※これは妄想腐小説です BL要素が含まれます
~間違われた方、苦手な方はお戻り下さい~



































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消す…?






それって……そういう意味なのか?


この世から消す…みたいな……?








いや、そんな事簡単にできる訳____







 
 





《姫様達のお陰で俺は一生あのクズ親とは会わなくて済むらしいから本当にありがたいよね。》














……そうだった。


この人達にはできるんだったな。





それで櫻谷は今の平穏を得られた訳だし……















「悔しくないかい?
平然と暮らしているのを見て憎くはないかい?」



『っ!』



「何事もなかったように笑って生きてるなんて…そんな父親を赦せるかい?」
















あれはやっぱり……














『俺の見間違いじゃなかったんだな…』



「…もしかして知らなかったのかい?」














…俺からは聞かなかったんだ。



あの家に世話になって1ヶ月した頃、成瀬先生があの人達がどうなったかを説明してくれようとしたけど俺は拒否した。








あの人達がどうなろうと、もう俺には関係ないと思ったからだ。


だからそれでいいと今日までは思っていたのに……
















『…調べたと言いましたよね…?』



「そうだね。」



『じゃあ……あれはあの人の子供なんですか?』



「…今年で4歳になるらしいよ。」



『そう…ですか……』



「大野さんは…教えてはくれなかったのかい?」



『…俺があの人達の事は知らなくていいと言ったんです。』



「そうだったんだね…」


















憎いかと聞かれたら憎い…と答えるだろう。


許せるかと聞かれたら…俺は……許せないと答えるかもしれない。





俺が見た事がないあの顔を、俺以外には見せるんだと知ってしまったから……











……だけど。













『お断りします。』



「…じゃあ君はあの父親を赦せるという事かな?」



『そうではありません。』



「なら俺達に任せてくれれば__ 」



『俺はあなた方を尊敬している櫻谷とは違います。』



「…え?」



『俺が信じられる大人は、大野さんだけですから。』



「っ!…それは俺達は信用に値しないから任せられないという事かい?」



『すみません。俺からお願いする事はありません。』



「……」



『それと、大野さんに言えないという事はありません。
というか……俺が隠したとしても大野さんなら俺の様子から何かあったと思うはずです。
そして俺を言葉だけで救ってくれると思います。』



「!」



『俺の信じている人はそういう人ですから。』



「っ、ハハハ!」



『!』



「ハハ……あ、悪いね。
いやー、まさかここまで姫の言う通りになるとは思わなくてね。」














……お姫様がなんだって?













「賭けをしたんだ。
大嶺君が俺の提案を受けるかどうかをね。」



『……え?』



「姫は“受けない”に即答だったよ。
理由は“お前が胡散臭いから”といい加減だったけど、確信はしていた。
たぶん、大野さんという人を知っているからこそ君が頷かないと分かっていたんだろうね。
大野さんを信用している君が大野さんの目を真っ直ぐ見れないような事に同意するはずがないってね。」













…櫻谷からもよく聞いていたけど、お姫様ってほんと凄いんだな。


俺の考えを当てるって点では大野さんの方が凄いかもしれないけど、お姫様はそれに加えてどこか怖いんだよな…












「悪かったね大嶺君。
俺は断られるかもと思っていながら君に提案して、更に追い込むような真似をしてしまった…申し訳ない。」



『あ、いえ…
俺には絶対に出来そうにない事を言ってもらえたので…なんというか……味方をしてもらえたみたいで、それは普通にありがたかったです。』














…そう、櫻谷みたいだと思った。


ここにも俺を気にかけてくれる人はいるんだと…





少し……いや、大分恐ろしい提案をしてくれたけどな…








それでも、ありがたいと思ったのは事実だ。


俺の中にあった恨みをこの人達は否定しないと分かったから…
















「そう言ってもらえると助かるよ。
しかし、大野さんは……」



『?』



「やっぱり俺達が敵う相手ではないね。ハハハ。
言葉が救いと思わせれるなんて……もう格好いいよね?
流石だ大野さん。」















…さっきから気にはなっていたけど、大野さんは年下じゃないんだろうか?


でも“さん”を付けてるんだよな…






あ、命の恩人だとか言ってる事が関係してるのか?













「ああ、そうだ。
良かったら大嶺君も一緒に食事はどうだい?」



『…はい?』



「賭けに負けたからね。
今日は俺の奢りでご馳走する事になっているんだ。
暁翔も勿論誘うから4人で__ 」



『っ、いえ、俺は遠慮します。』



「そんな遠慮せずに。」














いやいや、無理だろ。














『3人で行って下さい。
櫻谷君もきっとお姫様やお殿様と3人の方が嬉しいはずです。』



「暁翔はそんな事はないと思うけど……ところで大嶺君?」



『はい?』



「その、“お殿様”ってもしかして俺の事かい?」



『え?』



「“誰が”そう教えたのかな?
まあ、1人しかいないだろうけど……
姫はいいとしても俺は“バカ殿”みたいで嫌だと言ったのに……君の前ではそう言っているんだね。
ふむ。これはちょっと指導が必要かな?フフフ…」














え?

これ、言ったらマズイやつだったのか?





でも、確かに櫻谷もいつもみたいに“殿様”とは呼んでなかったな…







マジかよ…


俺の所為で怒られるパターンか…?










…………。









でも、俺にその事を教えなかったのは櫻谷だし、仕方ないよな。





それに……


お殿様ってなんて名字だったか覚えてないし……








……うん、仕方ない。






悪いな、櫻谷。

指導というやつがきつくない事を祈ってるぞ。