※これは妄想腐小説です BL要素が含まれます
~間違われた方、苦手な方はお戻り下さい~




































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カタカタカタ  カタカタカタ


bububuーbububu








「………」










bubububu…






「…あの、櫻坂(おうさか)さん?」



カタカタカタ
《……》



「櫻坂さん!」



__カタタッ
《…あ、ごめん。何?》



「その…さっきからスマホ鳴ってますよ?」






bububu…


《……そう…みたいだな。》



「……」







bububu…















もう7時半か……。 


今日もまたこの電話は俺の仕事の邪魔をするんだな…









…グッ

なんで、俺がこんな目に……

















「…櫻坂さん?大丈夫ですか?」



《ハッ!》



「あの…よければ俺が代わりに__ 」



スッ
《いや大丈夫だよ。》



「でも……」



ガザコゾ
《本当に大丈夫だから。続きは持ち帰るから。》



「……」



ガタッ
《じゃあお先に。お疲れ様。》



「…はい、お疲れ様でした。」















荷物を持ち足早に席を立った俺。


そんな俺に気づいてか小声で話す同僚達。








「ヤバいだろあの顔。」
「大丈夫かな?」









…どうせ話すなら俺が行ってから話してくれよ。


いつものように遠巻きに俺を見てコソコソ話してるようにさ。











この会社に入って6年。

居心地が悪いと感じるようになったのは何時からか……いや、考えるまでもないな。





半年前からだ。


何もかもが変わった…あの、半年前から……















俺は重く感じる体に鞭打つようにして駅まで走った。


走ってホームまで来たのはこれで何回目だろうか…












《ハァハァハァ…》












しかも今日はやけに息切れもする…。






運動不足、体力不足、睡眠不足、疲労困憊……


…その内のどれか1つなんて絞れる訳ないよな。









そんな事を電車の窓に移る自分の顔を見て思っていた。
















降りる駅に着き、駅構内から出ると俺はまた走った。



そして、8時になる2分前に漸くその場所へと着いた。















キィー
《ハァハァ……遅くなり…すみません…》



「っ、櫻坂さん!?」



《はい…すみません……》



「…お待ち下さい。
和臣君、潤己君。お父さんが迎えに来てくれましたよー。」



《……》



チラッ
「…櫻坂さん。いつも言っていますが__ 」



《本当にすみません…
次はもっと早く来れるようにしますので…》



「…やはりもう1度考えて頂けませんか?
これは園がどうこうというより、いつも最後まで残る2人にとっても良くないと思うんです。
そして何より櫻坂さん自身が__ 」



《私は大丈夫ですから。》



「ですが__ 」



《次はギリギリにならないようにします。
園には迷惑をかけないようにしますから。》



「…櫻坂さん……」




トテトテ
  トテトテ

「あ、用意ができたのね。2人とも忘れ物はないかしら?」



〈コクッ…〉
〔コクッ…〕



「はい。それじゃあさようなら。また明日ね。」



〈コクッ…〉
〔コクッ…〕



《……ありがとうございました。》



「…はい。お気をつけて。」
















保育園の園長に見送られながら俺達は園の敷地を出た。



俺の後ろを歩くのは今年で5歳になる双子の和臣と潤己。

いつも2人手を繋いで離さない。



そして……














《今日もコンビニでいいか?》



〈コクッ…〉
〔コクッ…〕














俺はここ半年間、この双子の声を聞いていない。




原因はありすぎるからどれが正解かは分からない…


でも……












《…なあ?お前達園でもそんな感じなのか?》



〈……〉
〔……〕



《…困らないのか?そんなんじゃ友達とかできないだろ?》



〈……〉
〔……〕



《…やっぱりコンビニは辞めて弁当屋で何か買って帰るか?
なんでもいいぞ。何か食べたい物はないのか?》



〈……〉
〔……〕














喋らないのはいつもの事…



その事に俺は慣れた。

いや、慣れるしかなかった。





正直、この双子が何を考えているかも分からなかったし、自分がこの双子といるしかないという現実を逃避せずにいる為にも。








だけど今日は、そのいつもの事に何故か苛々してしまった。
















《おいっ!こっちがわざわざ聞いてやっているんだから何か話せよ!》



〈……〉
〔……〕



《俺1人ならどうとでもなるのに、なんで……》



〈……〉
〔……〕



《なんで俺がこんな目にあわないといけないんだよ!》

















この双子は俺の子供じゃない。




1年前に結婚した女の連れ子だ。

しかもその女は半年前に、俺との養子縁組が済ませてあったこの双子を置いて姿を眩ませ、そして、“浮気したら離婚するから” と冗談半分で笑いながら書いた離婚届をあっちは提出していたんだ。







俺がいくらあれは冗談で書いたと言っても、相談した弁護士には自分で書いたからには有効だと言われ、しまいにはそういう女だと見極められなかった俺が悪いと言われた。


そして双子の事も法的には俺に責任があるからと……














最悪だった。


どん底に突き落とされた気分だった。







そして何度も何度も考えた。








1年半付き合って結婚直前まで子供がいる事を隠していた時にもっと問い詰めれば良かったのか?


“嫌われたくなかった”と泣きながら言ったあの言葉を簡単に信じなかったら良かったのか?


初めて会った双子を可愛いと思わなかったら良かったのか?


双子の父親とは浮気で別れたから同じ思いをしたくないと言われて、“これがあれば絶対にする気にならないでしょ?” なんて言われるがままに離婚届に判を押したのが悪かったのか?








そんな事を何度も何度も……




でも時間は待ってくれないし、生活する為には仕事をするしかない。





だから俺は陰で何か言われてようと、こうして双子を迎える為に残業が出来なくても仕事を家に持ち帰って支障が出ないように必死にやってきた。


睡眠時間を削ろうが、自分の食事を抜こうが、こいつ等は何も悪くないからと自分に言い聞かせてここまで必死にやってきた。


“なんで俺が” なんて言葉は何回も飲み込んできた。









それなのに、なんで今日はこんなにも……











クラッ

《っ……》




ドサッ!

〈!〉
〔!〕











…なんだ……?


体が熱い?いや、寒い…のか…?






分からない…


でも、体が動かない……









くそ…

どうなってるんだ…?







タタタッ
  タタタッ




…あ、待て……何処行くんだ…





2人だけじゃ危ない……早く戻…れ……










くそ……



















タタタッ
  タタタッ

〈こっち!〉
〔はやく!〕



スタスタ
『う、うん分かったけど…いったい何が……っ!?』













足音……声……


双子が戻って来たのか…?





何もなくて良かった……












ストンッ
『大丈夫ですか!?何処が痛いですか?話せすか?』














…双子じゃない…?



……誰…だ…?