がった本当のお父さんじゃないという事。





ただそれは、再婚とかすればよくある事だよね。



さっき見せてもらった保育園のおたより帳の保護者欄にはちゃんとあの人の名前や連絡先が書いてあったんだから、まだ新しいお父さんに慣れていないという感じなのかな…?





でも、時間が経てばきっと……










…って、僕が心配する事じゃないよね。














グゥ~

〔……あ…〕











ん?お腹の音?












『…もしかして、ご飯まだ食べてない?』



〈…コクッ〉
〔…ごめちゃい…〕



『ううん。謝らなくていいんだよ。
教えてくれたお腹さんはとってもいい子。それを聞けた僕も嬉しいよ。』



〔…じゅんのぽんぽんいいこ?〕



ナデナデ
『そうとってもいい子。』



サスサス
〈……。〉



ナデナデ
『フフ。和臣君のお腹もそろそろ教えてくれそうだね。』



〈!〉
〔かじゅのおなまえ……〕



『あ…ごめんね?さっきおたより帳に書いてあったお名前を見ちゃったんだ。
お名前呼んだ事…嫌だったかな?』



〈ブンブン!〉



『フフ。そっか。良かった。』



ツンツン
〔…じゅんのおなまえ……〕



『…フフ。潤己君のお名前も言っていいの?』



〔っ!うん!いいよ!〕



『ありがとう。嬉しいよ。
あ、僕もお名前言わないとだね。
僕は、大隈 那智(おおくま なち)といいます。』



〈…おお…くま…〉
〔くましゃん!〕



『アハハ♪うん、“くまさん”ですよ~♪』



〈くましゃん!〉
〔くましゃん!〕
















フフ、可愛いなぁ~。
















パタパタパタ
「あの、櫻坂さんとご一緒に来られた方ですよね?」



〈ビクッ!〉
〔!?〕



『え?あ、はいそうです。』



スッ
「じゃあ僕達が櫻坂さんの息子さんかな?」



ギュゥ
〈……〉
〔……〕















…女性の看護師さんでもダメか。















「…あら。」



『人見知り…なのかもしれません。』



「…でも、貴方には懐いてらっしゃるみたいですね。
先程も楽しそうにお話しされてましたし…」
















それは僕も不思議だけど、2人が話をしてくれるのは嬉しいかな…















「……」



『…あの?この子達に何か?それとも櫻坂さんの事でしょうか?』



「え?あ、そうなんですが……困ったわね。」



『えっ!まさか!?』
















まさか、お父さんが危ない状態とかなの?


でもさっきの救急隊の人は“安定してる”って言ってたのに…













「あ!違うんですよ!
櫻坂さんの方はバイタルも安定していますし、外傷もないようです。
ただ、疲労による免疫力の低下で風邪の症状が出ていますので様子を見る為にこのまま1日入院した方がいいと医師が判断しました。」



『疲労で……でも、重くはないんですよね?』



「はい。このまま点滴をして様子を見るという事です。
よくなれば明日には退院できますから。」



『ホッ……良かった……』



「…ですが……」



『?』



「その…“困った”というのは櫻坂さんのご家族に連絡がつかないんですよ。」



『…あ、そうなんですね。』



「それで櫻坂さんが入院となる訳ですからお子さん達が……」



『……あ、ああ!なるほど。』



ギュゥ!
〈……〉
〔……〕



『…特別にお父さんと一緒の病室にいれたりしますか?
もしそれが可能なら、僕で良ければどなたかと連絡がつくまでこの子達と一緒にいますので。
あ、僕自身の身元確認とかが必要ならしてくれて構いませんので。』



〈!〉
〔!〕



「いいんですか?」



ナデナデ
『…心細いのはよく分かりますので。』



「直ぐに聞いてきますのでお待ち下さい。」



『あ、それと…』



「はい。」



『この近くで食品が買えるお店はありますか?
この子達まだご飯を食べれてないみたいなので…』



「っ!そういう事なら直ぐにかき集めて来ますので待っていて下さい!」



『え?あ、いえお店を教えてもらえれば僕が__ 』





パタパタパタ


『……あ、行っちゃった…』














かき集めるって……














ツンツン…

『…ん?』



〈…くましゃん…いっちょ?〉
〔じゅんたちと…いりゅ?〕



『…フフ。うん。一緒にいさせてくれる?』



〈うん!〉
〔いいよ!〕






ギュゥー













フフ、可愛い。





大丈夫だよ。

2人が本当に安心できるようになるまで側にいるからね。